表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
20/26

番外編.パンフレット〈Samurai wonder〉


 ここはロビーって言われる場所らしい。

 映画を見る前に、食べ物や土産を買ったりして寛ぐとこなのだとシアウやフーディに教えてもらった。


 そこにずらりと並ぶ本に、じっちゃんが描かれている物があるのに気づくと、おらはそれを手にとって、机に広げていた。


「何してんの?」

「ああ、しあう!これ見てくれ!じっちゃんおる!」

「〈Samurai wonder〉のパンフレットじゃない」

「ぱんふれっと?」

「映画の簡単な設定資料集よ」

「せってえしりょう……」

「それ見たら映画の事を色々知れるの、まあ実際に居たならアンタには興味ないもの……」


 知らない事を、色々知れる……!

 思わず耳がぴくんと動いてしまう。


「んだぁ〜〜っ!!」

「でも、無さそうね」


 そして読んでみようとパンフレットとやらに、また目を通すのだが。


「しあう」

「なによ」

「……これ、ところどころ文字がわかんねえぇぇ……」

「はぁ……英語やカタカナもあるからね、貸しなさい」

「んだ?」


 勉強しなきゃなぁ、と思いながらシアウにパンフレットを手渡す。

 どうやら読み上げてくれるみたいだ。


「タイトルは〈Samurai wonder〉

197◯年公開の伝奇時代劇で、黄金を狙って侵攻してくるトツ国の脅威から、記憶喪失の主人公の夜桜が日ノ本を守る、ってのがあらすじよ」

「夜桜?いたっけかな、そんなやつ」

「アンタが主人公の位置にいたからね、なんか狂ってたんでしょ、今頃は正常に筋書きが修正されて戻ってるはずよ」

「……そっかぁ」


 おらと似た様な事をしてたんか、少しあってみたかったな。

 いや、おらが似た様なことしてたってのが正しいんか……?


謳い文句(キャッチコピー)は〈親子の絆、未だ枯れず。〉

家族愛をテーマにしてて、おじいさん以外にはずっと迫害され続けた夜桜の波瀾万丈の物語」


 おらは首を傾げる。


「村の皆とも仲良くなってねえの?」

「そういえば、アナタは旅立ちの時に村の人たちにも見送られてたわね」

「なんで知ってんだ?」


「……あの映画に突入する前にちょっと観ただけよ」

「そっかぁ」


 元々の主人公とやらは、おらとはちょいちょい何かが違ってたらしい。

 シアウはよく物語が破綻してフィルムが消えなかったわね、とぼやいていた。


「冒頭に空を背景にあらすじが流れて行くのが有名なのよね、昔の映画だからこその手法って感じで味があっていいのよ」

「あの文字、なるほどなぁ、そういうことだったんか」


 空にあった文字の謎も、今更ながらわかった。


「人気作品だから続編もたっぷり出てるけど、1番好きなのはやっぱり初代なのよねぇ、夜桜が迫害され続けてる理由に異能力を使えるってのがあったんだけどっ」

「しあう?」

「その能力が、トツ国の血筋しか使えないワンダーってものでねっ!?何故か主人公もそれを使えるんだけど、それを見たラスボスのトーツ・サマーがこういうのよ!!」

「しあうっ!?」


 パンフレットを読んでくれていた、シアウの鼻息がいつのまにか荒くなっていた。

 なんか様子が……?と思っているとフーディがロビーに入ってくる。


「Hello!2人共何をしていらっしゃるん、デス……カ……?」

「ふーでい!しあうの様子がなんかおかしいんだ!」

「オーマイガッ!?その状態のシアウさんは危険デース!!逃げてクダサーイ!!」

「フーディいいとこに来たわねぇ、アンタもこの前ちゃんと聞いてなかったみたいだから改めてこの映画の良さを……」


「ソーリー!ミオさんッ!!」


 そしておらを残してすぐに逃げた。


「ふーでい!どこいくんだああぁ!!」

「チッ、仕方ないわね……それじゃ美桜お話しましょうね〜?」

「んだ、あぁ……!!」


 残されたおらは、不気味に笑うシアウの膝の上に乗せられ、がっちりと固定された。


「──んだああああぁーーーーーーっ!!!!」


 二時間は、そのままだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