第4話 行動
「じゃあ、まずは作戦を考えよう」
カンレと仲間になった次の日、俺はリューニーとカンレと集め、会議を行なった。
そこで俺の持っている情報を伝えた。魔王軍には、アンデットになる際特殊な力が与えられる事。アンデットには魔王に逆らうことができない服従の呪い、魔王が生死の決定権を持つ殺戮の呪い、魔王が居場所を特定できる追跡の呪い、魔王が身体を支配し、操作することができる支配の呪いの大きく4つの呪いが掛かっているということ、魔王軍の拠点は大陸の最東端のあたりにあり、人間では近寄れない結界があることなどだ。
「そんなに教えていいのか?お前は魔王に殺されないのか?」
「大丈夫だ。その為に五大官の一になったのだから。それより、作戦だ。これからどう動いて行く?」
マルクスを拠点にし、徐々にその周りを魔王軍の支配から外していくのか、一気に魔王軍の拠点の近くに行き攻撃を仕掛けるか、選択肢は様々だ。
「トウヤが決めてくれ」
リューニーのその言葉に俺は少し驚いた。
「いいのか?俺がお前たちをついて来させているようなものなのに」
「それだから良いんだ。俺はトウヤの旅について行く。この旅は、俺たちじゃなくてトウヤの旅だ」
「カンレはいいのか?」
「ええ。リューニーが決めたことなので」
そうか…まいったな。
「少し時間をくれ」
そうだな…まずはマルクスの周辺からいいかなぁ。いや、それをしているといつまで経っても進めない可能性もあるし…いや、そういえば…
「決めた。マルクスを拠点に、周辺の森林の魔王軍を討伐しよう。あそこは隠れやすくて、魔王軍にとっては利点の多い場所だ。しかも、リューニーの話だと最近あそこに五大官が出たらしい。まずはあの森林を制覇し、魔王軍の拠点を攻め込もう」
「「了解」」
〜翌日〜
「よし、行くか。準備はできたか?」
「ああ」
「ええ」
「そういえば出国のために書類がいるんじゃないか?」
「大丈夫だ。俺の騎士団手帳があれば外へ出られる」
「よくやったリューニー」
森林には多くの魔王軍の気配がする。厄介な相手がいなければいいんだが…
「出国許可の書類を提出して下さい」
「これで」
「確認しました。出国を許可します」
〜森の中〜
「何が薄暗くないか?トウヤ」
「確かにそうだな」
おかしいな。まだ昼のはずなんだがな。と、そう思っていた時、突然気配がした。
「いるぞ」
物音と共に現れた敵は、魔王軍の小さな部隊をまとめる役割をしている将軍と呼ばれる位につくアンデットだった。
「トウヤ、俺が行ってもいいか?」
「もちろんだ」
さて、将軍ならちょうどいいくらいの相手だろう。お手並み拝見と行こう。
「トウヤさん!支援魔法をリューニーにかけますね」
「いや、かけなくていい」
「でも、それじゃ!」
「今は見ておくだけでいい」
ざっと見たところ、リューニーはそこそこの実力者だ。将軍ごときにやられるような奴じゃないだろう。
「グァァァ!」
将軍になってもアンデットに自我はない。五大官クラスにならないと、自我は現れない。俺も、こんな状態の時があったのかと昔を懐かしんでいると、轟音が鳴り響いた。
ドォォォォン……
みると、将軍の首は吹き飛んで、動かなくなっていた。いやはや、魔法剣士というのはこれほど威力があるのか。
「どうだ?トウヤ」
「お前、魔法剣士だったのかよ」
「言ってなかったか?まあ確かにそういう話をした覚えはないが」
魔法剣士は魔法を剣に纏わせ、その魔法を使い遠距離攻撃や、強大な剣技を可能とさせる。これは、支援魔法と相性が良さそうだ。将軍の討伐で喜び合うリューニーとカンレの横で一人、これからに期待を馳せた。