上映前.シネマアドバタイジング
ビルの上でヴィランが人を持ち上げているのが見える。
美桜はよく見ている、いつも周りを。
アレに真っ先に気付くのはわかっていた。
だからこそ、私は……アナタを側に置いたのよ。
「あのままじゃ不味いッ!!」
「── 駄目よ」
助けようと鉄扇を引き抜こうとした手を。
私は全体重を乗せて抑え込んだ。
「何すんだべ、しあう!離せよっ!!」
「グラスホッパーがヒーローとして覚醒するシーン、アレってね、全シリーズ共通してるのよ」
「言ってる場合かっ!?」
敵に対する警戒はしっかりしているその反面。
「憧れていた"父親の死"よ」
「……おめえ、それって」
アナタは味方を"信じすぎている"。
「フーディの父親を見殺しにする気かっ!!」
怒りよりも信じられないという顔だ。
そう、怒りに振り切れないのもアナタの弱点。
「世界を救う為よ、この世界のフーディを覚醒させなければ、私達に勝ち目はないの」
「人が死ぬんだぞっ!?」
「── やらなければ世界が終わるのッ!!!!」
美桜は行こうとは足掻くだろう。
それでも私を怪我させるかもとなると動かない。
いや、動けない、優しいアナタには。
この状況を切り抜けるには、これしかないの。
恨むならいくらでも恨めば ────
「……しあう」
ふと目が合った彼女は、怒鳴るでも。
軽蔑するでもなく。
ただ寂しげな声色で、私の名前を呼んだ。
「──── ッ!!」
このまま行けば計画通りに進むんだ。
迷うな、迷うな。
世界を救う為だ……。
私は、私は正しいッ……!!!!
「もう、手遅れ ───」
「I won't let that happen!!!!」
父親がビルから落とされるのから、私は目を背けようとしたのに。
その声につられて上空を見上げる。
「な、なんでっ……!!」
「ぐらすほっぱーっ!!」
此処にいる筈のなかった。
「別の世界だとしても……!!死なせない、もう二度とッ!!!!」
"ヒーロー"が、そこにいた。




