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クロス×ドミナンス《旧版》  作者: 白銀シュウ
第5章 新月は無慈悲な夜の王
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【5‐10】 アンノウン

この物語は、ある程度の史実を織り交ぜながらも完全にこの現実世界とは完全に別の未来を歩んでいる別の世界であり、実在もしくは歴史上の人物、団体、国家とかその他固有名称で特定される全てのものとは、何の関係もありません。何も関係ありません。

つまり、この物語はフィクションです。


【5‐10】 アンノウン



「ゴーレム! 辺り一面ぶっとばせ!!」


 啓介はゴーレムに命令すると走り出す。

 落ちている日本刀を取りに行くのだ。

 ゴーレムは命令を受けると左腕で展望台の屋上をなぎ払う。

 啓介はその攻撃をかわして刀の場所へと向かう。


「ギャハハハハ!! 中々面白いじゃねぇか!!」


 大和が空から降って来る。

 狙いは啓介だ。


「ゴーレム!」


 ゴーレムは大和と啓介の間に腕を出す。

 啓介はゴーレムの腕を壁にして日本刀をとるための時間を稼ぐ。


「ギャハハハハハハハハ!!」


 大和は狂ったように叫ぶと右手でゴーレムの腕を殴った。

 すると大和の右手からツタが生えてくる。


「土の弱点は植物。植物は土から養分を吸い取り、殺す」


 ツタがゴーレムの腕に伸びていき、そこから更に別の植物が生えていく。

 やがて数秒で成長した植物達はゴーレムの右腕を痩せさせていく。


「んなっ!?」


 驚愕する啓介。

 ゴーレムの腕は絡みついた植物と生えた植物によってボロボロにされ、崩れ落ちた。


「(植物も操る能力!? 水だけじゃない!?)」


 啓介は日本刀を掴むと上を向く。


「残念だったな」


 大和の呟きと同時にゴーレムの全身に植物が纏わりつき始める。


『栂村氏! どうにかせねばゴーレムが!』

「わぁーってる!!」


 啓介は跳躍するとゴーレムの崩れた右肩に飛び乗る。

 そして能力を発動させる。


「(【火葬職人】(クリメイター)!!)」


 啓介がゴーレムに押し当てた右手はゴーレムの身体を一瞬で炎に包む。


「植物なら火で殺せる!」


 啓介はゴーレムに命令する。


「ゴーレム!!」


 ゴーレムは全身を使って展望台に倒れこむ。

 展望台が轟音を立てて崩れていく。


「うおおおおお!!」


 啓介はゴーレムから飛び降りて崩れゆく展望台へ飛び込む。


「くたばれ!!」

「テメェがな!」


 啓介は日本刀を構える。

 大和は崩れる瓦礫をぴょんぴょんと踏み台にしながら登ってくる。


「とっとと死ね!」


 大和は両手で大剣を構える。


「「うおおおおおおおおおっ!!」」


 ガキィン!と音を立てて日本刀と大剣がぶつかる。

 その瞬間、啓介は能力を発動した。


「(【奇妖貧乏】(ニンブレイジ)ッ!!)」

「なっ!?」


 大和の大剣にいきなりヒビが入り、粉々に砕け散る。



「うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」



 啓介は日本刀を振るった。

 全力で。


「!!」


 日本刀は大和の右肩から入り、斜めに入っていく。

 そしてわき腹から出て行った。


「ッ!!」


 大和は信じられないものを見るかのように目を見開く。

 そして下へと落ちていく啓介を睨みつけた。


「テメェエエエエエエエエエエ!!」


 啓介は何も言わずに瓦礫と共に下へ落ちていく。

 大和も身体から鮮血を噴出しながら重力に従わされる。

 瓦礫は2人を飲み込んで落ちていく。


「(死ねるかよっ!)」


 啓介は瓦礫の上に着地すると外へと向かって飛び出す。

 大和は瓦礫と共に落ちていった。


「!!」


 啓介は落ちてくる瓦礫を弾きながら外へと脱出する。

 それと同時に完全に展望台は崩壊する。


「ぐへっ!」


 啓介はアスファルトの地面に叩きつけられ、ゴロゴロと転がっていく。

 そして駐車していた車に激突する。


「いってぇ……!!」


 啓介は後頭部を擦りながらよろよろと起き上がる。

 そして展望台を見る。


「(これくらいで最強が死ぬわけねぇ)」


 啓介は警戒を怠らない。

 深呼吸をしてその場に佇む。

 すると瓦礫の頂上部分が吹き飛んだ。



「テメェッ!!」



 啓介は肩で息をしながら呟く。


「しぶといなぁ…」

「やってくれるじゃねぇか…!! 久しぶりだぜ、俺に傷をつけたヤツはよぉ!」


 大和は瓦礫の上から大声で叫ぶ。

 頭から出血し、左肩がおかしいことになっている。


「正直、テメェを舐めてたが撤回してやる。強ぇよ! テメェは」

「……」


 啓介は日本刀を仕舞う。


「だから…本気で相手してやる。能力もフルに使って始末してやる」

「…あっそ。悪いけど、俺はお前の遊びに付き合うヒマはねぇんだ」


 啓介は煙草の煙を吐くように嘆息するとニヤリと笑った。


「お前の負けはもう確定したよ」

「あぁ!?」

「…では、問題。俺が最初にバイクに乗って登場した時…何をしていたでしょうか?」

「はぁ!?」


 啓介は唇を歪める。

 そして舌で唇を潤した。



「正解は、能力を使っていました。使った能力は【沈黙魚雷】(トルペテオ)。…テメェがゴミ扱いしていたヤツの能力だ」

「なっ─」



 啓介が左手で何かを潰すようにぐっと拳を作った瞬間、稲佐山頂上部は轟音と爆発に包まれた。


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