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書き直しをしていて投稿が遅れました。
第0、1話の書き直しへの差し替え投稿もしています。
「と言うか、気に入ったのは判るけどいい加減そろそろストップしようか」
食事の合間にもマンガを読んでいる姿に流石にストップをかける。
このままだと本気でみんなが生粋のオタクになってしまいそうで怖い・・・・・・。
とか言いながら、俺も久しぶりに読むマンガや小説に結構ハマっていたのも確かだけど・・・。
それにサナたち三人の記憶から読み取った作品には俺の知らないのもいくつもあったし、それらを読んだり観たりするのも面白かったのでここしばらくはみんなでハマって板は間違いない。
なのだけども流石にこれ以上は危険だろう。
「そんな不満そうな顔をしてもダメ。修行の方をシッカリしていたんなら何も言わなかったけど、みんなこの頃は修行の方が疎かになってたからな」
「「「「ぐうぅぅ・・・・・・・」」」」
少しキツメに睨み付けるとメリアたちは自覚はあるのか項垂れる。
何時もだったらこういう時はアレッサがみんなの手綱を上手く引くんだけど、今回は本人も℃ハマりしてしまっていてストッパーにならなかったからな。
「Sクラスになったからって気を緩めない。特にメリアたちはまだ力を完全に使いこなせていないんだから、ここでシッカリと力をコントロールできる様にならないと危険だ」
「「「はい、解っています」」」
S-ランクとA+なランク。ランクとしてはひとつしか違わないけれども、その力の差、魔力と闘気の総量の違いは桁外れのレベルになる。
少なくても数百倍の差は確実にある。
ゲーム風に言えば100万だったMPが一気に数億まで増えると言う事。
ゲームなら単に魔法の使用回数が桁外れに増えるだけだけども、現実ではそんな程度の生易しい話じゃない。体内に溢れる魔力と闘気をコントロールできなければ自爆してしまう気牽制するあるし、実際にSクラスの魔物と戦うためにはどの程度の魔力や闘気を込めた魔法や攻撃が必要なのかをしっかり把握して、また実際に使えるようにならないといけない。
A+ランクの時の全魔力を込めたよりも更に多い異様な膨大な魔力を収束して、ひとつの魔法として使いこなせる様になるには相当な練習が必要になる。
メリアたちは今まさにそれらの訓練をしている所だったのだけども、ここのところ疎かになりつつあるので苦言を呈したのだ。
「それに、キミたちは俺の弟子であると同時に、自分たちも弟子を取って育てないといけない立場にあるんだよ? そっちの方はどうするつもりなのんな?」
「私たちが弟子ですか?」
「想像も付かないんだけど・・・」
「いや、弟子の育成とか無理だよね・・・」
尋ねてみるとあからさまに困惑して見せるけど、それは流石に認識が甘すぎるぞ?
「キミたちも既にSクラス。A+ランクを偽装してい時の俺がメリアたちを弟子にしたように、キミたちも自分の弟子を育てて当然の実力を持ってる訳だし、実際もうギルドの方から催促が来る頃だと思うけど」
「国の方でも動いているだろうね。キミたちの弟子となれば、間接的にだけどアベルの指導が受けられる訳だし、アベルとの塚狩りも持てるからね。手ぐすね引いているハズだよ」
それはありそうだな、これまでに断りきれずに一応は弟子として指導してきた面々、ルークたちを除くここに居ない弟子未満の連中は、俺の指導に耐え切れずにA・Bランクまで成ったら速攻で逃げ出していった。
それでも貴重な戦力が育ったのだからある程度は満足しているだろうけれども、送り込んで来た側や野心満々で乗り込んで来た連中にしてみれば、出来ればSクラスにまでと言うのが本音だろう。
だけども、俺の指導は厳しすぎて、とてもじゃないけどSクラスに至るまで受け続けてなんていられない。
そこに現れた俺の指導に耐えきってSクラスにまで至ったメリアたち。
彼女たちに弟子入りすれば、間接的に俺の指導を受けられる事になるし、その修行も俺の程厳しくもないだろうし、実際にSクラスにまでなった彼女たちの課す修行をこなしていけば、彼女たちの様に異常な速さでSクラスに至る事はなくても、Sクラスまで至れる可能性は高いハズと考えるだろう。
つまりは、
「間違いなく、アベルの弟子入り希望者なんて比じゃない数が殺到するわね」
となる訳だ。
その様子が目に浮かんだのか、メリアたちはウンザリした顔をする。
「そんなに悲壮な顔しないでも、少なくてもアベルと一緒に居る限りはそんなに殺到してこないから、大丈夫よ」
「そうそう、メリアたちの弟子になって楽にSクラスまで成ろうと思ったのが、アベルが直々に孫弟子の指導に乗り出して、地獄の日々が始まる危険性があるって判ってるはずだからね」
楽しそうにフォローを入れるユリィとケイに言いたい。確かにその通りだろうけどもう少し言い方があるんじゃないかな?
