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裏探偵トウヤ  作者: KS
五大官
17/23

第17話 予兆

「ここらで一休みしよう」

ロイの提案で俺たちはバーレイル王国から遠く離れた森の中で腰を下ろした。木々の間からは月明かりがのぞいていた。


「どうしようか。ロイ、リューニー。現状、カンレは動ける様子はないし、運んでいる途中、エネルギーを確認したが著しく低下していた。もしものことがあればだが、カンレを置いていくのも手だと考えている」


「でも!カンレは俺と一緒に行くって、覚悟を決めてくれたんだ。そんな気持ちを無駄にしたくは…ない」


そうだよな…。カンレは並々ならぬ覚悟を持っているし、戦力にもなっていた。正直なところ、ここで別れたくはない。


だが合理的な判断を下すなら、やはり置いていくという選択肢も出てきてしまう。俺が逡巡していたその時だった。


「…!」

「どうした?トウヤ」

「悪い。司令だ」

「ああ。了解した。ここで待っているよ」

「すまない」

「待て、トウヤ!どういうこと…」


俺は転移魔法を使って、また魔王城へ向かった。


〜魔王城〜


「全員集まったな?」

「はい。これで全員です」


魔王に答えるのはいつもの通りシュルツ。そして当然だが、この場にいるのは三人のみ。


「今日の議題は二つ。五大官の座の整理と、新たな五大官だ。来い」

魔王の呼びかけに合わせ、広間の扉が開き、二体のアンデットが入ってきた。


「左がクレン、右がオルターだ。それぞれ四、五の座につき、ウルネーヴ、お前を五大官の二にする。いいな?」

「もちろんです」


五大官の大幅な入れ替え。これまでにもあったが、二人以上が入ってくるのが最後にあったのは300年ほど前か。


黄緑の髪と中性的な顔立ち。身長も小さめで威圧感はそれほど感じない。だが、持つエネルギー量が異次元だ。あれがクレンか。なんであんなやつが五大官じゃなかったんだ?


右のやつがオルターか。短髪の黒髪と睨むような視線。そして何より目立つのは機械仕掛けのような身体だ。魔法エネルギーを機械の動力にでも変換しているのだろう。


「今日はこれで終わりだ。各々、任務を直ちに遂行しろ。クレン、オルター。お前たちにはこの後任務を言う。残っておけ」


その言葉を聞き、俺は三人の元へ帰った。


〜森の中〜


「戻ったぞー」

「トウヤ!説明しろ!」

「説明しろって…」


いや、待てよ。俺はロイにテルペトの話をしていない、、。


「だから、今説明しただろ?トウヤの話は」

「リューニーは黙れ!俺はトウヤの口から本当のことが聞きたい」


リューニーが説明はしてくれたのだろうが、信じていない様子だ。


「分かった。ロイ、リューニーが話したことはおそらく全て本当だ。俺はアンデットで、五大官の一、テルペトだ」

「はぁ?じゃあなんで、戦ってるんだよ」

「魔王への復讐だ。故郷を潰した復讐」

「信じれるわけないだろ!アンデットの言葉が…」


ロイは激昂して、俺の胸ぐらを掴んだ。


「やめろ!ロイ」


すかさずリューニーが止めに入るが、お構いなしにロイは続ける。


「俺は、決めたんだよ!過去を背負って、アンデットを滅ぼす。騎士団も見返してやるって!なのに何だ?信じてやって旅に出たらアンデットでしたって。ふざけるなよ!」


「ロイ。信じてくれ。俺に言えることはそれだけだ。お前の勇者の加護も覚醒させてやった。この前だって、お前を助けてやった。計画のためにやっていることだと思うか?俺が。リューニーが」


「…でも。俺は信じれない。アンデットのことは」

「そうか」


俺は呪文を唱え、生成したバッジをロイに渡した。

「何だよ。これ」

「縛りの呪文だ。そのバッジを持つものは、そのバッジと繋がっている人物を自由に攻撃し、殺すことができる」


「本当かよ」

「試してみると良いさ」

「どうやって?」

「心の中で唱えるだけさ。例えば、右腕を刺せ、とか」


っ!、、躊躇いもなくやってきた。右腕に激痛が走り、血が吹き出す。


「大丈夫か?トウヤ!」

「ああ。治癒魔法で一瞬で治る。これで信じられたか?俺はお前を嵌めようなんてしていない。ただ、魔王を殺すため、協力して欲しいだけなんだ」

「…分かったよ。トウヤの覚悟も伝わった。だが、このバッジはずっと持たせてもらう。俺はトウヤを本気では信じない」

「ああ。仕方ないことだ。それでもついてきてくれるだけで良い」


そうだ。本当の信頼関係になくても良い。ただ、ビジネスパートナーのような関係であれば良いんだ…。


「今日は何の集まりだったんだ?」

「ああ。今日はな…」

リューニーの問いに答えようとしたその時だった。


「ここは?」

「カンレ!」


突然カンレが目を覚ました。

「ここはどこですの?」

「近くの森だ。安心しろ。カンレ」

「ありがとうリューニー」


カンレは一旦リューニーに任せておこう。だが、何故起きた?反応はほんの今までなかった。エネルギーも0に等しかったと言うのに。


「トウヤ。どう言う原理だ?エネルギーが0に等しかったのが、急速に回復して目を覚ました」

「俺にもわからん。だが、ロイもそう感じとっていたのならその事実で間違いないだろう。今はただ、カンレが起きたことを喜べばいいさ」


そう言って、夜が明けるまで話していた。朝が来ると、俺たちは森を抜け、近くにあった小さな国、キュレル王国に入り休息を取った。次なる戦いに向けて。

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