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君が大人になってしまう前に 15

 昔話を終えると、ヴィンスは長く深い息を吐いた。

「これが、オークワイオ・シティ・ビル事件。犠牲者は6名と少なかったけど、ここでも再度人体にウイルスが打たれた。近頃ではヒトにウイルスが打たれることも悲しいながら珍しいことではなくなったけど、この当時はこれが2件目だったしその犯行自体がかなり独特だったから当時はかなり取り上げられたね」

「俺も昔よくテレビで見たのを覚えています」

「そうして俺はBSOCのメンバーになった。もうこんなにもウイルステロとの関わりが深くなってしまったから、元には戻れないと思ってね。ごめん、あんまり関係ない話をしてしまったね」

 そういうとヴィンスはウィルに向き直った。

「ウィルもエリオットも似ているんだ。2人ともきっと、俺よりずっと優しい。そして強い。ウィルがストイックな気質だってことは入隊してきてすぐに分かったし、性格こそ全然違うけど優しさの種類はエリオットと似ているなと思った。直接的な優しさじゃなく、どこか婉曲的な優しさというかね。だからそれに甘えて、ウィルの強さをメンバーに見せていた。ウィルが一人で頑張っているのをメンバーに見せることで、メンバーたちに相乗効果が生まれるのを期待していたんだ。……そのせいで、重荷になっていたものがあったのかもしれないと思ってね」

「いえ、そんな……」

「俺はあまり強くないから、そうやって頑張っている姿勢を見せることでメンバーを鼓舞することが出来ない。だから声をかけるくらいしか方法がなくて。でも、ウィルが来てくれてメンバーたちは変わってきている。もっとわかりやすくいうと、心の強さを備えてきている。本当にありがとう。でも、もう少し荷物をおろしていいよ。変なプレッシャーは抱えなくていい。俺がキャプテン補佐に甘えすぎてしまったね、キャプテン失格だ」

「そんなことありません」

 なぜだか自然と心がとけていくのを感じた。自分は自分にプレッシャーをかけて縛っていたのだとわかる。

「もし荷物の下ろし方がわからなくなったら一緒におろしてあげる。っていっても、ウィルのことだからもうそのストイックな生き方が身に染み付いちゃってるかもしれないけどね。そんなウィルにとって俺はまだ頼りないかもしれないけど、せっかく一緒にチームになれたんだから、楽しくやっていこう?」

「……ハイ」

 ヴィンスはエリオットやウィルのほうが自分よりも優しいと言ったけれど、きっと優しさの形が人それぞれなだけだ。

 ヴィンスの優しさをじんと胸で感じながら、ウィルは頷いた。


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