表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
194/398

184

 さて、レベリアの歓迎に託けて大騒ぎして楽しんだからでもないけど、とりあえずはいくつか頭の中で整理はついた。

 10万年前の転生者の事については、もう、かんがえるだけ無駄なので放置確定。

 これからも転生者との遭遇ラッシュが続くかもしれない事については、来るなら来いと開き直るしかないだろう。

 今のところ特に問題のある転生者はいないけど(一番問題なのは俺だと言う事は判ってるつもり)これからも転生者が次々と現れて来たなら、中にはヒューマン至上主義者どもを造り出した、大陸制覇どころか世界制覇をしようとした超絶バカみたいなヤツも現れるかも知れないけれども、その時は即座に抹殺も含めて対策を検討すればいいだけだ。

 もう、何処までも我が道を幾を突き進む事にした。

 そんなのは前からだろうと突っ込まれても気にしない。

 これでも、転生者関係とかでは色々と気を使ったりしていたんだけども、何かもうどうでも良いと言うよりも、気にするだけ無駄な気がしてきた。

 そんな訳で、いい加減そろそろ俺たちが転生者である事も話そうかなと思っている。

 勿論、流石にこれは俺の一存では決められない。ザッシュたち三人とも話し合って決めないといけない。


「さてと、そろそろ転生者である事をみんなに明かすべきなんじゃないかと思うんだが」

「あの、そもそもどうして転生者である事を隠していたの?」


 俺が切り出すとレベリアがそもそもの疑問を投げかけてきた。そう言えば、彼女には転生者である事を隠すようには伝えておいたけど、その理由についてはキチンと説明していなかったっけ?

 とりあえず、彼女に俺たちが転生者である事を隠す理由、彼女にとっても関係の深い話をする。


「ヒューマン至上主義を生み出したのは転生者だったんですか・・・」

「そう、しかも精神操作系のマジックアイテムをばらまいて無関係な人たちを無理矢理操ってな。キミの両親もその被害者だったんだよ」


 ヒューマン至上主義に取付かれて、娘すら道具としか見れなくなっていたレベリアの両親。しかし、それも全ては愚かなかつての転生者が残した怨念が生み出した悲劇。

 レベリアの両親もまた、マジックアイテムによる精神操作を受けてヒューマン至上主義者に仕立て上げられた被害者だったのだ。


「そうだったんだ・・・・・・」


 本当なら、もっと早くに説明すべきだったのは判っている。だけど、気丈に振る舞っていても彼女が記憶を取り戻す前の十八年間を気にしている事くらいは判る。

 過酷な環境に置かれてきた十八年間、その原因であり、全ての元凶でもあるかつての転生者については、もっと早く話すべきだったかもしれないとも思ったが、やはり、今のタイミングが一番だったとも思う。


「話すのが遅くなって悪かったと思うが、キミもまだ今の状況に慣れ切れていないようだったからな」

「ううん。正直、確かに会って間もない時に聞かされても受け止めきれなかったと思うから」


 そう言いながらも、既に気持ちは切り替えているみたいだ。


「それにしても世界征服とか、随分とバカな事をしようとしたのね」

「それについては同意見。と言うかワザワザそんな面倒な事をしようとする気が知れない」


 世界征服なんてして何が楽しいんだとザッシュが本気で不思議がっているけど、確かにその通りだ。

 ぶっちゃけ、世界中を統治していかなければならないなんて、世界中で一番最悪の他に類を見ないブラックな職業に自ら進んで考えるヤツの気が知れない。

 国の運営と魔物の侵攻に対する国防に忙殺されて、自由などカケラも無く、寝る間もなく働き続ける事になるって判りきっているのに、どうして世界を手中に収めたいなんて野望を抱くんだろう?


「実際に世界を統べる支配者になったら、どれだけの苦労が待ち受けているかを想像も出来なかったんじゃないか?」

「それか、実際には世界征服なんかしても、特に得られるモノなんて何一つないって現実に気付けなかったかのどちらかだと思います」


 サナの言うのもありかも知れないな。実際の所、この世界で王や貴族でなければ入手できない、手に入れられないモノなんて何一つない。あるとすれば統治者としての責任と義務くらいのモノだろう。


「まあ、その辺りはどうでも良いけどな、とりあえず、そんな過去に信じられないバカをやらかした転生者がいるものだから、俺たちもだけどそれ以降の転生者は正体を明かすのを躊躇う様になったんだよ」


 実際、転生した時期がバカをやらしてからあまり時間が経っていなかった所為もあって、後始末に奔走しなければいけなかった不幸な転生者の残した愚痴とバカをやらかした相手に対する罵詈雑言が残されたメセージもあったと話すと、流石に若干引いていた。


