表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
244/398

234

「よろしくお願いします」

「ああ、今日も頑張ろうか」


 さて、既にレーゼ少年の修業を始めて一週間になる。

 彼は既にB+ランクにまで力を伸ばしている。実に素晴らしい成長速度だ。この調子なら、1ヶ月以内にA+ランクまで引き上げる事も可能だろう。


「で、今日の修行だけど、今日は装機竜人を使った実戦訓練をしよう」

「本当ですかっ」


 レーゼ少年の目がものすごく輝いている。

 うん。ヤッパリ巨大ロボットを自分で動かすのは憧れるよね。


「装機竜人を駆るのは、Sクラスになった時のための良い練習になるからね。今から始めておいて損はないよ」

「今からSクラスになった時の事まで考えるんですか?」

「それはそうだよ。なんたってキミは、俺と同じレジェンドクラスになる候補なんだから」


 Sクラスどころか、レジェンドクラスになった時のための対策だってやらないといけないんだから、修行の前倒しは仕方がない訳だよ。


「ボクがレジェンドクラスになるなんて、想像も出来ないんですけど」

「それは俺だって同じだったさ。世界樹の使徒になったと思ったら、ミミールにイキナリキミはレジェンドクラスになるなんて言われた時は、本気で耳を疑ったよ」


 確かに、10万年前の転生者たちが残してくれた修行法をミッチリ8年以上も続けてきた結果、11歳の時には既にSクラス、それも最高峰のES+ランクになっていたけど、更にその上であるレジェンドクラスに至るとはカケラも思っていなかった。

 まあ、状況的に死亡フラグが乱立していて、レジェンドクラスどころか、更にその上のジエンドクラス、しかも最高峰のΩランクにでもならない限り、生き残れそうもなさそうだなとか思ったりしていたけど・・・・・・。


「まあその話は置いといて、せっかく装機竜人なんて超強力な巨大ロボットがあるんだ。乗りこなさなきゃ損だよ」

「ですよね。ボクもいつかは自分の専用機を持ちたいなって思ってたんです。初めて装機竜人の事を知った時には本当に興奮しました。その後、乗るために最低でもB-ランク以上の実力が必要って知った時には、本当に愕然としましたけど」


 それは判る。俺も同じ思いだったし。

 B-ランクともなれば、戦車部隊を1人で、それも生身で壊滅させられるほどの人外レベルだ。

 まあ、この世界には更に次元の違い過ぎる人外が平然と存在していて、その程度じゃあ地球で言うところの達人程度にも満たないんだけど・・・・・・。

 なまじ、地球の常識があるから、そんな人外になるなんて無理な決まっているだろって思ってしまうんだよな。

 実際には、余裕で人外どころの騒ぎじゃないレベルにまであっと言う間になっていたけどね。


「そんな訳で、せっかく乗れるようになったんだから乗らない手はない訳だよ」

「はい。そうですよね」

「それじゃあ、とりあえずグングニールに乗ってみようか。自分の専用機は、自分で造った方が良いし」

「専用機ですか?」

「キミもSクラスになったら造るだろ? て言うか、うちのメンバーはすでに全員製作しているよ」


 実は、スピリットでライオルを鍛えている間に、ティリアやレベリアもSクラスになったのだ。

 でまあ、俺がライオルに付ききりだったので、割と暇だった彼女たちバ自分の専用機の開発を始めてみたらしい。

 既にSクラスに成って自分の専用機を組み立てていたメリアたちや、ユリィたちがああでもないこうでもないと口をはさんで、なにかあっと言う間に出来たらしい。

 ついでに言うと、なんとエイルまでも自分の専用機を造っているのだ。キミの場合は初めから専用機であるグラムがあるだろと突っ込めばいいのか、自分で造ってみたいという欲求を持ったことを喜べばいいのか判らないんだけど。

 とりあえず、我らが母艦であり本拠地でもあるヒュペリオンの格納庫には、それぞれの専用機がずらりと並ぶ事になった訳だ。

 実際の所、性能自体は10万年前の超技術で造られたグングニールなどよりはるかに劣るので、あくまで趣味の機体であって実戦で使う様な事はないんだけどね。


「もの凄い贅沢な趣味ですね」


 そんな説明をするとレーゼ少年はついて行けないとばかりに呆れてしまった。

 まあ、これが常識的な反応だろう。

 全員がSクラス以上になったうちのメンバーは、既に常識とかけ離れた所に居るからな。

 言っておくけど、決して俺の責任ではないから。

 彼女たちが常識から外れたのは、Sクラスになった者の宿命であって、断じて俺の責任ではないから。

 大事な事なので2度言いました。


「まあ、どうやったって10万年前の機体よりも高性能のモノなんて造れないからね。グングニールとかを調べ上げて、使われている技術の解析から新技術を生み出しても機体に搭載しても、数百分の1程度の性能が出せれば良い方だし」


