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ep.7『豊満』⑧

 ヴォルガーは宙を漂うD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンめがけて飛び上がり、拳を振り上げる。


「!!!」


 そのスピードはD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンの反応速度を超え、強烈な一撃が叩き込まれる……はずだった!!


「……ぐっ!!」


 しかし、その拳はD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンに届く寸前で止まってしまう。

 毒を誤魔化しながら振るった拳が向かっていた、その先は……D・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンにぶら下がる、たわわなデカパイであった。


(くそ……っ!! なんだか攻撃してはいけない気がしてしまう!!!)

「くくく……毒が回ってきたようだなぁッッ!!!」


 D・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンは再び、その長い尻尾を鞭のようにしならせてヴォルガーに叩きつける!!

 一瞬の思考の隙を突かれ、今度は避けきれなかった!!!


「ぐうぅぅぅっっっ!!!!」


 鞭のような攻撃の威力をモロに喰らったヴォルガーは、そのまま吹っ飛ばされる!!

 そして、空中で姿勢を制御して砂埃を立てながらも着地する!!

 万全のヴォルガーであれば間髪入れずに反撃に転じるような状況であったが……やはり、毒のせいで反応が遅れてしまった。


「……!!!」


 気がついた頃には、D・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンがヴォルガーの肢体を噛み砕かんと、牙を鋭く剥いて眼前に迫っていた!!!

 回避は間に合わない……とヴォルガーが逡巡したその時であった。


「ヴォルガーくんっっ!!!」


 ラピアが目の前に飛び出し、ヴォルガーの身代わりになるようにD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンの餌食となった。


「ラピアさん……!!」


 ラピアを捕らえたD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンは、そのままヴォルガーを逸れて空中へと飛び立つ。

 ヴォルガーに邪魔される前にラピアに止めを刺そうと考えての行動であった。


「ぐっ……ぐぅぅぅぅぅ……!!」


 刃物のように牙はラピアの白い柔肌を突き破り、強靱な顎は彼女の細い骨をミシミシと砕いていく。

 白く清らかに輝いていた巫女服は、一瞬のうちに紅く染め上げられた。


「くくく……愚かな人間よ!! 自ら我に喰われにくるとはなぁ!!!」

「……おっ、愚かは貴方の方ですよ」


 ラピアはD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンの咥内で腕を動かし、そしてその鋭い牙をそっと撫でた。


「毒使いが、ヒーラーに噛みつくだなんて……!!」

「ッッッ!!!??」


 瞬間、D・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンの体を熱が走る。

 毒を操るこの龍が、逆に毒を喰らったかのような強い熱。


「ぐがあぁぁぁぁぁッッッッッ!!!!」


 D・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンは、思わず口を大きく開いた。

 そして必然的に、ラピアはその牙から解放される。


「魔力を逆流させて毒性を打ち消す! 毒に噛まれたヒーラーの基本戦術ですよ!」


 悪戯っぽい笑みでそう告げながら、ラピアは地上へと落ちていく。

 落ちてきた彼女を、ヴォルガーはしっかりと受け止めた。ラピアが落ちてくるのは最初からわかっていたかのような対応だった。


「ヴォルガーくん! 毒の解析も終わってますよ!!」


 そう言って彼女は、ヴォルガーの首筋にそっと触れる。掌から伝わる温かな光が、彼を侵す毒を浄化していく。


「わかっていてもギョっとするな、この戦い方は」

「ふふっ、心配してくれたんですか?」


 ヴォルガーはラピアをそっと降ろす。


「いや、心配はしてない。心臓が潰されても自分で再生するだろラピアさんは」

「それでも心配してください!! もーっ!!」

「くださいと言われても……」


 D・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンは、空中で悶えながら地上の二人を睨みつける。


「お……おのれ……!!」


 苦しみで悶えながらも……攻撃の意志は一切萎えてはいなかった。


「おのれぇぇぇっっっ!!!」


 再度放たれた毒の熱線。やはり真っ直ぐにヴォルガーを狙い、そして届く!!

 しかしヴォルガーはそれを避けず……逆に、熱線を切り裂くようにD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンめがけて飛翔した!!

 毒と熱に直撃した形だが、それに一切ひるむことはなくヴォルガーはD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンの元に辿り着く!!


「もう貴様の毒は通じん!! 喰らえッッッ!!!」


 ヴォルガーの蹴撃がD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンの顎を、突き上げるように砕く!!!


「があぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッ!!!!」


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