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「これは良いな」

「気に入ったの?」

「ああこのデザインと、何処までも機能性を追求したつくりは芸術的だ」


 俺が絶賛しているのは魔道四輪。魔道車。つまりは車だ。

 遺跡には単に移動する為だけの魔道車なんかが残されてたりはしなかったし、転移や非行の魔法が使えるので特に必要なかったので、今まであまり気にした事も無かったのだけども、こうして改めて現物を見てみると欲しいかも知れない。


「確かこれは最新モデルだよ。最高時速は確か500キロくらいだったっけ」

「成程。その速度でもドライバーには全く負担がかからない様になっているのか」


 F1カーも真っ青な速度を出しても車体振動など皆無。Gが襲う事も無く。しかも、どんな荒れ地であっても問題なく最高速度を出し切れる設計になっている。

 武骨な車体は、まさに走る事を極限まで極めた結果とも言える美しさまで感じさせる。


「買うつもり? 使う機会もないと思うけど」

「まあ、普段は使う機会もないだろうけど、休暇中に趣味で走らせるには良いと思うし」


 前世では免許を取ってなかったからね車を運転した事もないんだけど、この車を思いっきり爆走させて盛るのも面白そうだと思う。

 なんとなくだけども、過酷なレースにあえて挑むレーサーの気持ちが少し判った気がする。

 まあそれはともかく、この車、アシットヘイムは買いだ。


「他にも何か面白そうなものがあると良いんだけど」


 魔道四輪に続いて、魔道二輪、バイクも良いかも知れない。

 後、自分で造ってみるのも良いかも知れない。それも変形するヤツ。

 車からロボットに、バイクはパワードスーツにチェンジするとか良いかも知れない。

 戦闘機と言うかドラゴンに近い飛行形態から人形に変形する装機竜人の様に、車の走行形態から人形に変身する小型の装機人。

 うん。悪くない。なかなかに面白い。どうして今まで思いつかなかったんだろう。日本人としてむしろ見逃せないだろう。

 まあ、車から人型ロボットに変形するのは、突っ込みどころが満載だったんだけどね。特に、その変形パターンじゃあ中身スカスカだろて言うのが多かった。

 手足も胴体部ですら外側だけで中身スカスカのハリボテロボットにしかならないだろそれじゃと言う突っ込みを、前世でロボットアニメなどを見た時に何度した事か・・・・・・。

 だが、この世界ならその手の問題は一切ない。

 車の時には邪魔になるロボットの内部フレームを収納コンテナの中に収めておけば良いだけの事。 

 所謂。アイテムボックスとかの応用で、装機竜人などが使用兵装を搭載している以外にも、実は変形機構の為にも一部使われていたりする。


「アベル。何か変なこと考えてない?」

「いや別に、ただ、車から変形する小型の装機人とかを作ってみるのも面白いかもと思い付いただけだよ」

「それって何の意味があるの?」

「ないな。単に面白そうだと思っただけ」


 俺の答えにケイは呆れるが、どの道に宮のロボットアニメの影響で思い付いたようなモノだ、実用性なんて事実上皆無なのは初めから解っている。

 ただ、単に車ではなくて戦車からロボットに変形するとか、色々と試したいものがあったりする。ザッシュ辺りにはにしたら確実に飛びつくだろう。他の二人は判らない。

 この辺りは、男子と女子で明確に反応が判れたりするからな。


「そう言えば、そんな変形ロボットが出てくるアニメとかもあったような」

「まあ、日本のロボットアニメじゃ割と鉄板だったからな」


 変形合体とかの方が更に鉄板だけども、これは本当に実現が難しい。

 まあ、とりあえず戦闘機から人型ロボットへの変形は実現させているし、その内、変形合体にも挑戦してみたいものだ。

 実の所、そんなもの作っても何の意味もないんだけどね。

 巨大ロボットを造るのなら、はじめから一体のロボットにしろっていうもので、ワザワザ、強度に不安が出るに決まっている変形や合体の機能などを搭載する理由が、現実には全くないのだ。


