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 一体何だったのかが結局判らずじまいなのだけども、ムーランローラの冒険者ギルド長の暴走は、思いの外大事になってしまったものの無事に解決した。

 今回の件は結局、国も竜騎士団も一切与り知らない所で、一冒険者ギルドのギルド長が暴走したとして片付けられる事になった。

 まあ、正直その辺りの裏の事情には全く興味がないのでどうでも良い。

 ついでに、Gの大軍はムーランローラの竜騎士団が出動してシッカリ殲滅したそうなので、俺たちが関わらなくて良くなったので更にどうでもよくなった。


「まあ、どこにでもバカは一定数居るて事だよな」

「世界中を旅しているし、関わる人もどうしても多くなるから、救い様のないバカと遭遇する確率もどうしても多くなると諦めるしかないわね」


 別に今回は何も実害があった訳じゃないので、事が済んだらそれで終わり。

 とりあえず、あのギルド長はこの世界では珍しく、年功序列に拘るタイプだったらしく、歳を重ねて経験を重ねた者が若輩を従えるのが当然で、経験も実績もない若輩は年長者の指示に黙って従えばいいと考えるタイプの人物だったらしい。

 そんな訳で、レジェンドクラスの超越者であっても、まだ十代前半の経験も実績も大してない俺なんかは、自分みたいに実績豊富で社会的にも認められている者の指示に黙って従うべきだなどと考えたらしい。

 その話を聞いた時にはみんなして呆れ果てたものだけど・・・。

 ぶっちゃけ、既に俺の経験と実績はミランダすら超えている。

 二回の魔域の活性化も合わせて、魔物の討伐数は数億どころか数十億を余裕で超えているし、レジェンドクラスの魔物を数多く討伐している実績は、少なくてもヒューマンでは並ぶ者がないレベルだ。

 その程度の事は少し考えれば判るハズで、後できちんと説明しておいてくれるように頼んだのだけど、説明を聞いた開いた口が塞がらない様子だったとの報告も受けている。

 本当になんで冒険者ギルドのギルド長になったのか謎な人物なのは確か。


 それから、ムーランローラの竜騎士団がGの討伐を嫌がっていたのは確かだった。

 Gの魔域に接する国の竜騎士団に所属している以上、Gの討伐避けては通れない道なのだけども、生理的な嫌悪感はどうする事も出来ないのも確かで、出来る事なら討伐に出向きたくないのも偽らざる本心だと、当の竜騎士団長本人が語っていた。

 それについては、気持ちは判るとしか返しようがなかったけど・・・。

 それでも流石に、実際に現れてしまったならば、国を護る竜騎士団の誇りに賭けて絶対に討伐に乗り出すので、今回の一件はやっぱりギルド長の勇み足と言うよりも暴走としか言いようがない。

 それから、討伐されたGの魔物だけども、竜騎士団としても絶対に要らないので本来なら、何時のように跡形も無く消し去るのだけども、今回は特別に、Gのレジェンドクラスの魔物が出た時に、跡形も無く消し去たのに文句を言ってきたバカどものもとに送り届けてもらう事になっている。

 レジェンドクラスの素材には遠く及ばないにしても、A・Bランクの魔物の素材だ。その価値は確かに高い。存分に使ってもらおうではないか。


「今回はバカどもに相応のお礼も出来たしな。Gソードでも何でも好きに作って使ってくれればいい」

「キミも相当だね。まあ、当然の報いだけど」


 Gの素材が手に入らない事を嘆いていた連中に、代わりのGの素材を送ってあげただけだ。

 確かに素材としての価値は劣るけれども、十分に高価な素材を無償でプレゼントしたのだから文句を言われる筋合いはない。

 タダで手に照れた素材で何をつくるのも本人の自由。

 GソードやGアーマーを作っても良いし、戦車の装甲にして黒光りするGタンクを仕上げても良いし、魔石もあるのだから身を錬金術で人工筋肉にして、Gの魔石を動力源として装甲はをGの外装で造ったGパワードスーツも可能だ。

 素材があっても実際に造ろうとする強者がいるかも不明だし、つくった所で使う人間がいるのかもはなはだ疑問だけども、それはまあ、俺には一切係わりの無い事だ。

 俺はただ、Gの素材が手に入らないと嘆いていた人たちにGの素材をプレゼントしただけ。

 それと、万が一にも食べるつもりならば、それこそ俺の知らない所で好きにしてくれとしか言いようがない。そのかわり、これから一切係わり合いになるつもりは無いけれども・・・。


