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 さて、ニーナからの熱烈プロポーズとか色々と会ったけれども、無事に遺跡の調査も王られたし、これからの為に重要な情報も随時得られるようになった。

 これからも、出来れば有効な遺跡が見付かると良いんだけども、10万年の技術が余りにも高レベル過ぎて、今の世の中では核弾頭みたいな危険物ばかり生が困りモノ。

 因みに、ニーナの想いにどう応えるつもりだ? などの質問は一切受け付けない。

 いずれまた、彼女は俺の前に姿を現すのはもう決まっているんだから、それまで持ち越しだ。

 ヘタレと言うなら言うが良い。そんな事俺が一番よく知ってる。

 まあ、とりあえず今は次にどこに行くかだ。

 前回と同じルートをたどって、ローレラントに行くのも良い。そうなると、途中のクレストで、久々にミランダ御用達の店のピザを堪能するのも良い。

 アレは極上だった。それに、今は他では手に入らない極上食材を山のように手に入れているし、それらを料理してもらうのも良い。きっと至福にして天上のの味が出来上がること間違いなし。


「そんな訳で、前回と同じようにローレラントを目指して、まずはクレストに行こうと思うんだけど、どうかな?」

「賛成。またあの料理を思う存分楽しみたい」

「そう言えば、シャクティたちとか、ローレラント以降に仲間になったメンバーは、まだあの店に行ってなかったんだよね。それなら、絶対に連れて行かなきゃ」

「それに、前回はマイクの活性化の急報があって、クレストの探索も十分に行えませんでしたし。それ以降の国を飛び越えて一気にローレラントまで直行でしたからね。少しずつ北国へと移り行く情景を楽しみながらの旅程も良いと思います」 


 どうやら全員賛成の様だ。シオンたち新しく仲間になったメンバーは、初めて見るヒューマンの国が新鮮らしく、何処に行っても観光を満喫して楽しんでいるので、こちらも問題ないだろう。

 あるとしたらティリアで、ベルゼリアとあまり関係の良くない国に行くのはどうかとなるが、それも今更だろう。どのみち、非常時には行かなくてはならないのだし。


「前回と違って、これから冬本番になる中で行くから、ローレラントの寒さは本気でシャレにならないけどね」

「前回でも十分過ぎる寒さだったんだが、それ以上なのか?」


 前回、魔域の活性化で戦った時の気温も、余裕で氷点下40度以上だったと思うんだが・・・・・・。


「当然でしょ、特に魔域内部は、氷点下100度以下は確実よ」


 それは本当に人間が生きて行ける環境なのか?

 いや、魔域は戦い以外で人間の立ち入る場所ではないんだけど・・・・・・。

 真冬の最低気温は、王都でも氷点下80度以下にまでなるらしい。寝ている途中で暖房が切れたら凍死確実と思うのはきのせいか?

 まあいい、それに良く考えたら、前回はローレラントでも魔域の活性化の所為で観光を十分に楽しめていない。今回は旬の北の海の幸を存分に楽しみながら、北国の冬の楽しみを満喫するとしよう。


 そんな訳で、これからの旅程も決まりただいまクレストに向かって移動中なのだが、ひとつ、とても大切な事を想い出してしまった。

 極めて単純に、このまままずはヒューマンの国々の発掘済みの遺跡を周って行くならば、いずれはGの魔域のある国へも行かなければならないと言う事実だ。

 出来れば二度と行きたくなかったんだが、遺跡の確認はしない訳にはいかないので、行かなずに済ませられない。

 ああ、あのトラウマが蘇ってくる。あまりにも巨大なGの魔物。普通のGとは逆に、こちらを踏み潰す大きさのGがあの魔域には溢れている。

 10メートル級のGが、数百と溢れかえっている光景だけで無理だ。


「どうしたのですか? 随分と思い悩んでいるようですが?」


 どうするべきかと悩む俺に、ティリアが心配そうに尋ねてくる。

 そこまで心配されるほどにイヤそうだったか・・・。


「別に、このまま遺跡探索を続けるなら、いずれGの魔域の国にも行かないといけなくなるなと考えていただけだよ」

「Gの魔域の国ですか・・・・・・?」


 ティリアは不思議そうに首を傾げる。いったい何の事だかサッパリ判らない様子だ。それはエイルやシオンたちも同じで、何の事だか判らないと不思議そうにしている。

 一方で、Gの魔域がなんたるかを知っているメンバーは、揃ってなんともいえない顔をしている。


「あそこは、行かないのも手だと思うけど?」

「そう言う訳にもいかないだろ、遺跡の確認はしておかないといけないし」


 ミランダの提案は、まるで悪魔の囁きのように魅力的なんだけども、やっぱり行かない訳にもいかない。


「じゃあ、アベルだけで行けば? 私たちは他の国で待ってるから。結構ハードな出来事も多かったし、新しいメンバーも増えた訳だし、親交を深めるために何処かで休養でも取るのも良いし」

