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 さて、結局それから1ヶ月で遺跡の調査は終わったのだけども、シャレにならない遺跡が当然の様にいくつか出て来て、それについてどうするか悩まないといけなかったりして、どうしたらいいのか答が出ないまま、レザリア大陸に戻る事になってしまった。


「気が重い・・・・・・」


 だけど行かない訳にはいかない。

 既にヒューマンの各国にも事情を説明して、すでに動き出してもらってはいる。

 いるのだけども、本格的に調査や探索などを始めるのなら、俺も交えて一度トップ対談をして、色々と取り決めやらをしないといけない。

 この辺りが、いくつもの国に分かれているメンドクサイところだ。


「別に、キミの独断でさっさと代表国を決めちゃえば良いだけだと思うよ」

「そうですね。誰も文句を言わないと思います」

「確かにそうかも知れないけどね・・・・・・」


 確かに何時までも時間をかけた所で仕方がない事案ではある。

 正直、どうやった所でどこからも不満が出る事も無く、万事丸く収める事なんて出来ないのだから、さっさと済ませてしまって、次の事案に取り掛かった方が賢明だろう。


「とりあえず、各国の代表を集めて一度話し合いの場を持たないとな」


 俺の独断で決めてしまうにしても、キチンと体裁は整えておかないといけない。

 まずは、ヒューマンの全ての国の王が集まる会議を取り置かないと・・・・・・。

 と言っても、王が忙しいの当然だし、日程調整とか色々とメンドクサイ調整をして、実際に会議が開かれるのは早くても半月後くらいだろう。

 その間、俺は各国を回って根回しとか色々と裏でやらなければならない事が山ほどある訳だ。


「大変そうね」

「政治的な事とかに係わるつもりなんて一切なかったのにな、それがなんで、この都市でガップリ浸からなきゃならないんだか・・・・・・・。とりあえず、俺はしばらく忙しくなるから、その間はみんなの事はミランダに任せるから。出来れば、遺跡とかの情報を集めてくれると嬉しいんだけど、・・・・・・難しいだろうな」


 例えば、ユグドラシルやレイザラムなんかは、それこそ数十万年を超える歴史があるから、過去の歴史書なんかも残っていて、比較的過去の事を調べやすいのだけども、ヒューマンの国の場合、10万年前から続いている国ですら皆無なので、数十万年も前の事を調べるとなるとかなりどころじゃないほど困難なのだ。


「まあね。こっちだと10万年前の事を調べるのですら苦労するし、数十万年も前の事となると、資料が残っているかどうかも怪しいわ」


 そこが問題なんだよな。ヒューマンだけ、レザリア大陸だけ調査をしない訳にはいかないから、国を超えて大規模な調査が行われる事になるけど、情報が皆無で何の成果もあげられない、ひとつも遺跡を見付けられない可能性もあるんだよな・・・・・・。

 見つからないだけで、絶対に何処かにあるのも確定だし・・・・・・。

 場合によっては、俺が探索魔法で調べて回っても良いんだけども、大陸全体を隈なくとなると、どれだけの時間と労力が必要になるか、考えただけでもゾッとする。

 レベリア大陸は、ネーゼリアの中では小さな大陸ではあるけど、それでも地球の総面積よりも広いのだ。凡そ倍はあるので、隈なく捜索するとかどれほど大変かは判ってもらえると思う。


「まあできるだけ早く終わらせたいよ。今年は誕生日には帰ってくるようにって両親に言われているし」

「うん? 誕生日、誰の?」

「俺の。後1ヶ月で14歳だな」


 因みに誕生日は3月3日。


「聞いてないんだけど?」

「そりゃあ、聞かれなかったし」

「「「「「「「そうじゃなくてっ!!!」」」」」」」


 何かみんなして怒っている気がするが、どうした?


