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 大気を切り裂いて巨大な人型ロボットの部隊が大きく右に旋回し、魔物の攻撃を躱すと共に一気に距離を詰めていく。そして交差する瞬間に各機が確実に攻撃を叩き込み、巨大な魔物を撃破する。

 同時に襲い来る攻撃を複数の機体が共同展開した防御フィールドで防ぎ、同時に空いた機体が反撃を叩き込む。

 同時に、敵の注意がソチラの部隊に集中している隙を付いて、もう一つの部隊が砲火を集中させて、二体の魔物の急所を的確に撃ち抜いて撃破する。


 グングニールでの戦闘シュミレーション訓練は佳境を迎えている。

 既にみんな完全に期待を乗りこなし、連携も万全だ。

 今は自分たちよりも数の多い、30のレジェンドクラスの魔物を相手にして戦っているが、常に自分たちに有利な状況を造り出し、確実に敵を撃破していっている。勝利まであと少しだ。

 戦果としては十分と言って良いだろう。

 この戦闘シュミレーション訓練で既に500億リーゼ以上飛んでいるけれども、成果を考えれば必要経費としては十分だ。

 そろそろ、俺も参加しようかなとか思っている。

 俺自身、グングニールを自在に操ると言う点では問題ないけれども、連携と言う面では思いっきり不安が残る。

 まあ流石に、俺も装機竜人に乗って一緒に戦うなんて事態は起きないと思うけれども、俺自身が訓練参加したいと言う思いが、そろそまろ抑えきれそうにないんだよね。


 なんて思っている内に訓練終了。先頭時間は約20分。まずまずの出来だ。

 自分たちでも上手くいったのが判るのだろう。それぞれの機体から出てくるみんなの顔も満足そうだ。


「お疲れ。連携ももう完璧に近いかな」

「まあね。もっとも実戦でどこまで出来るかは判らないけど」


 逆にミランダが苦笑気味に返して来るけれども、そちらの方も問題ないだろう。

 俺自身が戦って得たデータを基の構築された戦闘シュミレーションにおけるレジェンドクラスの魔物の出来は完璧だ。実際の魔物が持つ圧力や圧迫感までもを正確に再現されてある。

 少なくても、この訓練を潜り抜けたみんなならば、実際にレジェンドクラスの魔物と相対しても、落ち着いて戦う事が出来るだろう。


「まあ、実際に相対しても取り乱さずに済みそうなのは確かだけど」


 なんだかんだで、やっぱりミランダもこの訓練のもう一つの意味を理解していたみたいだ。

 Sクランの魔物が持つ威圧感がA+ランクの魔物とは比べ物にならないほどに凄まじい様に、レジェンドクラスの魔物と相対した時に感じる威圧感は、、下手をすれば物理的な死に直結しかねない程に想像を絶するモノだ。

 まだSクラスの、圧倒的な実力差があるみんなでは、グングニールに搭乗して戦える力を持っていたとしても相対しただけど発狂してしまってもおかしくない。

 実の所、はじめの内はグングニールを満足に制御できなかったのも、相対する魔物の存在感に圧倒されてしまっていたからでもある。正直、下手をすれば恐怖に心が砕けてしまっていてもおかしくはなかった。


「そうですね。訓練の中でとは言え、実際にレジェンドクラスの魔物が放ち圧倒的に威圧感を跳ね返せる様になった訳ですから」

「もしこの訓練をしないまま、いきなり実戦でレジェンドクラスの魔物と相対してたら、グングニールがあっても私たち何も出来ずに殺されていたよね」


 そう、戦える力を持っているからと言って、実際に戦えるかどうかは判らない。それは当然の事だ。

 あの時、俺がレジェンドクラスに至った時の戦いで、俺が一人で戦ったのには、あくまで俺が自分の力を完全に使いこなせる様になるための試練だったと言うのもあるけれども、同時に、みんなが戦っても無駄だと理解したからでもある。

 コレを相手に何の準備も無く、突然に戦って精神を平穏に保つのは不可能だ。瞬時にそう理解できたからこそ、あの戦いにみんなを参加させなかった。

 もし、戦っていたら一人残らずしか出しまうのが目に見えていたからだ。

 同時に、あの戦いはある意味で都合の良いものでもあった。

 レジェンドクラスの魔物と戦う時の恐怖と、実際に相対したデータが得られたからだ。

 これを基とした戦闘シュミレーションをこなせば、みんな実際にレジェンドクラスの魔物と相対する時の心構えができる。


「そんな事にはまずならないと思うけど、万が一の時があるからね」

「うん。何せアベルと一緒に居るんだから。備えはシッカリしておかないとね」


 何やら随分と酷い事を言われているけど、実際にその万が一の備えをさせているのが俺自身なので言い返せない。


「まあ、とりあえずは訓練もほぼ完了かな。後は、俺も加わってのシュミレーションとか、或いは俺を相手にして戦闘訓練とかも多少しておけば、戦略の幅も広がるだろ」

「キミとね。非常に危険な香りがするのは気のせいかな・・・・・・」


 気の所為。気の所為。深く考えない様に、単に俺もやりたくなっただけだから。


「それと、そろそろ遺跡調査の方も再開するから。シュトラの結婚式が終わったら俺たちもユグドラシルを出てレイザラムに向かうんだから、それまでに終わらせるようにしないといけないし」

