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 さて、ヒュドラの進軍から一夜明けた訳だけども、まだ魔域の活性化起きたとの知らせはない。

 このまま起きないでくれると助かるんだけど、どうなることやら。


「さてと、魔域の活性化が起きないなら、今日は予定通り遺跡探索だな」

「戦いの準備とかじゃなくて?」

「ソッチはもう終わってる。後は、魔晶石をどれだけ回復させられるかだな」


 ぶっちゃけ、ワザワザ改めて準備をするまでもなく、魔域の活性化の死闘に突入できる準備は整っている。

 だからまあ、いざという時までは普通に日常を過ごしていれば良い。


「できれば、面倒な物が出てこないでくれると助かるんだけど、望み薄だよな」


 遺跡に残されているモノは今の基準では凶悪過ぎる兵器とかばかりだ。

 まあ、必要だから残されているのは判るんだけども、下手をすれば世界を滅ぼしかねないのはどうかと思う。

 と言うか、2万年前の超絶バカ、世界征服なんか仕出かそうとしたアホ転生者が、遺跡の兵器を見付け出していたりしたらどうなっていたか、考えるだけで寒気がする。


「まあ良いけど、場合によっては私たち行かないから」

「はい?」

「当然でしょう。状況が状況なんだから。今は遺跡に眠ってるトンデモナイ代物に驚いてる余裕はないわよ」


 いや、気持ちは判るけどね。それもどうなんだとお思うよミランダさん。

 そこは一蓮托生と言うか、パーティーなんだから情報は共有しないと。


「いや、情報は共有しないと、いざっていう時に困るから。それに、遺跡で見付かったモノのテストに、ある意味最適な状況だから、場合によってはそのまま使うかも知れないし」

「はい?」

 

 みんなが目を点にして疑問符を浮かべているけど、そんなにおかしなことは言ってないぞ。


「いや、これまでだってグングニールとかヒュペリオンとか、発掘したモノを使っているだろ。それと同じだよ。何がどこに在るか知っているだけじゃなくて、ある程度は実際に使ってみて性能を確かめておかないと」


 流石にあまりにもヤバすぎる兵器は事前に使ってみる訳にもいかないけど、そうだな、空中要塞位までなら魔域の活性化で使ってみても良いかも知れない。


「空中要塞って・・・・・・」


 俺の案に絶句した様子のミランダ。


「あのアベルさん、10万年前の空中要塞は、今の物とは比較にならない性能なんですよ?」

「判ってるさ。だからこそ、実際に使ってみるべきなんだよ」

「それひとつで、魔域の活性化の魔物の侵攻を食い止められる気がします」


 ああ、ルシリスの言う通り、確かにそれはあるかも。

 10万年前の空中要塞ひとつで、魔域から押し寄せて来る数十兆、数百兆の魔物も一掃できそうだ。

 

「とは言え、今回の魔域の活性化は、下手をするとレジェンドクラスの魔物が複数現れる可能性もあるからね。万全な体制で挑んだ方が良い」


 前兆でヤマタノオロチが2匹、更にスサノオまで出やがったからな。魔域の活性化が起きたらどんな魔物が出て来るか判ったものじゃない。

 最悪、ジエンドクラスの魔物が出て来る可能性だってある。


「まあ、調査した遺跡に何が眠ってるか次第だけどね」

「それでも、私たちに行かないって選択肢はなくなった訳ね」


 そうなるね。

 俺にばっかり厄介ごとを押し付けようったって、そうはいかないんだよ。


「それじゃあ、早速下調べに行ってくるから、みんなは待っててね」


 今回行く遺跡は、王都マハトから東に2000キロ。国のの中心近くにある直径1000キロを超える巨大な湖、ユーレリア湖に沈んでいる。

 というか、王都マハトが国の橋も端にあるから、この広大な湖がほぼ国の中心になるんだよな。

 まあ、そんなことはどうでも良いのでさっさと水中深くに潜っていく。

 それにしても、地中に埋もれているのもだけども、水没している遺跡も本当に多いよな。何か意図的なものを感じるよ。

 まあ、10万もすれば地殻変動とかして当然なんだけど。

 湖の底に到着、探してみるとすぐにそれらしきモノが見つかるんだけど、これって?

