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「さてと、それじゃあ早速案内しようか」


 この遺跡は、食材の貯蔵庫であると共に、食の研究施設でもあるのだけども、何はさて置き、メインはやっぱりジエンドクラスの食材が保管されている倉庫だ。

 でその倉庫は、遺跡の入り口からまっすぐに行った所にあるエレベーターで地下に降りた先。地下3階のフロア全域。

 因みに、この遺跡の大きさは大体1階のフロア面積が1万平方メートル程。

 なんだけども、ジエンドクラスの食材が保管されている貯蔵庫は当然の様に比べ物にならない広さを持つ。

 て言うか、ジエンドクラスの魔物は一匹でこの遺跡よりもはるかにデカい。実際に見た事はないのは当然なんだけども、記憶によると全長1000キロを超える魔物もいるらしい。

 そんな魔物の身なんだから、保管するにしても相当な規模の貯蔵庫が必要になるのは当然と。

 何かこの説明は前に模した気がするな・・・・・・。

 地下3階のエレベーターを降りてすぐの扉を開けばそこは貯蔵庫。凄まじい量の最高の食材が保管されている。


「まさか我が国に眠っていようとはな」

「遺跡は限られた物しか開ける事は出来ず、転移も拒むのですから、中に何があったとしてもその情報が受け継がれなくなってしまうのも仕方がないのかも知れませんが、やはり、この遺跡の情報が失われていたのは惜しすぎますね」


 まあ、基本転生者しか入れない所だからな。

 実の所、その辺りが、つまりは何で転生者しか入れない、使えないようにしたのかが判らないんだけど、


「それよりも、ココに収められているのはどのような食材なんですか?」

「ああ、ココにあるのは鳥系統の食材だよ」


 最初は驚いたけど、エルフには森の民と後風の精霊とかのイメージもあったからその意味ではここに収められているのにピッタリかも知れない。


「それと、一部植物系の食材もある」

「ええっ? 本当にあったんですか?」


 まあ驚くのも無理はない。それ以前に、ジエンドクラスの植物系の魔物って何だ? とかなり本気で悩んだ。いくら考えても一体どんなのかなんて答えは出てこないので諦めたけど。

 とりあえず、直径10メートルはある巨大なリンゴを発見したので、少し切り分けて食べてみたのだけども、余りの美味しさに言葉を失った。て言うか呆然自失で気が付いたら30分も経ってたよ。

 しかも、自分で気が付かない内に10分の1近く食べていたし。

 一体どうやったらこんな利用を食べれたんだろうと自分でも引いたよ。

 因みに、そのリンゴは今度は世界樹の蜜も使ってアップルパイにしようと思っている。後ジャムにしても良いし、ジュースにもする予定。リンゴは色々と活用法が広いので非常に楽しみだ。どれも思わず昇天してしまう程に美味しいのも確定だし。

 そんな訳で、同じ物を既に後3つほど回収していたりする。


「木の実や果物の類が多いけど、いったいどんな魔物から採れたのかはまったく判らない」

「そこは深く考えないで良いんじゃない」


 ミランダの言う通り、それが一番無難だろう。ひょっとしたら、魔物の世界の果物や木の実だったりする可能性もあるし気にしてもどうにもならないと諦めるのが一番。


「それにしても、ココも本当にとんでもない量が残されているよね」

「これまでに何人もココを訪れては、食材を回収していったはずなのに、全然減っているように見えないしね」

「もし、ココにある食材をいっぺんに流通させようと課したら、一体どんな事になるか考えるだけで怖いんだけど」


 それはあるな。て言うか此処に保管されている量ってこの世界の全人類で食べてもまだ余るだろ。

 とは言っても、一人前で1000万リーゼはする肉を100億人に行き渡らせようとしたらどれだけの金額になるか・・・・・・。考えただけで恐ろしい。

 無償で配る?

 論外。そんな事をしたら後でどうなるか・・・・・・。


「まあ、10万年前以上前は、ジエンドクラスの魔物が1日に何度も現れていたらしいからな。そうなると、過剰な量が行き渡る事になる訳だ。ひょっとしたら、コレが10万年前には一般的な食材だった可能性もあるし」

「それは羨ましすぎます」


 でも実際にありそうだ。今よりも更に比較にならない程に死と隣り合わせの世界で、戦い続けるための士気を高めるためにこれ程有効な手もないだろうし。


「とりあえずは俺たちも楽しませてもらうとして、どのくらい持って行くのだ妥当なんだ?」

「さあ? 1万トンやそこら持って行っても何の問題もないけど」

「今回もまた例によって、レジェンドクラスの4人が大量にお買い上げしていくだろうし、今回はシュトラの結婚式でも使うし、それなりに持って行った方が良いかな」


 そんな訳で、色々種類をそれぞれ確保しながら持ち出していく。

 まあ、俺たちの場合は足りなくなったらいつでも取りに来れるんだけど、その辺はまあ内密に。

 当然と言うか、女性陣は果物の方に興味津々の様子で、早速味見しては至福の悲鳴を上げている。

 あれもまあ結婚式の時の目玉になるのは間違いない。もっとも、素材の味を完璧に活かし切れるパティシエが居るかどうかが問題だけど。

 うん。あれは本気で料理人泣かせだと思う。そのまま食べるよりも美味しく料理するなんて不可能じゃないかとすら思う。精々焼きリンゴにするくらいが精一杯?

