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巡る地球儀 6

「ウィル、お疲れ様」

 会場の片付けはウィル一人でやることにした。アリシアは次会議があるというので直前まで手伝うという彼女の申し出を断ったのだ。

「レイフ!」

 スクリーンを収納しようと設備をいじっていると扉の方から聞き慣れた声がしてウィルは振り返った。そこには、先ほどまで真剣な表情でプレゼンを見ていたレイフの姿。

「よかったな、満場一致で可決」

「ええ。本当にあなたのおかげです」

「いや、あれはお前の実力と情熱の賜物だよ」

 プレゼンは質疑応答で若干揉めたがほぼ滞りなく、全員賛成の雰囲気で進んだ。揉めたところをウィルが落ち着いて対処したことも、今回のプレゼンを満場一致の可決に導いた要因の一つだろう。

「ありがとうございます。……俺は、あなたの気持ちに応えたかったんです。今までの感謝の気持ちを込めて」

「……嬉しいよ。なんで今日の夜に会議があるんだろう。早くうちに帰ってこの喜びを分かち合いたいのに」

「それはこっちのセリフですよ」

 そういいながらスクリーンを収納し、座席横の階段を上って行く。そして上の座席の名札から剥がし始める。レイフはここにいていいのか、少し戸惑った様子でその背中を見ていた。

「ウィルさぁん! お疲れ様でしたぁ〜」

 扉の位置から見たらレイフの存在は完全に死角だっただろう。扉があいて入ってきたのはエミリーだった。

「あ、……お疲れ様です」

エミリーはウィルに駆け寄ろうと少し走ってからレイフの存在に気づき、慌てて会釈をした。ウィルはくるりと振り向いて笑顔を向けた。

「アリシアさん! わざわざ来てくれたの? ありがとう」

「ウィルさん! 大成功だったって聞きましたよ! わたし嬉しくって。あ、これ剥がしてるんですか? 手伝いますね!」

 そういってエミリーはウィルの近くの名札を剥がしはじめた。彼女はこのままここに居座るつもりだ。ウィルはちらりとレイフを見やる。気まずい思いをしているだろう。何も言わずに部屋を出るようにアイコンタクトをする。

「……あ、俺、こっちからやるな」

 そういって何故かレイフは下の座席の名札はがしに着手した。ウィルはたまにレイフがわからなくなる。それからこの気まずい状況をどう打破しようかと思案し出した。



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