ep.7『豊満』⑤
村長に引っ張られるように移動したデカパイ巫女のヴォルガーは、どこかの地下に連れてこられた。
そしてそこで、祭のスタッフから誘導を受ける。
「今いる場所が納涼!!デカパイ祭!!!メインステージの地下なので、タイミングが来たらヴォルガーさんにはここから飛び出してもらいます」
そう言われてみれば、少し遠くから「うっ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」という大歓声が聞こえてきた。
祭に来た観客の盛り上がりが地下まで届いているのだろう。
「ヴォルガーさん、スタンバイお願いします!!」
ステージの様子を確認したスタッフによって、ヴォルガーへと指示が飛ぶ。
そのスタッフが指し示す先には、人一人が乗れるような四角い台があった。
そしてその天井には、同じ四角形の穴が開いている。
天井の穴はステージに繋がっており、この台が迫り上がって演者が登場する……という仕組みはすぐに想像できた。
「それではヴォルガーさん、そちらのデカパイエレベーターに乗ってください!!」
「あの台のどこにデカパイ要素があるんだ!! なんでもかんでもデカパイ扱いするんじゃない!!!」
「元気に飛び出す陥没乳首に擬えています!!!」
「なるほど、わかった。聞いた俺が悪かった」
ヴォルガーが大人しく搭乗すると、デカパイエレベーターは上昇を始める。
メインイベントの開始に向けて徐々に加速を始めるデカパイエレベーターの上で、ヴォルガーは密かに逡巡する。
歓声の大きさからして、祭は村の外からも大勢の観光客が来るような規模の大きいものなのは間違いないだろう。
その観光客が何を目当てにしているのかといえば……それはもちろん、バストの大きな女性に違いない。
はっきり言って、女性をそういう風に見せ物にするのは褒められたものではない。
しかし、それでもこの村にとっては重要な文化財には違いないし、長年の信仰にも繋がる行事だ。
俺のような男が『デカパイ巫女』としてステージに立てば観客もガッカリして、この祭を台無しにしてしまうのでは……?
――どれだけ不安に思っても、幕は既に開かれている。
祭が閉じるその時まで、ヴォルガーは自らの役割を全うするしかないのだ。
『さぁ、皆さんお待ちかねいよいよ登場!!! 今年のデカパイ巫女だぁぁぁぁぁぁッッッッ!!!』
MCの口上を合図にデカパイエレベーターは勢いよく跳ね上がり、ヴォルガーは眩く弾ける銀テープとともにステージへと飛び出した!!!!
パァァァァァァァァァッッッッッッッン!!!!
「「「「「うっ、うわあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッッッッッッッ!!!!!」」」」」
ヴォルガーの目に飛び込んできたのは一万人を超える観衆!!!
熱狂の渦に包まれながらヴォルガーはステージに着地!!!
そして、打ち合わせ通り武道の型を始めた!!!
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっっ!!!! なんてデカパイなんだ!!!!」「すっ、すごい……すごすぎるわぁぁぁぁぁぁっっっっっっっ!!!!」「ワシは70年もこの祭を見続けたが……間違いなく今年が過去最大じゃあぁぁぁぁっっっっっっっ!!!!!」
(なんか……なんか普通にみんな喜んでいるな???)
予想と大きく食い違った反応に内心で戸惑いながらも、ヴォルガーの鍛えあげられた肉体は華麗で、そして激しい演舞を繰り広げる。
(デカパイといえば普通、女性の大きな胸を指して……デカパイ祭の観客は当然女性の胸が目当てのはずで……えっ、俺が間違っていたのか??? 胸囲がデカければ嬉しいのが普通なのか????)
「おいちょっと待てよ!!! あのデカパイ巫女……ヴォルガー・フィルヴォルグじゃねぇか!!!!」「キャーーーーッッッッッ♡♡♡♡ こんなことってあるのぉぉぉ♡♡♡♡」「とんでもねぇサプライズだぜ!!!!」
観客がデカパイ巫女の正体に気がつくにつれ、会場の熱気はますますヒートアップ!!!
ヴォルガーの後ろで奏でられるビッグ・バンドのスウィングが、歓声と重なり最高のセッションを響かせていく!!!
そして主役のヴォルガーは、ただ無心に演舞を続ける。
武道の型というものは、無為に激しい動きをするものではない。
目の前に立ちはだかる敵を想定して……その相手に向かって叩き・蹴り・受ける、一種のイメージトレーニングといってよい。
SSS級の格闘家であるヴォルガーの型は、武道の心得が無い観客の目にまで想像上の敵の姿を映しだした。
「すげぇ……本当に戦ってるみたいだぜ!!!」「見える!!! 俺にも見えるぞ敵の姿が!!!」
観客のヴォルテージが極限にまで高まったかに見える……その時だった!!!
パァァァァァンッッッッ!!!!!
という破裂音とともに、ヴォルガーのデカパイを包んでいた巫女服が白く弾け飛ぶ!!!
ミチミチとした肉厚な胸筋も、美しく艶やかな桃色乳首も露わになったその光景はまさしくSEXYの極みであった!!!!
「「「「「うおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」
パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
一万人を超える観客が、思わず拍手喝采でヴォルガーのデカパイを讃える!!!! 崇め奉る!!!!!
この村の文化を壊してしまうのではないか……という不安で始まったこのステージであったが、結果を見れば大盛況!!!
観客は歓び、ヴォルガーはデカパイ巫女の代役を果たし、全く文句のつけようがない大成功としか言いようがなかった!!!
しかし……それでも、ヴォルガーの内心で戸惑いは渦巻いていた。
(俺は……俺は一体、何をやっているんだ……?)




