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クロス×ドミナンス《旧版》  作者: 白銀シュウ
第5章 新月は無慈悲な夜の王
50/60

【5‐14】 新月の決着

この物語は、ある程度の史実を織り交ぜながらも完全にこの現実世界とは完全に別の未来を歩んでいる別の世界であり、実在もしくは歴史上の人物、団体、国家とかその他固有名称で特定される全てのものとは、何の関係もありません。何も関係ありません。

つまり、この物語はフィクションです。


【5‐14】 新月の決着



「2回戦といこうじゃねぇか?」


 啓介は鶴神を隣に降ろすと地面に落ちていた日本刀を拾う。


「……ゴキブリみてぇな生命力しやがって!」

「そうだな。確かに俺は新聞紙で叩いたら死ぬような生命力だな」


 昔、読んだことのある小説からの台詞を啓介は引用して大和を挑発する。


「こんの…」

「…それじゃ、そのゴキブリに人間様が負けたらどうなるか見てみたいな。というわけで俺はお前をぶちのめす」


 啓介は真剣な表情になると日本刀を構える。

 そして地面を蹴る。


「うおおおおおおおおおっ!!」


 啓介は日本刀を抜刀すると大和を斬ろうと振るう。


「このッ!!」


 大和は手から炎を打ち出す。


「そんなモン、喰らうかァア!!」


 啓介が叫ぶと啓介の背中から翼が姿を現した。


「!!」


 大和がその光景に驚いていると大和の打ち出した炎は全てその翼によって防御されてしまった。


「テメェッ! その翼がなんで…!!」

「聖人の力って知ってるか? 知ってるよな…お前だって使ってんだからよ!!」


 半透明の無機質な翼を背中から生やした啓介は大和に突っ込む。

 翼と翼がぶつかり合う。

 機械と機械がぶつかり合うような音がした。


「「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」」


 大和の翼を啓介の翼が受け止める。

 その間に啓介は大和に斬りかかる。


「舐めてんじゃねぇぞ!!」

「ぐっ!!」


 大和は啓介の攻撃を回避すると右足を軸にした回し蹴りで啓介の顔面を蹴り飛ばす。

 啓介は大和の左に飛ばされる。


「ぐああっ!!」


 地面を転がって吹き飛ぶ啓介から翼が消失する。

 そこに大和が追撃をかける。


「死ねぇえ!!」


 大和の右手から電撃が放たれる。

 しかしその電撃は横から打ち込まれた電撃に相殺される。


「そんな電撃で最強名乗ってんじゃないわよっ!!」


 背中から紅色の翼を生やした理奈が介入してくる。


「テメェも!!」

「残念だけど、アンタにやられて眠ってる間に会っちゃったのよ。アイツと」


 理奈はニヤリと笑う。

 大和は咆哮する。


「ふざけんなぁあああああ!!」


 大和の蹴りを理奈は同じ蹴りで受け止める。

 大和は拳で追撃を仕掛ける。


「ッ!」


 理奈はそれをかわすと肘打ちを仕掛ける。


「「うおおおおおおおおっ!」」


 2人は肉弾戦へと入る。

 2人共背中から翼が消失していた。


「第17位如きがふざけてんじゃねぇ!!」

「第1位如きが調子に乗ってんじゃないわよ!」


 理奈は大和の蹴りをわき腹で受け止めると大和の首を左足で蹴りつける。


「ぐっ!!」

「啓介!」


 理奈が叫ぶと啓介が突進してくる。


「ふざけんなッ!!」


 大和が右手から闇の光弾を放つ。

 しかし、それは啓介に当たる前に目の前に飛び出した鶴神に激突する。


「ああっ!!」

「ぐふっ!?」


 それと同時に大和が口から血を吹き出す。

 啓介は横たわる鶴神を飛び越える。


「いい加減にくたばりやがれッ!!」

「こっちの台詞だ! 大和輪廻ェ!!」


 大和は理奈との組み合いから離れると空に向かって叫んだ。



「ガァアアアアアアアアアアアアッ!!」



 大和の地を裂くような咆哮に理奈と啓介、鶴神は耳を傷つける。

 それと同時に地面が揺れ出す。


「何!?」


 理奈が叫ぶと同時に地面が動き出す。


「土砂崩れだッ!!」


 恐らく土を操る能力で地面を弄くったのだろう、と啓介は考えた。

 地面がどんどん崩れていく。


「粉々に砕いてやるッ!!」

「やってみなさいよ!」


 理奈は大和に高電圧の電撃の弾丸を連射する。

 しかし全て大和の前に発生した土の壁に阻まれてしまう。


「テメェら、全員皆殺しだッ!」


 大和が川の様に流れていく大地を見て吼えた。

 山自体が崩れていっているのか、土が都市部へと向かって雪崩の様に走っていく。


「街に被害がッ!」

「理奈、お前に任せたッ!!」

「はぁ!?」


 鶴神の叫びに啓介は事態の対処を理奈に押し付けて自身は大和の元へ突っ走る。

 川の様に流れる土の間にちょくちょくある岩を踏み台にして啓介は大和のもとへ近づく。


「最後の一撃だッ! 大和ォ!!」

「やれるもんならやってみやがれッ!!」


 大和も啓介の方へと向かって走り出す。

 2人は向かい合う。

 岩と岩の上を飛びながら対決する。


「啓介さん…!!」


 鶴神は両手をぎゅっと合わせて祈った。

 神にではなく、悪魔に。


「啓介! 負けたら地獄の果てまで追って殺すわよ!」


 理奈は流れる土の川を止めるために山の下へと向かいながら叫んだ。




「「これで終わりだァアアッ!!」」




 2人は互いに最後の岩を踏み台にして跳躍する。

 啓介は日本刀を振るう。

 大和は光と闇で作り上げた剣を振るう。



「「───────ッ!!」」



 2人が同時に剣を振り下ろす。

 両者の剣が両者の身体に振り下ろされる。



「      」

「      」



 理奈と鶴神は息を止めた。

 時間にしてわずか数秒の出来事。

 新月の夜、彼らは激突した。



「ぐあああああああッ!!」



 大和の身体に横線が刻まれた。

 大和の手に握られていた光と闇の剣は煙の様に消滅していく。

 大和は力なく回転しながら土の川へと落下していく。

 啓介は岩の上に着地する。

 そして日本刀を鞘へと仕舞う。



「おととい来やがれってんだ、バーカ」



 啓介はポツリと呟いた。

 戦いは、終わった。

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