コウマくんと保育園バス
ノドカちゃんは、この4月からニコニコ保育園に通い始めた年少さん。
コウマくんは、ひとつお兄さんの桃組(年中)さんです。
二人は同じ市営住宅に住んでいて、毎朝同じ保育園バスに乗ります。
ニコニコ保育園のバスには、たくさんの動物の絵が描かれています。
コウマくんは、その動物たちが大好きです。
ある朝、コウマくんがお母さんとバスを待っていると、
時間ぴったりに、角を曲がってバスがやってきました。
隣にはノドカちゃんとお母さんもいます。
バスの正面には、大きなライオンの絵。
コウマくんは胸を張って、「ガオーッ!」と大きな声で吠えました。
まるでライオンに「今日もよろしく!」と挨拶しているみたいです。
乗り口には、マントヒヒの絵が描かれています。
コウマくんは「うっほ!」と声を出して、バスに乗り込みました。
ノドカちゃんは少し驚いた顔をしましたが、すぐにクスッと笑いました。
バスが走り出すと、コウマくんの目には、窓の外の景色がまるでジャングルのように見えてきます。
街灯や電柱は、長い首をのばしたキリン。
見下ろす乗用車は、水を飲みに来た水牛の群れ。
すれ違うダンプカーは、大きな耳をパタパタさせたアフリカゾウ。
ジャングルの仲間たちが、次々とコウマくんを出迎えてくれます。
でも、ノドカちゃんには、いつもの街並みにしか見えません。
「コウマくん、なに見てるの?」
「しーっ。ほら、あそこにキリンがいるんだよ」
ノドカちゃんは目をこらしましたが、やっぱり電柱にしか見えませんでした。
最後に、フラミンゴがたくさん描かれたシャッターの前を通り、
バスはニコニコ保育園に到着しました。
バスを降りたコウマくんは、狩りを終えた王様のように胸を張って、
さっそうと園の門をくぐっていきます。
ノドカちゃんも、そんなコウマくんの後ろ姿を見て、ちょっとだけ背筋を伸ばしました。
今日も、コウマくんの一日が始まります。