「そうなると、結構な強行軍になるわね」


 まあ実際の所、別に今回で全ての遺跡を見て回る必要性もないんだけども、シュトラなんかからは頼むから残りは次回に持ち越してくれなんて頼まれてたりもするんだけども、なんとなくだけども、遺跡の調査は出来るだけ早く終わらせてしまった方が良いと感じるので、今回割と無理をしてでも終わらせてしまう事にした。


「そうだけどね。なるべく早く終わらせておいた方が良い気がするんだよ」

「成程、カンね。それは是非とも急いだ方が良い」

「「「「「うん。うん」」」」」


 そんな真剣に同意されるほどのモノじゃないと思うんだが、何故かみんなしてアッサリと納得した模様。


「それで、遺跡の調査は何時から始めるの?」

「実は、既にいくつかの遺跡の事前調査は終わってる」


 今度は一斉に溜息を付かれた。


「キミね。いや今に始まった事じゃないけど、それで、調べた遺跡は私たちが行っても問題なかったの?」

「今の所は問題ない。それと、ひとつはジエンドクラスの魔物の食材を保管する倉庫だった」

「「「「「「「はあっ???!!!!」」」」」」」


 またまた今度は驚きの叫びが揃う。うん。仲が良くてなにより。


「この国に例の倉庫があったの?!」

「いや、そう言う事はもっと早く言おうよ!!」

「あっいや、そうだなすまん」


 ユリィとケイがすごい勢いで詰め寄って来るけど、良く考えらじゃなくて、考えるまでもなく当然だ。

 まいった。どうにもコッチの戦闘シュミレーションにばかり気を取られていて、結構肝心な所で抜けていたらしい。

 と言うか、シュトラの結婚式が間近なのだ、ジエンドクラスの食材はその祝宴を飾る最高の一品になる。

 それ以前に、ユグドラシルの遺跡で見つかったのだから、当然ながら遺跡に眠るご馳走の所有権はユグドラシルも持っている。ココでそれなりの量を確保しておけば将来の為にどれだけの投資になるか。


「それじゃあ、まずはシュトラ王子たちも連れて、その遺跡から行きましょうか」

「当然そうなりますよね」

「私たちも楽しみだし、いったいどんな食材なのかな?」

「海の食材の次は、ユグドラシルは深い森林に覆われているから森の獣系?」

「植物系の魔物は流石にないだろうしそれが妥当?」

「そうだよね。流石に植物系はないよね?」


 何か色々と盛り上がっているみたいだけど、話が進まなくなりそうなんだけど、


「それじゃあユリィからシュトラたちの方に連絡しておいてもらえるか? 時間が空いている様ならすぐにでも迎えに行くから」

「多分、時間が空いてなくてもすぐに行くと思うけど」


 それはそうだ。ユリィが端末で連絡を取ると、すぐに「はあっ????」とすっとんきょんな声が漏れてくる。


「すぐに迎えに来てくれって」

「やっぱりそうなるか。じゃあ、これからそのまま遺跡に向かうって事で」

「「「「「「了解」」」」」」


 全員揃っているから丁度良い。みんなを連れてシュトラの居る所に転移して迎えに行く事にする。

 王宮なんだから転移防止の結界が張ってあるハズだろなんて突っ込みは通用しない。

 そんな物は余裕で無効化できる。

 いや、今回はそんな事してないよ。転移防止の結界を対象外になる認証アイテムを貰っているだけだから。まあ既にユリィの婚約者として身内も同然なんだから当然と思っておこう。

 でまあ、シュトラの元に飛んでみると、シュトラは勿論王と王妃、それにケイの姉の結婚相手も揃っている。


「来たか、それじゃあ早速行くとしようっとその前に、頼むからそう言う重要な案件は前もって報告してくれ」

「私からも頼む。事前に報告とて貰っておかないと取り返しのつかない事になってしまいかねない事もあるからな」


 王と次期王に本気で懇願されてしまった。

 これは本気でこちらが悪い。報告を忘れていたのは完全に俺のミスだ。


「確かに、ウッカリしていた。後で既に事前調査を終えた他の遺跡についても報告しておくよ」

「いや、手に負えない遺跡の情報は正直、勘弁して欲しいんだが・・・・・・」


 そちらの方は大丈夫。本気でシャレにならない遺跡については情報を隠匿させてもらうから。

 とりあえずは、


「その辺は後で話し合うとして、とりあえず行こうか」


 早速、エルフの王族御一行を連れて遺跡に転移する。

 因みに、遺跡にはいくつか本気でシャレにならない危険物もいくつか残されてたりしたけど、それはもう回収済みだから大丈夫。

 それと、一足先に残されていたレシピで遺跡の食材を頂いていたりするんだけども、本当に至福だった。

 海の幸とはまた違う至上の美味。

 やっぱり、この世界に転生して本気で良かったと改めて実感したよ。


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