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「そんな訳で、私たちの想いは伝えたとおりだから、後はアベルがどうするか決めてね」


 そう言われてもどうすればいいのか全く判らないんですけど・・・・・・。

 メリアたちに告白された。

 つまりはそう言う事で、勿論、これ以上ないくらいに嬉しいんだけど、いきなりすぎて頭が付いてこれていない。

 いや、彼女たちが言うには、自分たちの俺への好意なんてもうバレバレで、気付いていないのなんて俺だけで周りもとっくに知ってるとの事なんだけど・・・。

 ついでに、ユリィとケイ、そしてティリアの三人とは既に婚姻関係にある事も初めて知った。

 ・・・これも知らないのは俺だけで、本当に既に周知の事実として知れ渡っているとの事。

 そして、俺に好意を持ってくれているのが、つまり、告白して来たのが、メリアたちとアレッサのめく人に、ユリィとケイ、それにミランダの計九人。

 なお、ノインも俺に好意を抱いているらしいが、本人がまだ自分の想いに気付いてないとの事、ヒルデたち三人は未確定。サナは今のザッシュとの関係を楽しんでいる様で、とりあえず俺を恋愛対象としてみてはいない。エイルに関しては、そもそもまだ人を好きになるとか以前なので保留との事。

 話を聞いて既に頭がイッパイイッパイだ。


 何がどうして既に三人と婚姻している事になったのだ・・・


 とりあえず、その疑問がまず頭に浮かぶんだけども、そもそも、ティリアの場合は俺が仲間入りを認めた時点で、既に婚姻が成立していたそうだ。

 というか、王から自分の娘を伴侶にとの話を聞いて、会った上で共に居ることを認めたのだから、俺がティリアを伴侶にすると認めたのと同じだそうだ。もの凄く呆れた様子でミランダに説明された。

 ユリィとケイについても、俺が二人と共に国を訪れて父である王に面会した時点で、周囲は婚約の為に訪れたと判断するし、ユグドラシルで世界時の使徒になったり、レイザラムで間接的でもケイの婚約者候補だった相手を排除したりしたのが後押しと言うか、ダメ押しになって既に二人との婚姻も確定の物となっているとの事。

 

「もう本当に常識の範囲の話になっていて、知らないのはもうキミだけよ」


 ミランダが断言して、メリアたちも深く頷いていた。

何か言い返したい所なのだけども、明らかに何も言い返せない雰囲気。

 本気で、何がどうしてこうなったと絶叫したい。

 

 いや、本当に嬉しいんだよ。最高の気分なのは確かなんだけども、前世を含めて、彼女いない歴イコール年齢だったハズが、何時の間にか三人も奥さんがいるってどういう事?


「何が何やら・・・」


 いきなり婚姻していると言われて、じゃあユリィたちとどうしたらいいのか判らないし、三人と婚姻している上で更にメリアたちに告白されてどう対応していいのかも判らない。

 本気でどうして良いのか判らないから、とりあえず一人で考える時間をくれと言う事で、ヒュペリオンの甲板に出て風に当たる事にする。


「どうしたんですかアベルさん。異世界転生の王道ルートのハーレムが完成したのに浮かない関してますね?」


 すると、一人になりに来たはずなのに何故かザッシュが居た。

 それにしても、今のセリフにはかなりイラッとするのだけども、確かに、傍から見たらその通りだろう。


「いきなり三人も奥さんがいるなんて知らされてどうしていいか判らないんだよ」

「えっと・・・。アベルさん・・・、本当に知らなかったんですか・・・?」

「知らなかったって・・・?」

「ユリィさんとケイさんとの婚姻の話ですよ」

「知らなかったから、今こうして狼狽えてるんだろ・・・」

「それはそうかも知れませんけど・・・、ありえないですよ」


 ありえないも何も、現に俺は今まで知らなかったんだが・・・・・・。


「・・・だって、愚王子時代の俺ですら知っているくらいに知れ渡ってたんですよ。何をどうやったら当の本人が知らないなんてありえるんです?」

「その当時から、もう誰でも知っているくらいだったのか・・・」

「当然じゃないですか、と言うか、アベルさんが自覚ししていなければ、自分が周りからどれだけ好意を寄せられてるかも判っていないなんて、衝撃の事実自体。今日、初めて知りましたよ」


 ザッシュに言わせれば、このパーティーに入った時点で、既に俺のハーレムが出来ていて、その上でみんなが自然に過ごしていると思っていたのに、まさか、肝心の俺が何一つ理解していないまま、女性陣が何時になったら俺が自分たちの想いに気付いてくれるかとか、自分たちから告白しちゃうべきなのかとか葛藤して、悶々と過ごしていたとかありえないとの事。

 

「そう言われると、俺自身ありえないとしか言いようのない状況だな・・・」

「そうですよ。アベルさん、鈍感とかそんな次元の話じゃないですよ!!」


 何かもう魂の叫びとでもいう様にザッシュが吼える。

 うん。もう気持ちが解ってしまってなんて反応したら良いのか判らなくなる。

 俺だって、もしも周りにこんな超絶鈍感な救い様の無いアホが居たら、同じ様に絶叫したくなるだろう。と言うか普通に張り倒す。

 それくらいの酷さだ。我ながらどうかしているとかそんなレベルじゃないな。


「はあ・・・。もう良いですよ。それで、その超絶鈍感のアベルさんはこれからどうするんです? ようやく自分の周りとか、自分を好きでいてくれている人たちの想いとかを知ったんでしょ?」

