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NO MORE映画崩壊-観客が消えた世界で、作り物の少女は本物の心を探す-  作者: 幸いぶん
シアター2.アメコミリブート『マーベラスグラスホッパー』
21/26

上映前.シネマアドバタイジング


 ビルの上でヴィランが人を持ち上げているのが見える。

 

 美桜はよく見ている、いつも周りを。

 アレに真っ先に気付くのはわかっていた。


 だからこそ、私は……アナタを側に置いたのよ。


「あのままじゃ不味いッ!!」

「── 駄目よ」


 助けようと鉄扇を引き抜こうとした手を。

 私は全体重を乗せて抑え込んだ。


「何すんだべ、しあう!離せよっ!!」

「グラスホッパーがヒーローとして覚醒するシーン、アレってね、全シリーズ共通してるのよ」

「言ってる場合かっ!?」


 敵に対する警戒はしっかりしているその反面。


「憧れていた"父親の死"よ」


「……おめえ、それって」


 アナタは味方を"信じすぎている"。


「フーディの父親を見殺しにする気かっ!!」


 怒りよりも信じられないという顔だ。

 そう、怒りに振り切れないのもアナタの弱点。


「世界を救う為よ、この世界のフーディを覚醒させなければ、私達に勝ち目はないの」

「人が死ぬんだぞっ!?」


「── やらなければ世界が終わるのッ!!!!」


 美桜は行こうとは足掻くだろう。

 それでも私を怪我させるかもとなると動かない。

 いや、動けない、優しいアナタには。


 この状況を切り抜けるには、これしかないの。

 恨むならいくらでも恨めば ────


「……しあう」


 ふと目が合った彼女は、怒鳴るでも。

 軽蔑するでもなく。


 ただ寂しげな声色で、私の名前を呼んだ。



「──── ッ!!」



 このまま行けば計画通りに進むんだ。

 迷うな、迷うな。

 

 世界を救う為だ……。

 私は、私は正しいッ……!!!!


「もう、手遅れ ───」

「I won't let that happen!!!!」


 父親がビルから落とされるのから、私は目を背けようとしたのに。

 その声につられて上空を見上げる。


「な、なんでっ……!!」

「ぐらすほっぱーっ!!」


 此処にいる筈のなかった。


「別の世界だとしても……!!死なせない、もう二度とッ!!!!」


 "ヒーロー"が、そこにいた。

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