「そう言えば、複数のロボット、装機人みたいのが変形して合体するのも多かったけど、あれだけは本当に意味が判らなかったよ」


 まあそれはそうだろう。そもそも、複数のロボットが合体して出来た巨大ロボットは、すなわち機体各所に搭乗者がいるコックピット、つまりは弱点が点在している事になる。

 そうなると、例えば足や手に被弾だけでパイロットを一人失うなんて事態にもなりかねない。


「それについては、反論の余地もないよ」


 要するに、有人の合体ロボットほどナンセンスな物はないのだ。

 ロマンとかそんなのはどうでもよくて、兵器として活用する以上はこれが当然の結論となる。


「まあ、それは置いておいて、もう少し色々と見せてもらおうかな」

「まあ、何を造るのもキミの自由だし、余り無体な物を造らない限りは私たちも何も言わないよ」


 つまり、変形合体のロボットなんかを造った日には、そう出てツッコミが入るのは確定と・・・・・・。

 まあ、実用性が皆無な物を造ってどうするんだって話だし、有人式の変形合体ロボットの場合、当然それぞれの機体にパイロットが登場しないといけないんだけども、そんな危険な物に乗りたいなんて思うのなんて、転生者以外じゃありえないだろ。


「とりあえずは、俺がこれから造るかも知れないモノじゃなくて、魔道具を見て回ろうか」


 これ以上話を続けると、泥沼になりそうなので魔道具を見て回るのに専念する事にする。


 そんな訳で、魔道具を見て回ったり魔剣や聖剣などを覗いてみたりして、ケイとのデート兼王都散策は終わり、続きましてはアストラル魔法の習得訓練だ。

 俺としては、そろそろだれか覚えてくれないかなとか思ってる。

 

「それじゃあ、今日の訓練を始めようか。みんな、そろそろ感覚を掴みかけて来てると思うんだけど」

「確かに、おぼろげながら掴みかけて来てる気はするけどね・・・・・・」


 流石のミランダも自信なさげだ。

 まあ、明確にイメージを理論的に理解するのが最も難しい魔法だからな。

 それに、魔法のコントロールも他の魔法とは比べ物にならないくらいに難しい。

 実際、俺も覚えてから使いこなせる様になるまでにはかなり苦労した。

 その辺も、一度覚えてしまえば後は割と簡単に自在に使いこなせる様になっていく、火や風などの属性魔法とは大きく違う。


「まあ、全ての属性魔法の頂点に立つような魔法だからね。そう簡単に覚えられるモノじゃないよ。だけど、当然だけども覚えられれば、強力な武器になる」


 なかなか成果の出ない修行だからな、モチベーションを保つのも結構大変かもしれない。

 そんな事を思いながら、習得訓練を始めたみんなの様子を見守っていく。


「ああダメ、虚無魔法と生命魔法を合わせても、アストラル魔法にはならないよ。あくまで、光と闇、魂魄と精神の4つの属性魔法を合わせないと」


 ココが難しい所なんだよな。

 虚無と生命の二つの属性魔法を合わせる事でも発動出来ればいいのだけども、アストラル魔法はあくまでも元となる四つの属性魔法を合わせなければ発動しない。

 そんな訳で、虚無と生命の二つの属性魔法を覚えても、それぞれの属性魔法を融合させるコツを掴む事しか出来ない。

 それと、虚無と生命を合わせて発動する属性の魔法は存在しない。アストラル魔法とは別に、そちらの属性の魔法もあると良かったんだけども、いや、融合した属性魔法を更に融合させた属性魔法も一部あるけど、逆にそんなモノがいくらでもあったりしたら、魔法の属性が膨大な量になり過ぎて対応しきれない。

 もう、100や200じゃすまなくなるだろう。下手をすると1000を余裕で超えるかも知れない。

 正直、俺としては30を超える属性魔法があるだけでも一派一杯だ。


「4つの属性を均一の力で発動させないと融合できないよ。ユリィ、今のは光属性の力が強過ぎた」


 ユリィはどうしても闇魔法がイマイチ苦手の様だ。彼女の場合、水や風に比べて火属性が苦手だし、これはエルフの種としての特性上なのかも知れない。

 とは言っても苦手でもなんとかうまくコントロールしてもらわないといけない。


「同じ魔力で発動させたのに、融合させようとすると力が崩れちゃう」

「特異な属性と苦手な属性じゃ、同じ魔力で発動させても威力に違いが出るよ。それぞれの属性ごとに、どの程度の魔力で発動させると同じ力を発揮するかを見極めないと」


 それも難しいんだけどな。何気に、その日のコンディションによって各属性の力の差も変わってきたりするし。

 この世界の魔法は、それこそ万能だけども、逆に万能過ぎるが故に難しい面も多いのだ。


「とっ、出来た!!」


 なんて考えている内に、ケイがアストラル魔法の習得を習得した。

 はじめに覚えるのはミランダだと思っていたから、これは驚き。

 

「私も出来たわよ」


 なんて思っていると、すぐにミランダも覚えてみせる。

 全く、負けん気が強いと言うか・・・・・・。

 とはいえ、これでようやく習得訓練にも目途が立って来たな。


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