「確かに、それこそヒューマンが滅びてもおかしくない様な事を仕出かしたバカの尻拭いなんて、私なら絶対にイヤ」

「それは誰でも同じだって・・・」


 と言うか、本気でその超絶バカと同じ時代か、もしくは少し後の時代に転生しなくて良かった。

 今は今で何かとキナ臭いのも確かだが、素かなバカの尻拭いなんて絶対にゴメンだ。


「まあ、それも置いといて、そんな訳で今まで俺たちが転生者だってことはみんなには黙っていたんだけども、流石にそろそろ真実を伝えるべきかなと思って」


 どの道、何時までも隠し続けてはいられないだろうとも思う。

 それなら、早い内に打ち明けた方が良いのは判っているんだけども、中々踏ん切りがつかないし、これは言い訳くさいけれども俺一人で決めて良い問題でもない。


「確かに、何時までも隠していても仕方ないとも思いますね」

「それに、いずれヘカトンペインを使う事になったり、カグヤに至る事になったりしたらどうやっても真実を知られると思いますし」

「仲間に隠し事をしているのって後ろめたいしね。私はアベルがみんなを本当に信頼しているなら話すべきだと思うよ」


 だけどそれもこれまでだな。三人とも真実を話すのに賛成なら、俺が何時までも優柔不断に迷っている理由もない。


「それなら、次に遺跡に行った時にでも話すとしよう」


 遺跡の中ならば、例えどんな話をしても外部に漏れる心配はない。

 今はまだ、仲間以外には話すべきじゃないと思う。ほぼ終息に向かっているとは言っても、ヒューマン至上主義者の問題もまだ解決しきっている訳ではない。

 思想的なものであるし、マジックアイテムによって強制的に操られてい者も多いので、捜し出すのが極めて困難なのもあって、未だに完全に一掃する事が出来ていないのだ。

 そんな中で、俺たちがその元凶となったものと関係があるなんて漏れるとどうしようもなく面倒な事になるのは目に見えている。

 まあ、世界征服なんてバカな事をしたアホが転生者だと漏らさなければいいのだけども・・・。

 それ以外にも、ネーゼリアがそもそも他の世界からの侵攻に、魔物の脅威に晒され続けている事から異世界に対して良い感情を持っていない人も多いとも考えられるとか、逆に此処とは違う世界の事を知れるチャンスに狂喜乱舞して質問攻めしてくる人が続出しそうだとかのほぼ確定の懸念もある。

 そんな訳で、とりあえず今回は一緒に旅をしている仲間だけに伝える事にする。


 さてと、そんな訳で方針が決まっった所で次の遺跡に向かうとしよう。

 どこに行くのか悩むのも煩わしいので、隣の国にそのまま行く。ちょうど隣の国に発掘済みでまだ行っていない遺跡があったのは幸運だった。

 そんな訳で何時ものごとく、着いて早々まずは一人で遺跡の調査。ココで、とんでもない代物が眠っていてとてもじゃないけどみんなを連れていけない所じゃなかったのは幸い。

 因みに遺跡は10万年前の超絶チート転生者たちが使っていた避暑地だった。要するに俺たちがマリージアの拠点にしたのと同じ別荘の様な物。

 ココも色々と思い出が残っている場所だから残したのだと思う。

 或いは、四億光年先の別の世界を満喫した後で帰ってきて使うつもりだったとか・・・。

 ありそうで怖い、てっ言うか実際にそうしていてもおかしくないのが本気でどうかしている。

 

 まあ、それはさて置き、遺跡自体には何の問題もなかったのだけども、後になって良く調べてみたらとんでもないものが見付かった。

 それは彼らの秘蔵の酒のコレクション。

 バカンスを楽しむ為の場所なのだからその手のモノがあって当然とも言えるんだけども、今では入手不可能なプレミアどころの騒ぎで済むレベルじゃない超貴重なお酒ばかり。

 ・・・・・・一本あたり最低でも一億リーゼの値が付くようなお酒ばかりが何万本も残っていた。

 ここ発掘済みだよね? 

 既に何人も俺たちの前にここに来た転生者たちが、相当数のお酒を持って行っているハズなのに、どうしてこんな数えるのもバカらしいほどの数がまだ残ってるのかな?

 どうでも良いけど、さっきから今まで見た事ないくらいにケイが目の色を変えているんだけど・・・。

 ドワーフの酒好きは有名だし、実際ケイも見た目に寄らず、どころか引くほどの酒豪だし気持ちは判るんだけどね・・・。

 ああ、ケイだけじゃないシャクティもだ・・・。

 そう言えば竜の酒好きも地球のファンタジーでは定番だったけど、どうやらこれもその通りで適応するみたいだな。

 ケイと一緒に良く飲んでるのは知っていたけど、こっちも今にも喜びの余り踊り出しそうなくらいに狂喜乱舞しているな。

 ・・・・・・これはとりあえずこの二人が落ち着くまで話どころじゃないな。

 とりあえずは、俺もどんなお酒があるのか物色しながら二人が落ち着くのを待つとしよう。ココに並ぶ最高の名酒と一緒なら、ジエンドクラスの至上の料理を更に至福のモノへと高めてくれる。そんな確信もあるし。



「みんなに話したい事がある」


 そんな感じで酒蔵を物色し、一時間保持してようやく落ち着いた所で、俺はようやく本題へと入った。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