「何で教えないのよ。知っていればみんなでお祝いしたのに」

「13歳の誕生日、お祝いしてない」

「みんなの誕生日はキチットお祝いするくせに、どうして自分のは放っておくのよ?」

「聞き忘れてた私たちも悪いけど、なんで言ってくれないのよ」


 そう言われてもな。


「別にもう、誕生日を祝う様な歳じゃないし」

「それは私に対する嫌味かしら?」


 これは失言だったみたいだ。ミランダとアレッサがかなり怒っている。

 そうは言っても、誕生日だからってケーキを食べたりとかするのも特に興味がないし、プレゼントをもらうのもなんとなく躊躇われる。

 多分、みんな心から祝ってくれるし、プレゼントも張り切ってくれるだろうけど、なんと言うか・・・・・・。


「いや、正直に言うと、誕生日だからって祝福されたりとか、なんか照れ臭い」


 この辺りが一番妥当な言い訳かな。それに、ある意味本心でもある。

 末端とはいえ貴族家に生まれたりすると、前世とは比較にならない様な盛大な誕生パーティーとかが普通になるんだよ。

 正直言って、見も知らない様な人たちまで多く集まる毎年の誕生日はかなりの苦行だった。


「そうは言っても、今のアベルの立場で誕生日を祝わないなんて訳に行かないでしょ」

「そうですね。去年の誕生日なんて、当人が居ないんでご両親も相当苦労されたと思いますよ」


 それはあるかも知れない。けれども、当時は色々と忙しかったのだ。て言うか、レベリア大陸にいなかったし、誕生日のためだけにワザワザ戻る訳にもいかないし・・・・・・。


「今年は、お父様も国を挙げて盛大に祝おうとするはずです。ですので、キチンと御生家に戻られていただかないと困りますよ」


 ティリア曰く、ベルゼリア王家としても盛大に祝わないといけないらしい。

 もうティリアとの間にも、既に婚約が成立している様なものだし、そうなると良好な関係をきちんとアピールしておかないと、色々と面倒な事になりかねないという事だ。


「こういう行事は、余程の理由がない限りキッチリと参加していただかないと、他国に付け入られる隙を与えてしまいますから」


 隙と言うか、ヒューマンの何処の国も出来れば俺と縁を結びたいので、出来れば縁談の話を持って行きたい訳だ。だが、そうなると俺は80人以上と結婚する事になる。今の状況でも大概なのに、これ以上は流石にムリだ。そんな訳で、出来るだけそんな縁談の話を持ち込む隙を見せない様にしないといけない訳だ。


「だから、俺はそういう政治的な話は興味がないんだけどな」

「アベル様に興味がなくても、無縁ではいられませんから」


 これが他の種族だったらこんなに苦労しないんだけども、俺は3万年ぶりに出たヒューマンのレジェンドクラスだ。

 実に3万年ぶりともなると、色々とメンドウな事になる訳だ・・・・・・。

 因みに、3万年前のヒューマンのレジェンドクラスとは、いうまでもなく魔域の開放をした転生者の事だ。当時、10人の転生者がレジェンドクラスの超越者にまで至り、その力を持って魔域を開放しようと言う事になったらしい、結果は、言うまでもないんだけど・・・・・・。

 まあ、シャレにならない事態を引き起こしたのから、実に3万年ぶりになる訳だし、ある意味、何か仕出かさない様にシッカリと監視しておきたい面もあるだろう。・・・・・・二の舞はゴメンだろうしな。

 因みに、ヒューマンの転生者で、レジェンドクラスになるのは3万年ぶりになるけれども、他の種族に転生してレジェンドクラスに至った転生者は結構いたらしい。

 歴代のレジェンドクラスの中には、転生者がかなりいたのはまあ、むしろ当然だろう。


「はあ・・・・・・、とりあえずベルゼリアに向かうか」


 それと、俺が政治的なかかわりなんて持ちたくなくても、国ひとつ簡単に滅ぼせるような過剰戦力を何もしないで自由にさせて行くなんて論外なのも、それぞれの国としては当然の判断なのくらいは判る。


「早めに誕生日当日の予定を聞いておかないと、危険そうだしな・・・・・・」

「相当なハードスケジュールになるのは目に見えていますからね」


 正直、当日は自分の誕生日を祝う暇なんてないくらいの過密スケジュールになるだろう。

 ヒューマンの全ての国から王族が参加するのは確定として、各国の貴族もこぞって参加使用して来るだろうし、ユリィやケイと婚約しているのだから、エルフとドワーフの王も来るだろうし、それと一緒に他の種族の王たちも来る可能性がある。後、レジェンドクラスの4人も来るかもしれない。


「そう言えば、クマーラたちも呼んだ方が良いのかな?」


 その辺どうするべきなのかイマイチわからない。

 それと、ルークたちは呼ぶつもりだ。特にニーナは呼ばないと後が怖そうな気がする。

 彼女は、自分の力でSクラスにまで至ってから俺たちの仲間になりたいと言っていた。この前、彼女たちと別れてからすでに半年余りか、彼女ならばもうすぐSクラスになるかも知れないと思う。


「ああ、ザッシュとサナの両親も当然来るよな。今度はシッカリとしろよザッシュ」

「判ってますよ」


 そうは言っても、前回は最後までガチガチのままだったからな。レベリアの事も含めて、これからの事をシッカリ話し合っておいた方が良いだろうに。

 

「それにしても誕生日か、いったいどれだけの費用が掛かる事になるだろうな・・・・・・」 

「さあ? でも良いんじゃない。貯め込み過ぎててもしょうがないし」


 それはそうなんだけども、望んでも居ない誕生パーティーのために、数十億リーゼは確実に飛んでいくのもどうかとか思うんだよ。

 いや、その程度じゃすまないか?

 100億リーゼは確実?

 まあ今回は仕方がないけど、毎年は本気で勘弁して欲しいモノだ・・・・・・。


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