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何かトンデモナイ事実が新たに判明して、もうイッパイイッパイなんだけど・・・・・・。
4億光年も離れた先にある。ココとは別の世界か、確かにどんな所なのか、興味がないと言えばウソになる。
ウソになるけど、それでどうしろっていうんだ?
現実問題としていくなんて不可能だし、それ以前に、現状でそんなトンデモナイ事出来る訳もない。
世界の守護者たる五人目のレジェンドクラスたる俺には、実は相応の責任というものがある。
言うまでもなく、俺はこの世界を、この世界に生きる人たちを護る守護者としての使命がある。
要するに、魔域の活性化などの非常時には、先頭を切って戦い、魔物の脅威から人々を護る使命があると。
まあそれはさて置き、今回新たに判明した事で、10万年前の超絶チート転生者の行き先も見当がついた。
と言うか確実にソチラに行っている。
これまではカグヤに隠居したんだと思っていたけれども、こんなおいしい情報を彼らが見逃すハズがないし、ネーゼリアが平和になってお役御免になったのを良い事に、新たな世界に旅だったとみて間違いないだろう。
今までに知った彼らのトンデモ振りからだけでも、四億光年程度の距離なんてないに等しいと思うし。
「問題は、向こうに行って、何をやらかしているかかも・・・」
「それはあるかも知れないですね。何か滅茶苦茶してそうですよね・・・」
「まあ、コッチでは世界を救ったんですし、そんなヒドイ事はしてないと思いますけど・・・」
「何をやっても不思議者なさそうな人たちだったみたいですからね・・・」
新たに知った情報を転生者組の四人で整理してみようと話し合ったら、新たな世界に行った超絶チートたちが向こうで何をやったかとの話になって、とんでもない事を仕出かしただろう事は確実だなと落ち着いた。
こちらでも社会システムを自分たちの思う儘に造り替えたりしたみたいだし、向こうでも自重しないで好き勝手やったのなら凄い事になっているのは確実だろう。
「そう考えると、見てみたいのに怖くて見たくない様な・・・・・・」
「「「それは確かに・・・・・・」」」
彼らがどんな事をやらかしたんだろうと思うと、向こうの世界に行ってみたいけれども、どうしようもなく怖くなって来てしまったりする。
後、この情報は既に公開済み、いち早く反応したのは、想像通りユリィの父ではなくて、俺以外の四人のレジェンドクラス。
まあこれも当然だろう。彼らが知らない未知なる世界の情報だ。むしろ興味を持たない訳がない。
流石に彼らは、行ってみたいとかいきなり言い出したりはしなかったけれども、代わりにあの宇宙観測基地にあった全ての観測データを持て行った。
毛筆の世界以外にも、宇宙の神秘に興味津々の様子。
「それにしても、既に発掘済みの遺跡にこうも、次から次へとトンデモナイものが眠っているとは思わなかった」
「それは確かにそうですけど、これって、十万年前の視点では、この程度は特に問題ない物だったとかそんな事ないですよね?」
「それは流石に無いと思う。特に問題ない程度の施設とかだったら、あえて封印する必要もなかった訳だし」
まあ、後の世代に技術や情報を残す為にあえて封印した可能性もあるんだけど・・・。
「まあ、向こうの世界の話はひとまず置いておくにしても、こうトンデモナイものが次から次へと出て来ると、本当にこれ以上行くのが怖くなって来るよな」
同時に、次の遺跡にはどんなものが眠っているんだろうと、怖いもの見たさの好奇心が膨れ上がって来るんだけど。
「でも、今更止める訳にもいかないって言ってたじゃない?」
「確かにな・・・」
これがなかなか難しい所で、今となっては遺跡探査を途中で放り出す訳にもいかなくなっている。
何故かと言えば、遺跡は当然だけどヒューマンの大陸だけにある訳じゃない。過去には各種族の転生者が居た訳だし、彼らによって発掘された遺跡はそれこそ世界中に点在している。
要するに、発掘済みの遺跡を周りながら世界中を巡り、ついでに全ての種族の国を訪れるのも既に確定事項な訳だ。
俺のパーティーメンバーには、各種族のお姫様が居るのだから、当然彼女たちの祖国を訪れるのも当然の義務と言うか、行かない訳にはいかないし、その上で遺跡の調査はちょうど良いキッカケとなったりする。
「でも、ヒューマンだけでも、こうして俺たち四人も転生者が居た訳だし、他の種族にも転生者が居てもおかしくないと思うんですけど?」
「それも可能性としてはあるんだよな・・・」
確認した所、とりあえず少なくてもあの四人、レジェンドクラスの四人は転生者じゃない。
