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少し短いです。

「これからお世話になります。レベリア・サン・レセップスです。どうかよろしくお願いしますね」


 深々と頭を下げてシッカリと挨拶するレベリアに、一部困惑気味のメンバーが居るのは、まあ、当然だろう。

 結局、レベリアはこちらの誘いにその場で乗った。

 まずは何時まで続くとも知れない監禁状態からスグにでも脱したいと言うのが本音だった模様。その上で、この世界の事を教えて欲しいと懇願された。

 男爵令嬢として、それなりの教育を受けてきていると言っても、ヒューマン至上主義の偏った歪な教育と言うか洗脳がされていただけなので、自分の知識がほとんど役に立たないと痛感しているらしく、あの後それこそ貪るように知識を吸収していっている。

 まあ、そんな風に彼女が知識をあさっている内に、俺たちの方は彼女を仲間にするための体裁を整えていって、三日ほどで無事にこうして他のみんなと対面となった訳だ。


「あの、良いのですか? 彼女は・・・・・・」

「ああ、そっちの方は何の問題もないよ。両親がヒューマン至上主義者だっただけで、彼女はそちらとは一切無関係だから」


 実は両親の方も例の魔道具で洗脳されてヒューマン至上主義者にさせられていたようなのだが、既に洗脳が解除不可能なまでに深くなされている上、洗脳されてとはいえいくつもの罪を重ねていたため、情状酌量は不可能とみなされ、むしろ救済の意味も込めて処刑されたそうだが、彼女の方は幼少期からの教育で、ヒューマン至上主義の思想を持っていただけで、命令されてザッシュに知被いて篭絡した以外、特に何もしていないし、しかも前世の記憶が戻った今となっては、その影響も完全になくなっているので、正気に戻ったのなら開放しても特に問題はないとの判断が下った。

 因みに、ヒューマン至上主義の思想から解放されたのについては、前世の記憶が戻ったからとは言えないので、先の事件の顛末を知って、自分の考えの愚かしさを理解したからと言う事にしておいた。


「それに、彼女は色々とオモシロイ。仲間にしてみて損はないと思うぞ」

「キミがそう言うと、かなり不安なんだけど・・・」

「あっ、アシャさんもヤッパリそう思います?」

「うん。ボクたちも彼の事を大体理解できて来たからね」


 随分と酷い事を言われている気がする。


「まあでも、サナとザッシュに彼女が加わって、どうなるのか面白そうであるのは間違いなさそうだけどね」

「それは確かにね」

「でも、三角関係とはまた違うと思うけど?」


 シャクティ、クリス、ヒルデの三人は実に興味深そうにしているけど、その興味本位は少し趣味が悪いと思うぞ。まあ、気持ちは判るし、俺自身、お互いに転生者と知った上でどう思うかとか興味がないかと言えばウソになる。


「まあ、彼女ならたぶんうまく馴染んで行けると思うぞ。それより、そろそろ遺跡の方の調査を始めるかな」


 ここ一週間ほどはレベリアにかかりっきりだったけど、こうして一段落した事だしそろそろ遺跡の方を調べてみるとしよう。


「何気にこの国は色々とあったし、遺跡の方も一筋縄じゃ行かない気がするんだけどな・・・」

「それはもう確定だと思うけど?」

「それはそれでオモシロそうだしね。キミがどうしようと慌てふためく様はオモシロそうだし」


 何か期待するようなディアナの様子にどう返していいのか判らなくなるんだが・・・。 


「ただ、私たちも面白がってばかりいられなくなりそうな気もするけどね」

「そう言う意味では、あまり物騒な物が出てこないでくれた方がやっぱりありがたいね」


 どうしようと悩んでいる内に、さっさとマルグリットとキリアがディアナを窘める。 


「そうだけど、どうせいつかは遭遇するのも確実なんだし、それなら早い方が良くない?」

「確かにそれもそうだけど、騒動を期待するのもどうかと思う」


 ルシリスも加わってワイワイ言い合っている。

 うん。とてもじゃないけどあの中には入っていけないな。

 女の子が三人寄れば姦しいと言うけれども、どうしてあのテンポで会話が成り立つのだろうと不思議に思う程のマシンガントークに圧倒されてしまう。


「まあ、とりあえず何時も通りに俺がまずは行ってくるから。とりあえず後はよろしく」

「丸投げする気満々なのもどうかと思うけど、とりあえず分かったから、さっさと行ってらっしゃい」


 ミランダに呆れた様に言われてしまったけど、しょうがないじゃないか・・・。

 何時の間にか、ザッシュはレベリアが仲間になるのをどう思ってるのとか質問攻めにあって撃沈してるし、サナとレベリアは全部わかってて、共闘してザッシュをイジリ倒してるし、ココにこのまま居ると俺の方にまで被害が飛んできそうなので、早々に戦術的撤退をしたいんだ。

 と言う訳で、俺は真っ白に燃え尽きたザッシュを見捨てて保身に走る事を決めて、この場から撤退して遺跡の方に向かう事にした。



「さてさて、ああを言ったけど出来ればあんまり危険な代物が眠っていないでくれると助かるんだけど・・・」


 見た感じからして望み薄な気がするのは気のせいか?

 いや、確実に気のせいじゃないな・・・・・・。

 明らかに軍事拠点として使われていた施設跡である、遺跡の物々しい佇まいに思わず溜息が出る。

 何か、確実にヤバい物を封印していますと言わんばかりの佇まいなのはどうしてだろう・・・・・・。

 更に明らかに十万年前の転生者が、直々に隠蔽したとしか思えない程に念入りに遺跡が隠されていた辺り

にも不安が募る。

 まあ、何時までの入り口の前で立ち止まっていても仕方がないので、気を取り直してと言うか、諦めて中に入るしかないのでさっさとロックを外す事にする。

 中にはいてみた感じ、第一印象はそのまま要塞。しかも防御ではなくて攻撃を前提とした要塞だと感じる。

 何か嫌な予感がする。これは、ココに何かヤバい物が封印されているとかじゃなくて、この要塞自体が危険な代物という気がしてくるんだけど・・・。 

 とりあえずはまずは格納庫に行ってみよう。そこに格納されている兵器群の構成から、この要塞の運用趣旨も判って来るはずだ。

 そんな訳でまずは格納庫に向かい中を確認する。

 中には当然ながら装機竜人が整然と並んでいるんだが、その様子よりも、格納庫自体のつくりに何か違和感を感じる。

 なんだろう、格納庫と言うよりも戦艦などのドックと言った方がシックリくる造りなのだけども?

 そんな事を思っていると、天明の様に一つの考えが脳裏に浮かぶ。

 いや、まさかそんな・・・、否定すればする程に否定しきれなくなってくる。


「これは、本気で面倒な事になりそうな気がするな」


 だとしてももうどうしようもない。とりあえず、まずは思い付いた可能性が本当かどうか確かめる事にした。





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