「単なる善意だよ。後はどうなっても関係ないけどね」

「そう言い切れるのも凄いと思いますけど」


 サナは困惑気味だけども、バカの相手をする時にはこれくらい徹底的にやらないとダメだ。

 それこそ本気で叩きのめすつもりでいかないと、何時までも下らない事で因縁を付けられたりと、纏わり付かれて面倒な事になりかねない。

 この世界で学んだことの一つが、バカの相手をする時は情け容赦なく徹底的に叩きのめす事だ。


「まあ、今回の場合はこれで更に逆恨みして、突っかかって来るかもしれないけど」

「その場合は問答無用で叩きのめす事になるわね」

「それって、要するに口実をつくっていると言う事では?」


 正解である。サナも良く物事を理解できている。流石に公爵令嬢として十何年も完璧にこなしてきただけの事はある。

 まあまだ、徹底的に叩きのめすのには抵抗があるみたいだけども、それは今まで本物のバカの相手をしたことがないからだろう。

 実際に一度でも本当のバカの相手をすると嫌でも理解する事になる。アレは話でどうにかなる相手じゃない。対応策はもう二度と関わらないか、徹底的に叩きのめすか二択のみ。

 今回の件で懲りて、もう係わって来ないのなら俺の方から何かする気はないが、また何かしてくるようなら本当に社会的に完全に抹殺する所存。


「バカの相手をする時には徹底的に、これは鉄則だからね」

「下手に情けなんてかけるとつけあがって来るだけだから、徹底的に叩きのめすのが基本。これは絶対よ」

「・・・二人とも、それで随分苦労されているから、経験からも誰が相手でももう容赦しないのよ」

「成程、肝に命じておいた方が良さそうですね」


 若干黒くなっている俺たちの様子に、アレッサが説明するとサナはもしも自分がその立場になってしまったらと想像したか、若干、震えながら深く頷いている。


 別にそんなに怯えなくても、仲間なら少しくらいバカな事をしても気にしないけど・・・。

 むしろ、一緒にバカな事をして笑い合えるような関係とかも引かれるんだけど、まあ、女の子相手にそれは無理かなとも思うし、今の所はザッシュくらいしかそんな気易い関係に慣れそうな相手が居ないのも若干さみしい気もする。


「まあ、この話題はこれくらいで良いだろう。何時までもGやバカの事を気にしてるのも不毛だし」

「賛成」


 とりあえず、何時までも話していて気の良い話題でもないし、ここまでにしようと提案すると、満場一致で賛成となる。

 まあバカの方はともかく、女性としてはGは話題としても出来れば避けたい所だろうし、この反応も当然だろう。


「とりあえずはこれからどうしようか? 今の所、次のレジェンドクラスの魔物の湿原の予兆もないし、フリータイムなんだけど」

「それなら、私たちよりもキミが少しゆっくりできる所に行くべきね。いい加減キミは気を張り過ぎだから、少しはリラックスして休みなさい」

「そうですね。余り根を詰め過ぎても成果を出せませんよ」 


 何と言うか、真面目でキッチリした感じのするクリスに断言されると否定のしようもない感じがする。

 むしろ、彼女こそ常に一生懸命で根を詰めてしまうタイプに思えるんだけど、だからこその助言だとしたらもう完全に否定のしようがない。


「まあ、それは流石に俺も少しは自覚があるから、少し休むのは良いと思うんだけど」


 休むと言っても何所でどうやって話になる。

 むしろ、クリスのふかふかの尻尾を思いっきりもふらせてもらえたなら、それだけで一気にストレス発散になって気合十分なのだけども、流石にセクハラだし言わない。

 ああ、しかし本当に彼女の尻尾は何時かもふりたい。

 実は彼女の尻尾は大人気で、昔からの親友のユリィたちは勿論の事、メリアたちも当然、ミランダでさえも風呂上りなどに思わずモフモフしてしまっていたりする。

 ただし、これはあくまで同性だから許される行為で、異性に対しては性犯罪になりかねない危険な行為だ。

 それが解っているからこそ、俺もザッシュもモフモフしたい衝動に駆られながらも、必死に我慢している。

 そのうち、獣人の国に行った時にでも男性の獣人の尻尾を触らせてもらおうかとか思わなくもないけれども、同時な何が悲しくて野郎の尻尾をモフモフせねばならんのだとかも思わなくもない。

 と言うか、獣人族にとって尻尾を異性に触らせるのは特別に意味を持ち、家族以外では、襲来を誓い合った相手でなければ異性に触らせる事はないそうだ。

 よって、不用意に異性の尻尾に触れる様な輩は獣人族の中では白眼視される。プレイボーイとして浮名を流す様な伊達男でもそんな真似をしたら袋叩き似合ってポイ捨てだそうだ。

 いや、話が思いっきり逸れ過ぎだ。


「休むと言っても、この前みたいにマリージアでのんびりする訳にもいかないし」


 少し前にマリージアでのんびりとバカンスを楽しんだが、流石に今の状況ではそんな訳にもいかない。いや別に問題ないと言えばないんだけど、結構な顰蹙を買うと判り切っていて実行する理由もない。


「ご実家に戻られたら良いのではありませんか?」

「まあ、それが一番妥当かな」


 気休めと言うか、気分転換になるかは微妙だと思うけれども、まあ実家が一番落ち着く場所なのは確かだろう。

 それに、少しは肩の力を抜けと言われている中なので今は言わないけど、ヒルデに指摘された点を試してみたいと思っている。

 実際にはレジェンドクラスの魔物が現れないと、本当にそれでいいのか試すのは無理だった利するるのだけども、少し暗い感覚を掴む程度は出来るハズだ。


「まあ、帰ったらメリル辺りが私たちにも食べさせろって煩そうだけど」


 とりあえずは別の事ではやく自分の力を使いこなせないか試していたいと思ったままなのを誤魔化しておく、いや誤魔化すと言っても、これも間違いなく実家に帰ったら待ち受けている事実。現実なんだけどね。

 実際、実家からはもう何度となく催促の連絡が来ている。

 まあレジェンドクラスの魔物。つまりはこれ以上ない至上の美味を食べられるチャンスが来たんだから、せっつく気持ちも判るのだけども、ここで家族にハイどうぞと簡単にふるまってしまうと、実家の国内での立場とかが結構大変な事になってしまうのを、当の本人たちが全く理解してないのもどうなんだろう?

 そんな訳で、家族に食べさせる時には王家とか公爵などの高位貴族の面々を招いて、パーティーを開いてになるだろう。


「しかも、その辺りで面倒なトラブルが待ち受けてる気もぷんぷんするけどな」


 その上で招待していないのに我も我もと押しかけようとする連中が後を断たないに決まっている。

 ある意味で面倒事満載と判っている里帰りが、休みになるかははなはだ疑問だけども、良い気分転換になりそうなのは確かだろう。



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