だけどこの前行った時には合わなかったけど、エルフやドワーフの転生者が居てもおかしくはないし、それは他の種族でも同じ事。
むしろ、ヒューマンにしか転生者が居ない確率の方が低いと思う。
「しかも、短期間に一気に転生者との遭遇ラッシュが続いたし、これは、他の種族の転生者とのエンカウントも確実かもな」
ただ、それならそれでどうして彼らは自分たちで遺跡の調査をしない? とか疑問があるんだけど、単にどこにあるのか判らない可能性もあるか・・・。
いや、俺も流石に他の種族の国の発掘済みの遺跡の詳細は知らないんだけどね・・・。
十万年前の遺跡のある場所については、古文書に全部示されてるから判るんだけども、ヒューマンの大陸ならばそのうちのどれが発掘済みか判るけど、他の種族の国じゃそうはいかない。
まあ、当然その対策も既にしてあると言うか、各種族の王の命によって既にどの国でも調べられているハズだ。
要するに、あのジエンドクラスの食材が見付かった時の一件で、ユリィたちの親である王たちが一堂に会した時に、今俺たちがしている遺跡探索の話に当然なり、各国に眠っている遺跡の中から既に発掘済みの遺跡の位置を洗い直しておくことが決まった訳だ。
どの国でも、どうやっても立ち入れないので基本放置されていたらしい遺跡だからな。どうやって発掘したのかも判らないし、何処にあるのかも曖昧になっているのが多かったらしい。
「それはそれでオモシロそうだけど、大変な事になりそうね」
大変な事になりそうじゃなくて、大変な事になるの確定だと思うぞレベリアさんや。
何かもう考える事が多すぎて、頭がグチャグチャになりそうだ。ココは一度全部スパッと忘れて、切り替える事にする。どの道いくら考えても答えなんか出ないし。
そう言う訳で、何がそう言う訳なのか判らないが気にせず、気分転換に料理をする事にする。
そう言えばレベリアを仲間に加えた歓迎をまだしてない。ココはジエンドクラスの食材をふんだんに使ったご馳走でもてなすとしよう。
食材はそれこそ山のように持って来てある。
さて、どれを使って何をつくるか?
いや、むしろ選択肢は決まっている。食材は海産物なのだし、レベリアは元日本人の転生者。となれば作るのは和食に決まっている。
お寿司や刺身は当然として、煮魚や天ぷらも作ろう。後炊き込みご飯とかも良いな。それにお吸い物とかもシッカリ用意して、照り焼きやみそ焼きも外せないか。ああ、海鮮鍋を忘れちゃいけないな。
レジェンドクラスやSクラスの海鮮素材もふんだんに使って、最高の料理に仕上げてみせる。
何かこの世界に来てから完全に料理人になってる気もしないでもないが、これについてはもう気にしない。なによりもまず、美味い物が食べられるのが一番だ。
レベリアについては、何か微妙にかなり不幸な生い立ちだし、ここは最高のご馳走でこれまでの事を吹き飛ばして、この世界の素晴らしさを知ってもらうとしよう。
サクッと料理を済ませていく。
と言っても手抜きはしない。例えば刺身なんて、ただ適当に切ればいいだけじゃない。身の繊維や筋に合わせて切る角度を決めないといけないし、素材によって切る厚さも千差万別。切り方次第で味がまったく違うので、純粋に訪朝の腕だけが全てを決める、趙高等料理だったりする。
寿司だってそうだ、ネタとシャリのバランスが大事で、ソレがほんの僅かでも違ってしまえばそれだけで味が損なわれてしまうし、空気を含んで口の中で自然と崩れる程に柔らかく、それでいて箸で掴んでも崩れない様にシッカリと握るのには熟練の技術がいる。
煮魚にしても、魚の臭みを出さずに純粋に旨みだけを最大限引き出すには、下処理からシッカリとした上で煮始める時の温度まで見極めないといけないし、美味しくつくろうとすればするほどに料理は奥が深いのだ。
それはさて置き、次々と料理を仕上げては冷めない様にマジックボックスに入れていく。そして最後の一品が完成した所でみんなを呼んで、つくった料理を並べたらレベリアの歓迎パーティーの始まりだ。
当然みんな喜んでくれる。その中でもレベリアは、
「お寿司!!」
握り寿司に目を輝かせている。なんでも前世でお寿司が大好物で、週一で回転寿司に通っていたとの事。
「それも今まで食べた事がないくらい美味しい」
パクパクとすごい勢いで食べていく。
何か当の本人も自分の食欲に驚いてるみたいだけども、これから先その食欲はどんどん凄くなっていくから。
それにしても、ワイワイとみんなで騒いで食べるのは本当に楽しいし、なによりも美味しい。
ある意味で現実から目をそらして逃げてるだけなのも判っているけど、どんなに考えても答えのでない事を何時までも考えても仕方がないのも事実と言う事で、一先ずは難しい事は棚に上げて楽しむとしよう。