「勿論、応えるさ。俺自身、彼女たちの事を心の底からいとおしく思っているのにようやく。今更ながらやっと気づいたからな」


 本当に、自分の事を想ってくれているみんなの気持ちにも気付けなければ、自分が彼女たちの事を本当はどう思っているのかも判らずにいたのだ。

 つくづく自分のバカさ加減に嫌になる。

 だけど、もう同じ事は繰り返さない。自分も想いも、彼女たちの想いもシッカリと気付けたのだ。だったら俺のやる事はひとつだけ。

 自分の想いに正直に、ただ俺を好きでいてくれる彼女たちを愛するだけ。

 本当に、ただそれだけの事だ。

 ザッシュに散々呆れられて、心の底からの絶叫を聞いてようやく自分の想いに辿り着いたのは秘密だ。


「随分とハッキリ言いますね」

「俺の所為で散々辛い思いを刺せたみたいだし、ここでウダウダするようなら、それこそ彼女たちの想いに応える資格もないだろ」

「確かにそうですけどねそれじゃあどうするんです? ユリィさんたちだけじゃなくて、全員と正式に婚姻を結ぶとか?」


 どうしていきなりそんな方向に話が飛ぶ?


「どうしてそうなる。彼女たちの想いに応える。俺自身の本当の気持ちを伝えるだけだよ」


 そもそも、俺たちが互いの想いを知って、両想いになったからと言って何が変わる?

 何も変わりはしない。そもそも、はじめから彼女たちは俺にとって大切な、かけがえのない存在だし、それはこれからも変わらない。

 ある意味で、互いの想いを伝え合っても俺たちの関係はそもそも初めから何一つ変わりはしないのだ。


「この状況でそんな事が平然と言える、アベルさんが憎らしすぎです」


 何とでも言うがいい。

 最早俺に敵はいない。向かい来るもの素で手叩きのめしてくれよう。・・・てっ違うな。


「まあ、結局ほとんど何も変わりはしないさ。柵は増えるけどな」

「柵ですか?」

「王位継承権問題とから。それに、お前にとっても他人事じゃないぞ」


 ベルゼリアはまだ何とかなるけど、他種族のユグドラシルとレイザラムの継承権については結構深刻なんじゃないかにと思う。

 まあどちらの王もその程度は計算して、俺と娘との婚姻て言う形に話を持っていっているだろうから、そう心配する必要もないと思うが・・・。


「ああ、三人は王女様ですからね。でも、それなら俺には関係ない話だと?」


 人の事を散々言っておいて、コイツも自分の立場や状況をまるで把握してないな・・・。


「キミね。キミは表向きは国の式典を穢した罪で王位継承権剥奪の上、国外追放って事になっているけど、実際に一国の王子のそれだけの刑を課すにしては罪が軽すぎるんだよ」


 まあ、コイツの場合は今までのバカさ加減も合わせて、とうとう愛想を尽かされたと取ることも出来るけれども、実際は俺のもとに転がり込ませるために仕組まれたシナリオだったのだ。


「あの国の連中は、キミがバカなマネしていても、潜在的には高い能力を秘めているのを知っていたからな。あの時の婚約破棄騒ぎは、キミを俺のもとに転がり込ませて、鍛え直させるまさに絶好の機会だったんだよ」

 

 あの時に俺が来たのはまさに渡りに船だっただろう。むしろ、その為にあえて、わざと国内のヒューマン至上主義者たちの殲滅に手を抜き、ザッシュとの接触も放置していた可能性がある。


「計画通りキミは俺のもとで今迄の自分のバカさ加減を知り、新しく生まれ変わり、人としても成長しつつすさまじい勢いで力を付けて行っている。このままいけば後半年もせずにSランクに成るだろう」

「えっそんなに早くですか?」

「間違いなくな、その辺りは転生チートの恩恵かどうか知らないけど」


 Sランクに成った後も俺と共に魔域を周り、魔物を倒し続けて行けば、ザッシュにはこれ以上ない実績になる。

 でまあ、数年もしない内にそれまでのバカな振る舞いなんて全て帳消しになって余りある実績とからを手にするのは確実。

 そうなれば王位継承権剥奪も、国外追放も解く理由としては十分。


「その後どうなるかは、向こうの出方次第か?」

「ちょっと、待ってください、そんなイキナリ・・・」

「まあ、少なくてもSランクにまでなったキミの血統を手に入れたいのは間違いないだろ、それは俺も同じだろうけど」


 まあ、ベルゼリアについてはねティリアと俺の間に生まれた子供を、王太子の子供、次の次の王の伴侶にするのが目的で決定。

 ユグドラシルとレイザラムも基本的には同じ目的だろう。


「強い力の系譜を残すのは各国の王族の使命だからな、必死なのも当然だよ」

「勘弁してください。オレて、実は本当はまだ王子の身分のままなんですか?」

「当然だろ。一度絡まった柵から簡単に抜け出せるかよ」


 ウガーと絶叫しているが、そこは初めから理解してない方が悪いと諦めてもらおう。

 俺として、今更柵なんてどうでも良い。ティリアの事はまだ分からないけど、ユリィとケイの二人は、そんなモノ関係ないくらいに心から本当に愛しているのだ。

 だから、これから先に何があったとしても、彼女たちが付いて来てくれる限り、俺は愛する人たちと共にいるだけだ。



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