ep.5 『公転』⑦
実際に捕らえてみれば、ヴォルガーの巨躯を超え直径3mはあろうかという隕石の凄まじい質量……そして宇宙からの衝突による位置エネルギーの衝撃がヴォルガーを襲うが、新たな快感に目覚めたヴォルガーを揺るがすほどのエナジーではなかった!!!
そして隕石を捕らえたヴォルガーは時計塔へと落ちてくる!!!
受け止めるラピアは、渾身の魔力を込めて時計塔の構成を操作する!!!
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!」
ラピアの込めた魔力は時計塔全体、その細部にまでに行き渡り、そして時計塔の形状そのままに固着する!!!
ここに落下の衝撃が加わればどうなるか!!??
当然、時計塔は崩壊する……が、その破片は飛び散ることなく、固着したラピアの魔力形状に従ってただちに再生する。
一度潰れた物が瞬時に元の形状に戻る……ラピアの魔力によって、頑強な時計塔がゴムのような弾性を得ることになるのだ!!!
そしてラピアの計算通り、隕石はヴォルガーとともに時計塔へと落ちてきた!!
ズギャァァァァァァァァァッッッッッッッッッッッッ!!!!!
けたたましい音を立てて崩壊する時計塔!!!
しかし、その潰れ方はまるで握りつぶされたクッキーのように、ある種の落ち着きがあった。
ラピアの魔力が固着したおかげで、破片が周囲に飛び散ることもなく、内側に向けて潰れるような形となったのだ!!
時計塔内部に人がいないことは探知で確認済み。かくして隕石の落下騒動は一切の死傷者を出すことなく、実に穏当に決着した。
――そう思いこみ、ラピアが安堵したその瞬間であった!!!
崩壊した時計塔はラピアの計算通り、再生していく。あたかも、潰されたゴムが元の形状に戻るように。
そう、ゴムのように戻り――必然的に、再生時のエネルギーはヴォルガーと隕石を押し出していく!!!
ズオォォォォォォォォォォォォォォッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!??????????」
一度地上に墜落したはずのヴォルガーは、わけもわからないうちに再び大空へと羽ばたかされていた!!!!
「う゛ぉっ、ヴォルガーくん!!!!???」
急速に遠ざかっていく、ヴォルガーと掴まれたままの隕石!!!
さしものラピアも対処できず、ただただ小さくなるシルエットを見送ることしかできなかった!!!
そしてこれは、隕石落下による危機が再び訪れたことを意味していた。
ヴォルガーとともに飛び上がった隕石が地上に墜落すれば、やはり被害は免れない!!!
この危機直面したヴォルガーは……思考よりも先に肉体を動かしていた!!!
否、剛速球によって刺激された彼の乳首が、その熱が、彼に思考を許さなかった!!!
「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
気がつけば、ヴォルガーの肉体は独楽の如く高速で横回転していた!!!!
時計塔の弾力エネルギーに身を任せて生まれた凄まじい高速回転!!!
隕石を掴みながら回るその光景……まるで、ヴォルガーという惑星の重力に引かれた隕石が衛星として公転しているかのようであった!!!
「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛ッッッッッッッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
激しい回転によって自らの体力を、魔力を、新たなエネルギーへと変換していくヴォルガー・フィルヴォルグ!!!
時計塔の弾力による上昇がピークへと達した、その時であった!!!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!」
ヴォルガーは遙か天空へ向けて隕石を投げ放った!!!
回転の遠心力によって新たなエネルギーを得た隕石は、猛スピードでヴォルガーから遠ざかっていく!!!
それはまるで、地上と空中の二段階発射によって宇宙へと飛び立つロケットのよう……。
なんと、宇宙開発という概念すら存在しないこの世界・この時代において、ヴォルガーは本能によってこのシステムへ辿り着いてしまったのだ!!!
解き放たれた隕石、そのスピードは第一宇宙速度を超え、上昇を続け……とうとう大気圏を突破した!!!
しかし、ヴォルガーがその事実を確認することもなく……性も根も尽き果てた彼は、先ほどまでの絶叫が嘘のように静かに地上へと落ちていった。