「うん。それが良いと思う。私たちも久しぶりに、シオンたちとゆっくりとショッピングとかに出かけたりしたいし」

「久しぶりにみんなで集まって、のんびりするのも良いしね」


 ミランダの非情な提案に、ユリィたちが即座に賛成にまわる。

 そこまでイヤか? まあ男にとっても最悪の相手だが、女の子にとっては最早天敵とかも言うし、当然の反応なのかも知れないが・・・・・・。

 そう言えば前回ミランダも、200年近くも関わりを持たずに済ませて来たのに、俺と一緒になったせいでまたこんな所に、しかも2回も来る羽目になってしまったと嘆いていたし・・・。


「そこまでイヤか?」

「当然でしょ。私はもう2度とあの国とは関わりを持たないと決めたのよ」


 胸を張って堂々と宣言するミランダに何も言えなくなる。

 まあ、実の所は俺も、遺跡の事さえなければ例え魔域の活性化が起きて救援を求められても行かないつもりでいたので、人の事は言えないんだが・・・。


「あの、そもそも先程から仰られているGの魔域とは何なのですか?」


 それは当然の疑問なのだけども、お姫様として大切に育てられてきたティリアには、少々厳しいんじゃないかなと思うんだが・・・。


「Gの魔域はそのままGの魔物、バグス・コックローチなどの10メートル級のGが数百、数千と蠢いている魔域」


 ミランダが簡潔にまとめると、とたんなティリアは真っ青になって震え出す。身んたちも流石にイヤらしく顔を顰めている。

 これもどうでも良い情報だが、日本などでは害虫の代表格として嫌われているゴキだが、実は世界では愛好家なども居て、ペットとして育てられるのも結構一般的だし、食料として飼育され、普通にレストランなどでも出される国も少なくないらしい。

 そんな訳で、実はゴキブリに対する感覚は、地球では両極端の2つに分かれていたんだが、どうやらネーゼリアでは日本と同じ害虫認識が基本らしく。元日本人の俺たちからしては非常に助かっている。

 これがもし、食材として一般的に食べられている国なんかがあったりしたら、俺は何としてもその国にの渡航だけは全力で避けただろうし、もし、万が一にも行かなければいけなくなったりしたら、それこそその国を滅ぼしていたりしたかも知れない・・・。


「・・・・・・そっそんな恐ろしい魔域を抱えている国があるのですか? なんて痛ましい・・・」


 まあ、冷静に考えれば一番の被害者はそんな国に生まれてしまった国民だよな。

 魔物の脅威に晒されているのはどの国も同じでも、よりにもよって最悪の魔物による脅威に晒されているんだから・・・。


「ふと疑問に思ったんだけど、同じ様な魔域は他にないのか?」

「少なくてもヒューマンの大陸ではアソコだけよ」

「私たちが知る限りでも、そんな恐ろしい魔域に接している国なんてない」


 どうやら、他種族の国が接する魔域の中には、Gの魔域のような凶悪なモノはないらしい。

 となると、あの国は世界で唯一の不幸を背負っている事になる訳か・・・・・・。

 何とも哀れ。


「そうか、そうなるとあの国の不幸は想像を絶するな」

「それは確かにその通りだけども、我が身の方が大事よ」


 ミランダは確かに同情はするが、だからと言って自分がどうにかしようとは思えないようだ。

 何かもう、俺と同じでトラウマが植え付けられている感じだ。

 俺ももう、あの国での出来事が完全にトラウマになってしまっているので、何があっても絶対に行きたくないので人の事は言えない。


「ですが、私やユリィさんたちは、一国の姫として、またアベル様の婚約者として訪れて、キチンと挨拶をしない訳にはいかないのではないでしょうか?」


 考えに考えた末に、悲痛な覚悟で絞り出したティリアの疑問に、ユリィとケイは完全に真っ白になる。


「いや、別にその辺は特に気にしなくても良いはずだよ。特に親しい友好国とかだったら話は別だろうけど」


 そう言うと悲壮な覚悟を決めていたティリアも目に見えてホッとする。

 うん。そこまで嫌だったんだな。気持ちは本気で判る。


「まあ、この話はまた今度にしよう。実際に行く段階になってからどうするか決めればいいし。確かに俺一人で行っても問題はない訳だしな」


 別に魔域にまで行って魔物の討伐をしなければ、あの国に行くのにも何の問題もないのだ。

 本当に遺跡の調査だけが目的として、終わったら早々に引き上げればいい。

 俺が行ったと同時にGの魔物が魔域から溢れてきたりしない限り。特に問題はないはずだ。


「とりあえずはローレラントまでの道のりを楽しむとしよう」

「そうですね。まずはクレストに、久々の味を堪能しに行くんですから」


 何か自分で最悪のフラグを立てた気もしないでもないが、とりあえずは横に置いておいて、まずは旅と久々の美味しさを楽しむとしよう。



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