表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/5

雨の入園式

今日は、待ちに待ったニコニコ保育園の入園式です。

お母さんは数日前、ノドカちゃんと二人で美容院へ行き、ヘアスタイルもばっちり整えていました。

ところがあいにく、昨夜から降り続いた雨が止む気配はありません。

少し憂鬱そうなお母さんとは対照的に、ノドカちゃんは朝から嬉しそうです。

それは「入園式だから」ではなく、「雨の日だから」。

なぜって、ノドカちゃんは“長靴が大好き”なのです。

長靴を履いていれば、泥んこの公園でも水たまりでもへっちゃら。

それに何より「履くのがかんたん」なのが気に入っています。


本当は天気が良ければ歩いて行こうと考えていたお母さんですが、仕方なくタクシーを呼ぶことにしました。


ニコニコ保育園は、市営住宅からゆっくり歩いて15分ほどの場所にあります。

もっと近くには「テラコヤ幼稚園」があり、同じ住宅の子どもたちの多くはそちらへ通っています。

テラコヤ幼稚園は園児数こそニコニコ保育園と同じくらいですが、園庭がとても狭く、ニコニコ保育園の四分の一ほどしかありません。

周囲も住宅や商店に囲まれていて、少し窮屈な印象です。

一方、ニコニコ保育園は繁華街から少し離れているため、周囲は広々としていて園庭も広く、遊具もたくさんあります。

お父さんはテラコヤ幼稚園を勧めましたが、お母さんは

「お勉強はもう少し大きくなってからで十分。今はのびのび遊ばせてあげたいの」

と話し、ニコニコ保育園への入園を決めたのでした。


ほどなくしてタクシーが到着し、二人は乗り込みました。

「入園式ですか? おめでとうございます」

運転手さんが優しい笑顔で声をかけてくれます。

ノドカちゃんは元気いっぱいに「ありがとう!」と答えました。


タクシーを降りると、幸い雨は小降りになっていました。

園の門から続く小道には、散り始めた桜の花びらがきれいな模様を描いています。

ノドカちゃんはその上を、お気に入りの黄色い長靴でぴょんぴょんと嬉しそうに進みました。

「入園おめでとうございます!」

園の入り口では、受付の先生たちが胸に花と名札をつけてくれました。

そのあと、お母さんとノドカちゃんの写真を、きれいな桜の飾りの前で撮ってくれました。

ここでもノドカちゃんは「ありがとう!」と大きな声でお返事ができました。


入園式が始まり、園長先生のお話がありました。

園長のシキコ先生は、ちょっとふくよかな体形で眼鏡をかけた、やさしい雰囲気の先生です。

「入園児の皆さん、保護者の皆さん、ご入園おめでとうございます。

みんなと早くお友だちになって、楽しく元気いっぱいに遊んでくださいね」

続いて、先生たちの紹介がありました。

梅組(年少1組)はハルカ先生、杏子組(年少2組)はハルヨ先生、

桃組(年中組)はナツキ先生、桜組(年長組)はアキナ先生、

未満児組はフユミ先生。

どの先生も優しそうで、会場が少し明るくなったように感じられました。

このほかにも給食の先生や、各クラスをサポートする先生たちが紹介されました。

式が終わると、梅組さんだけの説明がありました。

年少組は1クラス12人で2クラスありますが、年中組からは1クラス24人になるのだそうです。


園を後にするころには雨もすっかり上がり、薄日が差してきました。

「帰りは歩いて帰ろうか?」

お母さんとノドカちゃんは、雨上がりの道を歩き始めました。

お母さんはパンプスなので水たまりをよけて歩きますが、

ノドカちゃんは大はしゃぎで、水たまりの間を長靴でぴょんぴょん進みます。

こうして、ノドカちゃんのニコニコ保育園での生活が始まりました。

春風にのって、沈丁花の甘い香りがふわりと漂ってきて、入園をお祝いしてくれているようでした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