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ep.4 『臀部』③

 腑に落ちないことばかりのヴォルガーを、村長が次のステップに向けて促す。


「さぁヴォルガーさん、そろそろスタンバイをお願いします」

「う、うむ……」


 ヴォルガーが移動しようとすると、ラピアが声をかけた。


「ヴォルガーくん!」

「なんだ?」

「お尻を叩いて激励しましょうか?」

「えっ!? いや、遠慮しておく……」

「お尻を叩いて……激励しましょうか!?!?!?」

「いや、だから遠慮を」

「お  尻  を  叩  い  て」


 ヴォルガーは逃げるようにスタンバイへ向かった。


「あっ! お尻が!!」


***


 ヴォルガーは丸太に背を向け、ステージに立つ。

 最高のサプライズゲストに、会場の熱気はいよいよ狂気を帯び始めていた。


『予選会最後の選手はなんとあの! 勇者パーティの一人として数多の魔族を葬った、人類の誇る肉体派戦略兵器ヴォルガー・フィルヴォルグその人だぁぁぁぁ!!!』

「「「「「うっっっっうわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっっっっっっっっっ!!!」」」」」


 ヴォルガーの勇姿を見届けるため、ラピアとルカは最前列に立つ。

 ラピアははしゃぎ、ルカはカメラで連写する。


「きゃーっっ♡♡ 見てください、あそこにいるのは私の恋人なんですよ♡♡」

「へぇ! やっぱりそうなのか!」「噂は本当だったのね!!」

「妙な誤解を広めないでくれ!!」


 男女が一緒に旅をしているというだけで勘ぐられるには十分というのに、寄りにもよって追放によって二人きりになったばかりのタイミング。

 ラピアの発言はかなり洒落にならなかった。

 そして、正しいはずのヴォルガーの言葉は人々に届かなかった。


『人類を代表してケツ然と魔王軍に立ち向かうケッ気盛んなこの豪ケツ、彼がこの祭の歴史に刻むケッ風録は果たしてどのようなケツ末を迎えるのか!!』


(今日だけで一生分のケツを聞かされそうだ……)


 戸惑ってばかりのヴォルガーの気も知らず、若い衆はロープを引っ張り丸太を振り上げていく。


(何故こんなことに……いや、ラピアさんが連れてきたのが元凶で間違いないんだが)


 会場の中心で、ヴォルガーは観衆を見渡す。

 諸々のことを置いておけば、人々が今、自分に大きな期待を寄せてくれていることは間違いない。

 魔王軍の侵略に脅かされている、この世界で。


(……しかし、俺がここで祭を盛り上げることもきっと人々を勇気づけるに違いない! はっきり言って理解不能な祭だが、水を差すわけにはいかん!! 勝ちに行くぞ!!)


「しゃあッッ!!」


 若い衆がかけ声とともに、ヴォルガーのケツに向けて丸太を振り下ろす!!!


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉッッッッッッッッ!!!」


 ヴォルガーがケツをぶつけると、凄まじい衝撃によってロープは千切れ、丸太には無数のヒビが入り、天高く吹き飛ばされる!!!!

 水晶から投影されたスクリーンには……『測定不能』!!!!


『これは……前代未聞の大記録だぁぁぁぁぁ!!!』

「「「「「おおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっっっっ!!!!」」」」」

「いかん、流石に危険か!?」


 会場は盛り上がるが、その一方でヴォルガーは焦る。

 万が一ロープから解き放たれた丸太があらぬ方向に行って、怪我人でも出たら……。

 タイミングを見て飛び上がり、丸太をキャッチしよう。

 ヴォルガーがそう考えていた……その時だった!


「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉッッッッッッッ!!!!!」


 雄叫びが響いたのだ……丸太の内側から!!!!


「んっ!!??」


 そして、丸太を砕いて内側から現れたのは……黒い装束に身を包んだ忍者!!!!


「我こそは魔王軍七沌将が一人、知将キルデイル様の忠実なる僕・忍者病嵐!! ヴォルガー・フィルヴォルグ、貴様の命……貰い受ける!!!」

「なっ……なにィィィィ!!!???」


 戦いの始まりだ!!!!!

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