 明らかに要塞なんだけど、これってひょっとしなくても空中要塞だね。

 まさか、ピンポイントで出てきますか・・・・・・。

 まあ良い、ちょうど良く見つかった事だし、中を確認して使える様なら使おう。

 気を付けないと、中にとんでもない物がさり気なく残されているからな。それと、この要塞自体の性能も確認しておかないと、シャレにならない破壊力の兵装とか搭載していて、ウッカリ使ったらゲヘナそのものが壊滅してしまいましたとか、そんな事になったら取り返しがつかないし。

 まあそんな訳でね早速中を調べてみますかね。



「まさかの、調査に行った遺跡が空中要塞だったと・・・・・・」

「うん。俺も驚いたよ。こんな事があるとわね」


 因みにあの空中要塞、いや、機動要塞と言うべきかは、一応は魔域の活性化時に実戦投入できる代物だった。

 本当にギリギリね。

 現在の技術で造られた空中要塞とは比較対象にならない程の性能だけど、まあ、これから先の事を考えても、この非常識な性能に慣れてもらっておいた方が良いだろう。


「そんな訳で、魔域の活性化が起こったら実戦投入するから、ルシリスからサタンさんに伝えておいて」

「私からですか!? あの、出来ればアベルさんも一緒に」


 魔王への報告は娘のルシリスに任せようと思ったんだけども、当の本人にもの凄く困惑した様子で一緒にと嘆願される。


「そんなトンデモナイ報告を任せるのは酷よ。と言うかキミが決めたんだから自分で伝えなさい」

「まあ良いけど、それじゃあ一緒に行こうか」


 そんな訳で、ルシリス他一緒に魔王の元に行く事にする。

 現在の魔王は、総司令部で全軍の実戦配備を勧めながら、魔域の状況を調査し続けている。本当なら部外者立ち入り禁止なんだが、俺も戦力として全面活用する気満々なので、情報は即座に俺の所に送られて来るし、俺も作戦会議への参加資格を持っていたりする。


「おやアベル殿、どうなされたかな?」

「調査した遺跡で空中要塞を発見したので、魔域の活性化が始まったならそれを実戦投入するつもりなので、その報告に」

「はっ?」


 魔王だけでなく、その場にいた全員の目が点になる。


「父上、アベルさんの仰るには、今回の一件は、10万年前の遺跡から発掘された兵器のテストに、ちょうど良い機会だそうです」


 完全に固まった魔王軍の面々に、諭すようにルシリスが説明する。


「10万年前の兵器はどれも強力過ぎる物です。今の世の中に不用意に出してしまえば、社会を乱す禍になってしまいかねません。ですが同時に、いざという時のためにその力を、私たち自身が身をもって知らなければなりません」

「いざという時、使えないでは話にならないと言う事か・・・・・・」


 ルシリスの説明で、ようやく魔王も理解したようだ。


「魔域の活性化はこの世界に生きる者にとって、最悪の非常時。その意味では言い方は悪いけど、10万年前の兵器の力を試すには最適です」

「確かに」


 あくまでも非常事態だからこそ使ったのであって、魔域の活性化が終われば封印すると言い訳もできる。

 言い訳じゃなくで実際に、終わったら元に戻すつもりだけどね。


「まあそんな訳で、今回はその空中要塞。ベルハウゼルを使うのは確定だから、何処に配備するかとかも決めないといけない訳なんですよ。戦闘領域の5分の1はカバーできると思いますし」

「はっ?」


 俺の発言にまた全員の目が点になる。今度はルシリスまで目が点になってるよ。


「戦線の5分の1ですか?」

「うん。確認したけど、そのくらいは可能だね。確実に、ヒューマンの国の魔域の活性化なら、アレ1つで全部終わらせられる代物だから」


 むしろ、明らかに過剰戦力で過剰火力だ。魔域諸共すべて消し去ってしまいかねない。

 ただし、おかげで今回はかなり楽をさせてもらえるかも知れない。

 何故かというまでもないだろう。俺はベルハウゼルに搭乗して、機動要塞で戦いに参加するつもりなので、今回は生身で魔物の群に突っ込んで、永遠と戦い続ける必要もない訳だ。

 まあ、代わりに倒した魔物の素材とかは全く手に入らないだろうけど、その辺りはもう腐るほど持っているので別に構わない。


「ベルハウゼルは俺が使わせてもらうから、基本、俺たちはベルハウゼルを拠点とする形で戦闘に参加する事になると思う」


 要塞なので、戦艦の発着口もあれば、装機竜人の格納庫も当然ある。

 ヒュペリオンの運用はサナに任せて、俺はベルハウゼルで司令官役をやらせてもらおう。


「それは構わぬが、こちらからも人員を派遣させてもらうぞ」

「それは勿論」


 と言うか、全長12キロ、総重量6000万トンを超える巨大な要塞だから、完全オートメイション下されているとは言え、全ての機能を完全に使いこなすにはそれなりの人員が必要だ。

 因みに、どうやら2000隻の戦艦を収容可能な模様。


「そんな訳で、俺たちはこれからベルハウゼルの運用習熟に入るので、何かあったら連絡を」

「合い判った。なにとぞよろしく頼む」


 ロボットアニメの主人公じゃないんだから、いきなり乗った機体をすぐに使いこなせるとかあるハズがない。俺たちも要塞をキチンと使えるように、シッカリと訓練しておかないと。

 要塞の強力に主砲で、敵を一掃するとか楽しそうなんだよな。

 なかなかオモシロそうな戦いになりそうだ。


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