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観客が消えた映画の世界で、作り物の少女は"本物の心"を探す。  作者: 幸いぶん
シアター1.伝奇時代劇『Samurai wonder』
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上映前.シネマアドバタイジング


此処は映画館と呼ばれる建物らしい。



不思議な形のふかふかな椅子。

食べたことのない食べ物の香り。


薄い本のような物が棚にずらりと並ぶ。

手にとって見るとよくわからない言葉だらけだ。



…どこをみても、“知らない”が溢れてくる。



『世界にはもう、私達を見てくれていた観客(ニンゲン)はいないわ。』


私と貴女は同じ設定(しゅぞく)のキャラクターだ、と。

意味のわからない事を言っていた少女がおらに言う。



「これが…外の世界なんか…?」


城よりも遥かに高い建物が並んでいる。


今までの世界(えいが)とは違う世界(げんじつ)がある。


窓の外の景色が

そんな荒唐無稽な話を否定させてくれない。



「そうよ、ここが私達を作った世界。」


やっと絞りでたおらの一言に。

白髪の少女は相槌をうち、一緒に窓の外に目をやった。


こんなに大きい街なのに、人影はひとつもない。



「そして───」



観客たちのいない街を横目に少女は呟いた。



「この世界は、今から終わるの。」

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