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NO MORE映画崩壊 -観客が消えた世界で、作り物の少女は本物の心を探す-  作者: 幸いぶん
シアター2.アメコミリブート『マーベラスグラスホッパー』
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チャプター5.新米ひよっこビジネスマン


「よっ!」

『アナタはボクの家に突然現れた……不審者さん?』


 私達の目の前で、リブートフーディは空を見上げて、立ち尽くしている。

 カロースに断られて落ち込んでいるって所だろう。

 これも本来の筋書きだから、特に問題はない。


 そう私が考えていた中で、リブフーディに先に駆け寄っていく美桜。


「おら美桜だ!」

『ミオさんデスネ、私は新米ヒーローグラスホッパーと言いマス』


 知っとるよ!と笑う美桜に、リブフーディは首を傾げている。


『……アナタ達がこの虫たちを倒したのデスカ?』


 あまりいらんことを言わないで欲しいわね、、整合性とるの難しいんだから……。

 溜息を吐きながら、私もそこに近づいていく。


「んだっ!おらともう一人の立派なヒーローがな!」

『もう一人のヒーロー、ああカロースさんデスネ!』

「あいつはーー……違う!強いけど立派じゃねえ!」

『ワッツ?』


 だけど、それを見て思いついた。

 映画の筋書きを壊さず、私達が動きやすくする為の言い訳を。


「もう一人居たのよ、ヒーローが、さっきいたでしょ?アナタに似た男」

『不審者さん2nd……』

「シアウよ、不審者カウントやめてくれる?」

「まあ、登場からして怪しいから仕方ねえよな」


 横目で美桜をちらりと睨む。

 彼女は私を見つめ返して、小動物のように小首を傾げている。


『アナタ達もヒーローだったのデスネ』

「えぇ、"この世界"のじゃないけどね」


「しあう!?」

「つじつまを合わせる為よ、話合わせてっ」


 いきなりバラすのか!?と驚いている美桜の口を塞ぐと。

 それを不思議そうに見ていたリブフーディに向けて語り始める。


『この世界のではない……?どういう意味デショウ?』

「さっき居た男はアナタ、つまり未来の"グラスホッパー"よ。」


 さっきのを会話をみて思いついた咄嗟の作戦(プロット)


 アメコミはマルチバース展開が盛んだから、ある程度の荒唐無稽な話にもついてこれる。


 なら、そこを利用しない手はないわよね?


『さっきのがボクが、ボク!?』

「そう、アナタはアナタ」

「自分探しでもしとるんか?」


 大袈裟な身振り手振りで驚いているリブフーディ。

 だけど世界観のおかげか、慌てながらも理解が出来ない様子では無い。


 うちのフーディが、現実の世界を知った時とおんなじだ。


「これをやったのも、その未来のアナタと私達よ」

『アナタたちは一体……?』


「私の名前はシアウ、未来の仲間とでも言っておきましょうか、チームで世界の平和を守っているの、ここまではいいかしら?」


 このプロットなら。


『……アンビリバボー、俄かには信じられないデスガ、まあ一応。』

「本来ならさっきのヴィランの尖兵たちはね、アナタが倒すはずだったのよ、"フーディ・アーツ"さん」


 少し懐疑心が見えれば、適度にネタバレを出来るのも強みになる。

 信じきれていないリブフーディに対して、揺さぶるように本名を口にして笑ってみせる。


『!? ボクが、これを……?』

「アナタは尖兵を倒して、そしてトップヒーローと出会う」

『カロースさん』

「そう、でも少し予定が狂っちゃってね、正しい歴史を壊そうとしているヴィランがいるのよ」


 良いところで服を引っ張られているのに気付く。

 美桜だ、ジト目で私のことを見ていた。


「おめえ、よくもそんな嘘をずけずけとつけるな」

「歴史が壊されそうなのも、世界を守ろうとしてるのも事実じゃない、理解しないと動けないでしょ、だから飲み込みやすくしてるの」

「……理屈はわかっけど、なんだかなぁ」


 嘘はいっていないもの、利用できるならするべきだ。

 それがこの映画の人たちのメリットにもなるのだから。

 …… 悪い事はしていないわ。


(そう、"全てを救う為"……なんだから……)


『アノ〜?』

「ああ、ごめんなさい、コッチの話よ、アナタにはちょっと私達に協力をしてほしくてね」


 美桜がまだむむむ、という顔をしているのを片手で押して遠ざけると。

 私はリブフーディに笑いかけて提案を持ちかける。


『き、協力デスカ?ボクはまだ、その、ヒーローになりたてで、そんな大きなプロジェクトで、お役に立てるようなスキルは……』


「弱気だなぁ、ふーでいらしくねぇ」


 自信なさげなリブフーディに美桜がそう言うが。

 当たり前よ、このフーディはヒーローとしてまだ覚醒前なんだから。


「アナタが成長前なのは知ってるわ、だから私達からお願いしたいのは、歴史を正しく運営してほしいの」

『oh、具体的には?』


「カロースに弟子入りするのを諦めないで、本来のアナタは此処でヴィランの襲撃を止めて、自信をつけるの、それで諦めずに弟子入りをせがむわ」


『!! 諦めなかったら、ボクは弟子入りして立派なヒーローに、ビジネスマンになれるのデスカ!?』


「そこはあんまり話せない、機密事項なの」


 重要なことはぼかして、トラブルがあれば修正の介入をしておきやすくする為、パイプを仕込んでおく。


 ……仕上げは。


『ソウ……デスカ』

「どう協力してくれるかしら?出来れば、こちらから接触を測ったらその都度ね」

『……』

「"世界を守る為"なの、みんなを、この街の人々を守りたくはない?」


 フーディ(キャラクター)の性質を利用して、本人の意思を後押しするだけ。


『── !!お役に立てるかはわからないデスガ!精一杯努めさせて頂きマス!!』

「おっ!ちょっとかてぇけど、それはふーでいらしいな!」


 リブフーディはガチガチに固まって180度のお辞儀をする。

 美桜はそれを笑いながら見ていた。

 緩衝材としては満点ね。


 これで後はビネガーが何処に発生するか、ゲソマミレ辺りが本命かしら。


 まあ、今回は大丈夫でしょう。

 微調整をするぐらいでなんとかなるはず。


 この世界のカロース、リブフーディ

 私達からはフーディに美桜。


『ミオさんは未来のボクをよく知ってるのデスカ?』

「んーー……よく知ってるかと言われると微妙だがなぁ、でも、これだけはわかっとるべ!」

『ホワイ?』



「すげえ立派な英雄(ヒーロー)だ!」

これだけの(ヒーロー)が揃ってるんだもの。



「おらたちの仲間のフーディも、ここに駆けつけようとした、おめえもなっ!」


 リブフーディに笑いかけている美桜を他所に。

 私は修正するべきズレが存在していないかと。


 それだけを考えていた。

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