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ep.12『追憶』⑫

 自らの心の中深くに潜り静かに確かめていたナディ……そこに土足で踏み込んできたのはヴォルガーの莫大な喘ぎ声であった!!!


「ヴォルガーくんの喘ぎ声ですよ!! ヴォルガーくん、乳首開発が生き甲斐なんです!!」

「あ゛あぁっ!!?? なんだよその生き甲斐はよぉ!!!」


 盤古の人間性を深く理解していたナディ。

 しかし、いかに彼女といえど、盤古による厳しい修行が最後の弟子達を乳首開発の凶行に走らせたなどとは想像の埒外らちがいであった!!!


『お゛っ♡♡♡ お゛お゛っっ♡♡♡ お゛っ♡♡ お゛お゛んっっ♡♡♡ んお゛ぉぉっ♡♡♡ お゛お゛っっ♡♡♡ お゛っ♡♡ んお゛っっ♡♡♡ お゛っ♡♡ お゛お゛んっっ♡♡♡ お゛お゛っっ♡♡♡ お゛っ♡♡ お゛お゛んっっ♡♡♡ んお゛ぉぉっ♡♡♡ お゛お゛っっ♡♡♡ お゛っ♡♡ んお゛っっ♡♡♡ お゛っ♡♡ お゛お゛んっっ♡♡♡』

「ぐおぉぉぉぉぉぉ!!!! 今すぐやめさせろぉぉぉぉぉぉ!!!」

「何故です!!?? 美声じゃないですか!!!!」

「そういう問題じゃねぇだろこれはよぉぉ!!!!」

『『『『グェェェェェェェェェェェッッッッッ!!!!!』』』』

「あっっ!!! 喘ぎ声にビビってモンスターが現れたじゃねぇか!!!!」


 宿の外に現れた魔物の気配!!!

 この荘厳なる喘ぎ声の中でも、ナディはそれを敏感にキャッチした!!!

 そして群を成すこの魔物達が、町の外からやってきたのではなく、町の中に突然現れたという事実……


「これってきっと、業者が連れている飛竜ですよね!!??」

「ああ!!! 間違いない!!!」

『うぉぉぉぉ!!?? 魔物かっ!!??』


 部屋の中のヴォルガーも、気配に気づいて乳首開発を中断した様子であった!!!

 ナディとラピアはヴォルガーの部屋に突入する!!!


「ヴォルガー、言いたいことは色々あるけど話は後だ!! あの魔物どもをどうにかして来い!!」

「無論だ!!!」


 ヴォルガーは三階に位置するこの部屋、その窓からすぐさま飛び出していった!!


「私も行きます!!」

「ラピア!!」


 ヴォルガーに続いて飛び出そうとしたラピアを呼び止め、ナディは小袋を投げ渡す。


「さっきも言った通り、治癒魔法は元々植物を育てる魔法の副産物だった!! 使ってみろ!!」

「……ありがとうございます!!」


 ラピアが窓の外見てみれば、喘ぎ声を受けた飛竜の群はパニック状態で空を飛び回っていた。

 幸い、住民達の寝静まった夜。すぐに誰かが襲われるということはない。

 ないが、どんな刺激で暴走を始めるかはわかったものではない。

 それを理解している以上、ヴォルガーも手を出しあぐねていた。

 これが森の中での戦闘であれば話は簡単だ。

 ヴォルガーの身体能力であれば、飛竜の高度まで飛び上がって屠るのは造作もない。

 一体一体、確実にしとめればお終いだ。

 しかし、町の中で下手に攻撃を始めればどんな挙動をするかわかったものではない。

 空を舞う飛竜は二十一体。できれば、その全てを同時に対処する手段がほしかった。


「ヴォルガーくん!!」


 宿屋の屋根上に登ったラピアは、ヴォルガーに呼びかける。


「一網打尽にします!! とりあえず、殺気を出して飛竜を全部振り向かせてください!!!」

「わかった!!」


 ヴォルガーが殺気を放つ……それとともに放出された魔力が、ラピアの眼にははっきりと映った。

 ヴォルガーの修めた開天流における殺気とは、漠然とした雰囲気のことではない。

 魔力の放出により敵への害意を示すことで、強制的にこちらを警戒させる技術のことである。

 達人たるヴォルガーの放つ殺気、それのもたらす警戒心は、高レベルの魔族ですら抗うことが難しい。

 戦略や効率とは無関係に、真っ先にヴォルガーへ攻撃を仕掛けてしまう程のものだ。

 当然、上空を舞う飛竜達の抗えるものではない。


「「「「!!??」」」」


 飛竜達は、一斉にヴォルガーに意識を向けた。

 ここで全個体が突撃してくれれば話は早いのだが、それは叶わない。

 飛竜には、遠距離から攻撃する機能も備わっている。

 下手にヴォルガーから攻撃を仕掛ければどんな暴走をするかわからない……という状況は未だに変わっていなかった。

 しかし、それでも二十一体全てがヴォルガーの方を向いた。

 そして、全てがヴォルガーを攻撃できる距離まで近づいた。

 炎を吐こうとする個体もいれば、突撃体勢に入る個体もいる。

 二十一の攻撃がヴォルガーを襲う……その寸前であった。


「えいッッ!!!」


 ラピアは空中に向けて種を蒔いた。

 ナディから譲り受けた、彼女の魔力が込められた種だ。

 ラピアの魔力により引き金を引かれた種は一気に発芽し、その蔦を伸ばす。

 そして、無数に伸びた蔦は空中の飛竜達を絡め取った。


「「「「クワッッ!!??」」」」


 状況を理解する間もなく、動きを封じられた飛竜達。

 しかし、決して脱出できない強度ではなかった。

 冷静になり、正しく力を込めれば飛竜達はすぐに蔦を引きちぎるだろう。


「ヴォルガーくんっっ!!」


 そうなる前に、ラピアはヴォルガーに呼びかけた。


「わかったっっ!!」


 ヴォルガーはその呼びかけでラピアの意図を察知し、飛び上がり、飛竜達を絡め取る蔦を掴んだ。

 複雑に絡み合う蔦は、ヴォルガーに掴まれると全ての飛竜を共連れにしてしまう。


「「「「クワァァァァッッッッ!!??」」」」

「らぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!!」


 明日の夜には、パレードで賑わうであろう大通り。

 ヴォルガーはその広い空間に、引っ張った蔦とともに飛竜を叩きつけた。


「「「「グワ゛ァァァァッッッッッッッ!!!!」」」」


 絶命するほどのダメージではない。

 しかし、複雑に絡まった蔦は衝突の衝撃を逃すことを許さず、飛竜達は尽く気を失った。

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