 同じ装機竜人でも、Sクラスの魔物に対抗するのを目的として造られている今の機体と、レジェンドクラスやジエンドクラスの魔物にまで対抗する事を前提として造られている10万前の機体とじゃあ、そもそも基本概念からして全くの別物だ。

 ついでに言うと、今のところ同等の機体を造れる可能性があるのは、俺とライオルを含めたレジェンドクラスの6人だけだ。

 何故かと言えば、グングニールなどと等々の機体を造ろうとすれば、素材としてレジェンドクラスの魔物のモノが絶対に必要で、それを錬金術を加工できるのが、そもそも俺たち6人しかいないからだ。

 レジェンドクラスの魔物の素材は、確かに最高品質のものだけども、同時にそのあまりの質の高さ故に、加工出来る者が限られてしまう。

 剣や鎧などの素材として使う程度なら、最高の鍛冶師が心血を注いでかかればなんとか加工できない事もない。だけども、装機竜人程の超高度な魔道具を製作するための素材として扱える者となると、本気で俺たちレジェンドクラスだけになってしまう。

 

「まあその話は置いとこうか、話し出すと長くなるし、本気でそろそろ行こう」

「はい」


 とは言え、どうにもならない事を何時までも話していても意味はないので、俺たちはさっさとグングニールに乗り込む事にした。



「スゴイ。本当に凄いです」


 レーゼ少年は初めて乗る装機竜人に大興奮だ。

 防御障壁を展開して、音速の10倍以上の速度で駆け抜けるグングニールは、それ自体が恐ろしい破壊力を秘めた弾丸となる。ぶっちゃけ、対艦ミサイルとか比較にならない凶器だ。

 損や凶悪な超高速で自在に空を駆け抜けて、手にした大剣で魔物を一閃。或いは搭載した火器を放ち牽制し、強力な魔法で仕留める。

 装機竜人を駆っての戦いは、圧倒的な解放感と興奮を味合わせてくれる。


「興奮するのは判るけど、油断はするなよ。油断して操作ミスして地面に激突とか、目も当てられないから」

「判ってすよ。僕だってそんなカッコワルイのはゴメンです」


 だろうな。

 とは言え、音速の10倍以上の超高速で機体を動かしているんだ。ちょっとした操作ミスが大惨事を引き起こしかねない確かだから、興奮するのは構わないけど、シッカリ操縦と言うか操作に集中してもらわないと。

 まあ、ココは魔域内部だから、墜落しても人的被害とかはないだろうけど、いや、魔域まで討伐に来ている冒険者が巻き込まれる可能性があるか。

 

「それと、他にも討伐に来ている人たちが居るかも知れないんだから、彼らの迷惑にならないようにな」

「あっそれはそうですね。気を付けないと」


 ココは天人の国だからな。天人は見た目と違って過激な種族だから、冒険者とかは平気で魔域内部にまで討伐に来るんだよ。

 て言うか、一度遭遇した事があるんだけどアレはもう虐殺だろってレベルだった。

 俺も人の事は言えないんだけど、Sクラス20人によるパーティーで、魔域内の魔物を手あたり次第に狩り尽していた。

 うん。アレは見事なまでに一方的な蹂躙劇だった。


「下手な事をしたら、どんな事になるか判りませんからね」


 うん?微妙に話が通じていない様な?


「魔域内部にまで討伐に来るような人たちの戦闘を地増したりしたら、一体どんな事になるか、考えただけで恐ろしいです」


 ああ、なるほどね。そっちの心配をしている訳ね・・・・・・。

 まあ、そもそも魔域内部にまで討伐に来る連中ならば基本的に全員Sクラスだろう。それなら、装機竜人の墜落事故に巻き込まれたところで、そもそもケガ1つ負いやしないだろう。

 代わりに、楽しいハンティングを邪魔された事に居たくご立腹されるだろう。

 魔域内部にまで討伐に来るような戦闘狂を怒らせたらどんな事になるか、レーゼ少年はそれを心配している訳だな。

 うん。確かに危険かもしれないね。天人は見た目と裏腹に過激な種族だから。


「ヒルデ様は別ですけど、天人は正直恐ろしいほど過激ですから。正直、ついて行けないんですよ。だからボク、アベル作たちと一緒に旅に出られるようになって本当に嬉しいんですよ」


 これは間違いなく魂の叫びだろうな。

 正直、天人は地球からの転生者にはハードルが高すぎる種族だと思う。

 脳筋とは違うんだけども、かなりの戦闘狂の種族だし。色々と豪快と言うか破天荒なんだよ。

 俺はヒルデを基本にして考えていたから、実際にこの国に来て天人と付き合ってみてかなり衝撃を受けたよ。

 ヒルデは例外的におとなしくて、むしろ天王の様に良い性格をしているのがね天人の基本なのだ。


「それは良かったな」

「はい。本当に助かりました」


 そう言いながら、レーゼ少年もいずれは、天人らしい良い性格をするようになるんじゃないかなと思ったのは内緒。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