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裏探偵トウヤ  作者: KS
五大官
23/23

第23話 開戦

犠牲を伴いながら戦ったシャラクとのウルネーヴとの戦いが終わり、俺たちは近くの国へと歩き出していた。


「つまり、魔王軍側にはこちらの事情がバレた、と。そういうことか?」


「ああ、ロイ。それで間違いないと言っても良い。ウルネーヴが死に際にそう告げた。魔王軍内での情報共有は驚くほど早い。魔王が情報を全て管理しているからな」


「でも、全て事情をバレたとしてもそこまで影響はないだろ?俺たちは今のまま、戦い続けるだけだ」


「いや、俺たちは魔王からの情報共有の場での情報をもとに戦っていた。影響は大きい」


これから俺たちは、どう出てくるか分からない強大な相手に、その場しのぎで戦っていかなければならない。さらにもしかすると、あちらにはこちらの動きがバレている、ということも考慮しなければならなくなる。


戦況は苦しくなる一方と予測できてしまう。どうにかしてでも、この仲間と目標を達成したい。カンレの意思を引き継いで、リューニーを幸せな世界に送ってやりたい。


そう考えていると、朝日はだんだんと昇っていき、昼になってきた。


「嫌なくらい静かな所だな、この辺りは。トウヤ、目的地の国までどのくらいだ?」

「目的地のヴェナース王国までは…」


地図が指し示す場所は…真北の方向に100メートル?真北に進んでいるが何もないぞ?目の前にはただ、廃墟になった街のようなものが並んでいるだけで…


「トウヤ、どうした?」

「ロイ。目的地までは真北に100メートル。あの廃墟までは何メートルだ?」

「ざっと‥100メートル…」


一瞬の沈黙を挟み、ここにいる全員がそれを察した。

「始まってしまったのか」


奴らの力は人間を遥かに凌駕する異能の力といっても良い。勇者の加護を持つロイでさえ単独撃破の難しい五大官、一般の騎士ならまず勝てないレベルの将軍。


今までそんな力を持っていながら進撃を食い止めることができていたのは、常にこちら側が先手必勝で相手の戦力を削っていたからにすぎない。


魔王は計画的な人物だ。確実に勝てる打算がなければ大きな動きはしない。そしてもし奴らの戦力が十分に固まった時、何が起こるか。今までにないレベルの魔王軍の動きが始まる。


奴らはこれまで五大官を囮にしながら、戦力をどんどんと増やしていた、ということか…。


「トウヤ、あれは魔王軍により壊滅させられた街、と見て間違いないな?」

「ああ、リューニー。そしてあの廃墟には吹き飛ばされた建物の残骸や燃えかすが散乱している。恐らくはオルターの仕業。ここだけじゃない。大陸中に魔王軍の影響が渡っているかもしれない。急いで食い止めるぞ!」


魔王軍に正体がバレたのなら、もう隠す意味もないと思い転移魔法を使用して、近くの大国ブラード王国へと向かった。


ブラード王国に広がる景色を見て、一つ確信したことがあった。手遅れだった。


そこには先ほどと同じく廃墟と化した街が広がっていた。かろうじて形を保っていた建物の中に一度入ると、中からは血の匂いがした。みなまでは見なかったが恐らくはそういうことだ。


「ブラード王国が落とされたのなら東側に望みはないかもしれない。トウヤ、今から助けに行くなら最低でも中央か、それより西の国だ」


騎士として国同士の交流を何度も行ったロイの言葉だ。信じるほかない。


「リューニー、行くぞ」

「どこに?」

「大陸の中央にあり、守るべき国。一つしかないだろ?」

「…。行こう。マルクスに」


再び転移魔法を展開。座標を指定してまもなく展開を終了するという時、突然あたりに異様な雰囲気が立ちこめた。空が暗くなり、異音と共に現れた荘厳な扉。その中から感じる雰囲気には見覚えがあった。


「随分と見慣れないやつとつるんでいるな?テルペト」

「魔王‥様、!?」


威圧感にロイとリューニーも動けず、呼吸することしかできない様子だった。


「話はもう聞いた。まあ前々から少し勘づいてはいたのだがな」

「なぜ今になるまで何も行動を起こさなかった?」

「言ってくれるね。もう私の下だということも意に介していないのか?」

「俺はもうあんたの敵だ。下も上もない」


「そうか。なぜ行動を起こさなかったかだったか?簡単だ。私は常に確実に勝利を見込める勝負しか挑まん。今まではお前に勝負を挑んだとして勝利は確実かもしれんが犠牲が伴いすぎた。だが今ならばお前を完璧に叩き潰せる」


「何を根拠に?」

「それはその時までのお楽しみだな。お前、魔王城に来い。相手してやる。総力を尽くしてな。まあ来なかったとしたらこの世界が潰れていくだけだ」


やはり世界中を襲撃していたか…。手っ取り早いのはやつに従い魔王城での決戦を受けることということか。


「魔王城で待っているぞ。せいぜい抗ってみるが良い」

扉の中に魔王は帰っていき、間も無く扉ごと姿を消した。


「なんなんだ今の威圧感は…」

「副団長でもあれほどは初めて見るか?」

「当たり前だ。ロイだって見たことないだろ?あんなエネルギー量にあんな威圧感」

「ああ。間違いなくこの世の王たる存在。奴にはその存在感があった」


俺たちは今からあれに挑む。辿り着けるかどうかもわからないが、抗って見せる。間違いなく一番の正念場だな。


「どうする?二人とも。今すぐに魔王城へ向かうか、それともマルクスを支援しに行くか」


悩みながら二人は決断を下すと思っていた。だが二人の決意は想像以上に早く固まっていたらしい。


「「魔王城に行こう」」

「…そうか。最終決戦、勝ったら全て終わる。負けても全て終わる。覚悟を決めろ。死ぬなよ、二人とも。魔王に勝ったその先の世界が来るまで」

「もちろんだ」

「当然」


俺たちの戦いはクライマックスへと向かっていく。魔王を倒し幸せな世界を掴み取るという野望を果たすために。


転移魔法を再び展開し、座標をいつもの場所、魔王城に指定した。


「本当に魔王城に行っていいんだな?」

「そう言ってるだろ?大丈夫だ。負けることは考えていない」


ロイのその言葉は本当に心強いな…。一度頷き、転移魔法を完成させた。

「行くぞ。魔王城へ」


心なしかいつもより暗く見えていた陽光を背中に浴びながら俺たちは陽光のささない闇の場所、魔王城に向かった。


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