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ep.7『豊満』⑦

 渦を巻くように舞い上がると、D・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンの長い体はその勢いのまま、鞭のようにヴォルガーへ向けて叩きつけられる。


「ふっ!!!」


 素早い先制攻撃だったが、ヴォルガーはバネのようにこれを避ける。

 しかし、その大きな体からは想像もつかないほどのスピードには、さしものヴォルガーも舌を巻かざるを得なかった。


「やはりキルデイル直属の部下……簡単には勝たせてもらえないか……!!」

「……貴様、ヴォルガー・フィルヴォルグか!」


 目の前の敵が、魔王軍全体のターゲットだと気がついたD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンはニヤリと不敵な笑みを浮かべる。


「くくく……これは僥倖ぎょうこう!! 貴様の首をキルデイル様の手土産にしてくれるわ!!!」

「いいや、お前がキルデイルの元に帰ることはもう無い!!!」


 その鋭い爪で突風のように襲い来るD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴン……しかし、ヴォルガーの体はそれを回避して宙を舞い、そしてその脚はまるで斧のようにD・ D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンの頭蓋へと振り下ろされる!!!


「この地に眠れD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴン!!! 龍骨破砕脚!!!」


「ぐうぅぅぅぅぅぅぅぅッッッッッ!!!!」


 ヴォルガーの一撃は確かにD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンに凄まじい衝撃を与え、その体を地面に沈めた……そのはずだった。


 ボイイィィィィィン……ッッ!!!


 叩きつけられたD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンの体から、何故か柔らかい感触が伝わってくる。

 足技で敵を叩いた感触ではない、これは……


「まさかD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴン……デカパイで衝撃を吸収したのか!!?」

「くくく……察しの良さは褒めてやろう!! しかし貴様の威力も我がデカパイの前ではノーダメージよォ!!!」

「なんだと……っ!!」


 思わぬ戦術で技を無効化され、ヴォルガーは少なからぬショックを受けた。

 ショックを受けたがしかし……少し冷静になって思い直した。


「いや……デカパイも自分の体なんだからノーダメージにはならないだろ!!??」

「ノーダメージよォ!! 死ねぃ!!! ヴェノム・ヒート!!!」


 D・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンの口から放たれた紫色の熱線がヴォルガーの体を焼き付ける!!!


「ぐあぁぁぁぁぁぁぁッッッッ!!! しまった!!!」


 なんたる不覚!!! デカパイ問答に気を取られた隙を見事に突かれ、ヴォルガーはD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンの攻撃をモロに喰らってしまった!!


「ヴォルガーくん!!!」

「大丈夫だ……この程度の熱で……くっ!!」


 熱線自体は容易く耐えられたが、その後でヴォルガーはふらつきを覚えた。


「これは……毒!!?」

「くくく……今更気づいてももう遅いわ!!! 我がデカパイは毒袋となっておるのだ!!!」

「まさかデカパイにそんな秘密が……!!」


 ヴォルガーは思い出していた……魔族は人類にとって未知の生物だ。

 たとえ人のようであってもほ乳類ではなく、蛇のようであってもは虫類ではない。

 ほ乳類ではない魔族にそんなデカパイがあって何になるのか不思議だったが、毒袋になっているとは誠に驚きである。


(……デカパイから直接噴き出す毒じゃなくてよかった)


 母乳のように噴き出す毒にやられたら、なんというか精神的ダメージが凄そうだと思った。

 改めて見てみれば、D・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンのデカパイは鱗に包まれた体がそのまま膨らんだという様相で、肝心の乳首は存在しない。毒が直接噴き出す機能は無いと考えるのが妥当であった。


 何はともあれ、毒がヴォルガーにダメージを与えていることは間違いない。

 詳しい性質はわからないが、先程のようにふらついてばかりでは戦えない。

 ヴォルガーはギリっと下唇を噛み、全身を巡る魔力を加速させて気付けにした。

 ここで頼るべきは当然ヒーラーのラピアだが、長さと素早さを兼ね備えたD・D・Dダーク・デカパイ・ドラゴンとの戦闘中だ。そうやすやすと近づかせてもらえるか?

 この強さの毒であればラピアほど優秀なヒーラーであっても、直の解析が無ければ治療は難しいはずだ。


(考えても仕方ない!! 毒が回りきる前に倒す!!!)

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