1/16
上映前.シネマアドバタイジング
此処は映画館と呼ばれる建物らしい。
不思議な形のふかふかな椅子。
食べたことのない食べ物の香り。
薄い本のような物が棚にずらりと並ぶ。
手にとって見るとよくわからない言葉だらけだ。
…どこをみても、“知らない”が溢れてくる。
『世界にはもう、私達を見てくれていた観客はいないわ。』
私と貴女は同じ設定のキャラクターだ、と。
意味のわからない事を言っていた少女がおらに言う。
「これが…外の世界なんか…?」
城よりも遥かに高い建物が並んでいる。
今までの世界とは違う世界がある。
窓の外の景色が
そんな荒唐無稽な話を否定させてくれない。
「そうよ、ここが私達を作った世界。」
やっと絞りでたおらの一言に。
白髪の少女は相槌をうち、一緒に窓の外に目をやった。
こんなに大きい街なのに、人影はひとつもない。
「そして───」
観客たちのいない街を横目に少女は呟いた。
「この世界は、今から終わるの。」