メリアたちも良かったじゃないよ?
そこで喜ばない。それに、どの道いずれは弟子を取らないといけないのは判ってるのか・・・。
「・・・・・・まあ弟子の話は置いとくとしても、みんなの鍛錬が疎かになってるのは確かだから、しばらくは地球のコミックやアニメとかは禁止で」
「「「ええぇぇぇぇぇぇっっーーー」」」
大合唱のクレームも無駄。実際にここのところ魔力の循環すら疎かにしてるのは判っているんだからな。
このままじゃ何かあったら危険どころじゃない。
「死にたいなら別に良いけど、俺と一緒に居る以上はトンデモナイ事態に巻き込まれるのは覚悟してたんじゃないのかな?」
レジェンドクラスとの連戦なんてありえない事態すら起きたんだ、この先なにが起きても不思議じゃない。そんな中で鍛錬を怠るのが自殺行為だって事くらい判っているハズだ。
「そう言われると反論できない」
「確かにここのところ怠けてたのは事実だし・・・」
「ここにき来てから一気に強くなったから少し浮かれてたかも」
シオンたちも納得してくれたようだ。
因みに、意外かもしれないけど日本のサブ・カルチャーに一番ハマっていたのはエイルとティリアだったりする。
エイルは自分を生み出した十万年前の転生者たちが前世で暮らしていた地球がどんな場所か興味があるらしく、ティリアも自分の先祖が転生者だから興味津々。建国王について知る絶好の機会ですとか言って読み漁ってた。
これもまた今更だけども、エイルたちヴァルキュリアシリーズの開発は10万年前の超絶チート転生者たちよりも以前にこちらに来た転生者たちによってなされたらしい。
ちょうど一万年ほど前、今からだと11万年前の転生者らしい。
完全に蛇足の情報だが。
「それと、次はいよいよアソコに行くんだからな」
「「「あ・・・・・・・」」」
俺の宣言に完全に言葉を失っているのは、今の今まで完全に忘れていたと言うより、記憶の底に封印していたからだろう。
ここのところ日本のサブ・カルチャー漬けの日々を過ごしていたのは確かだけど、別にそれ以外何もしていなかった訳じゃない。
・・・・・・修行が疎かになっていたのは確かだけど、遺跡の探索はキッチリと続けて、ヒューマンの大陸では残すは後一つだけになっている。
そう、最後のひとつ。即ちGの魔域がある国の遺跡だ。
・・・・・・結局踏ん切りがつかなくて、最後まで残してしまった場所へ赴かなければならない。
「出来ればもう二度と行きたくなかったのに・・・・・・」
それは俺も同じだよミランダ。
あの国にはトラウマしかない。
悍ましいGの大軍。そしてあまりにも巨大なG。思い出すだけでも鳥肌が立つ。
出来れば一生、記憶の奥底に封印し続けてしまいたいのに・・・・・・。
どうしてあの国に遺跡があるんだと叫びたい。
発掘済みの遺跡さえなければいかずに済んだものを・・・・・・。
遺跡を発掘した誰とも知らないかつての転生者に殺意を覚えるぞ本気で・・・・・・。
「幸い、今は冬だからGの魔物のしゅづ権料も救いハズだ」
「つまり、行くなら今しかないって事ね・・・・・・」
魔物であっても原型であるGの性質をある程度受け継いでいるのか、アレは冬の間はこちらへの侵攻が少なくなるらしい。
少なくなっても無くなる訳ではないんだけど・・・。
夏の頃のように数百・数千の大軍で襲い来るような事はまずないそうだ。
「良いか、速攻で遺跡の調査を終わらせてすぐに発つぞ。Gが出て来る前に逃げ出すんだ」
俺の言葉に全員が力強く頷く。
こうして俺たちはココロを一つにしてヒューマンの大陸、最後の遺跡へと向かったのだ。