 まあ、その辺りはエルフのパティシエのお手並み拝見といったところか。

 今は何よりも、実食だ。

 間違いなく各国の王にレジェンドクラスも勢揃い。

 料理するのは今回も俺かな?



 ラグナ・フェニックスのもも肉をソテーして一緒に手に入れたリンゴの果汁を使ったソースをかける。皮はパリッと香ばしく身は柔らかくジューシーに。それとローストも作る。こちらは塩味で純粋に肉の旨みをそのまま楽しむように。

 カオス・シームルグはもも肉に胸肉、ささみなど各部位を薄切りにして、皮と骨から取った出汁で主部しゃぶしゃぶにする。そして千切りにしたキュウリや白髪ネギ、水菜などを包んで、同じく一種に手に入れた柑橘系の果物の果汁を使ったポン酢で頂く。

 ジェノサイド・グリンカムビのボン尻を使った親子丼も用意。どうしてか卵もあったけどとてつもなくデカい。20メートルはある。とてもじゃないけど使いきれないので、余ったのでオムライスも造る。ふわトロ卵タイプのオムライス。ソースはあえてクリーム系。

 エビル・ベンヌ肉を使った唐揚げ。これは定番の醤油敏夫に加えてカレー風味の3種類を作る。それぞれ味付けして馴染ませるのに丸1日寝かせて、片栗粉をまぶして揚げる。高音の油でサクッとジューシーに、個人的な好みでレモンは添えない。それともつ鍋も作る。ピリッと辛いみそ仕立てで、最後のシメはうどんで。

 4種類の肉、それぞれを使った焼き鳥も作る。当然タレと塩の両方。モモにネギまにつくね。レバーなども忘れずに。

 それと鳥刺し。こちらはショウガ醤油かゆず胡椒で、塩だけで食べるのも良い。あえて野菜などの付け合わせはなしで純粋に肉の旨みを味わってもらう。

 それとさっと炙った肉で握り寿司も、これもそれぞれの肉の味の違いを楽しんでもらうには最高の一品。

 白湯スープも忘れずに。4つ用意した度本当にどれも驚くほどに味が違う。

 デザートとして、巨大なリンゴを使ったシャーベットとパイを用意。正直言って、こちらは素材の味を活かしきれているか自信がまったくない。

 

 それはともかく、今か今かと待ちわびているメンバーの元に料理を運んでいく。

 判っていたけど凄い人数になったものだ。何か普通に100人を超えているんだけど・・・・・・。

 まあ、俺たちだけでも30人近いし、それに加えてレジェンドクラスの4人に、各種族の王に王妃、だから前も言った気がするけど、もしもココでテロでも起こったら世界は終わりじゃないかって顔ぶれ。

 まあ、このメンバーを相手にテロを起こした殺せるような人間は存在しえないけどね。


「うむ。今回も実に美味そうだ」

「こんなにも早く、再びこの席を設けられるとは思いもしなかった」

「これもアベル殿のおかげよ」


 そんな事を言いながら、ドワーフ。竜人。鬼人の王は既に飲む準備万端だ。

 この3種族は特に酒好きだから当然かも知れないが、何かそれぞれ秘蔵の酒を持ち寄っているみたいだ。


「では、早速いただくとしようか」


 最年長のレイストリアでももう我慢ならないらしく。早速食事となる。

 何から食べるかはそれぞれの自由。飲む気満々の面々は当然の様に焼き鳥から行くし、ガッツリ行きたいメンバーは親子丼からバクバクいってる。

 因みに俺は鳥刺しから。

 まずはあえて塩で、薄い桃色の透き通った身に塩をほんの少し付けて頂く。


「・・・・・・・・・・・・はあっ」


 言葉が出ない。美味い。まさにに至福。

 刺身を一通り楽しんだら今度は寿司に行く。 こちらは軽く炙ってあるし米と一緒。しかも貴族のとっておきの最高の米。キロ当たり10万リーゼととんでもない値段の一品だけど、ジエンドクラスの食材に負ける事無く更に味を引き立てられるんだから本当に凄い。

 それにしても、この2品は日本酒が欲しくなるな。最高の大吟醸。貴族の王が持ち込んだらしいそれを頂くかな。


「おお、その酒は冷酒のままが一番じゃ。下手に温めてしまってはせっかくの香りが飛んでしまうからな」


 との事なので、キリガラス製のおちょこにキリリと冷えた大吟醸を注いで、まずは鳥刺しを肴に一口。

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・美味い」


 これは、この世界に来て初めて、て言うか前世も含めて初めて、記憶を失うくらい飲んでしまうかも知れない。

 と言うか、既に何人かそうなりそうなメンバーが居るんだけどね。

 まあ良いや、今日は何もかも忘れてとことん楽しませてもらうとしよう。

 酔い潰れたら? 知らないよ。まあ、酔っぱらってトンデモナイ事を仕出かさない様に、それだけは注意しておこう。



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