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裏探偵トウヤ  作者: KS
五大官
16/23

第16話 決着

「晴天の輝き」


!!

俺は咄嗟に結界を張ることができて、四人全員あの光線から守ることができた。しかし。


「相変わらず反応のいい奴だな、裏探偵」


エネルギーの反応を見るに、ほとんど魔法エネルギーは減っていない。いや、減っているが、エネルギーが多すぎて減っているように見えない。


「トウヤ、一発入れてくる。リューニーは俺の後についてきてくれ」


先陣を切ったのはロイだった。そこに、カンレの支援魔法が合わさる。


キュィィ


「また支援魔法か?前線に出て戦ってみろよ、ビビり魔法使いが」

「っ…」

「黙れ。作戦だ」


相手の挑発に乗っていてはリズムを崩される。やつの言葉は無視だ。それよりも。


「風遠撃」

「閃光一閃」


リューニーの風遠撃で集中を乱させたところにロイの一撃を入れる。そういう作戦だったが…


「よっと」


さすが五大官と言うべきか、戦い方が他のそれとはまるで違う。


ロイが本命の攻撃を入れてくると予知して、あえて風遠撃を喰らって片腕を落とした。防御を捨てた代わりにロイの回避に回る。シャラクの思惑通りロイの一撃は空を切った。


「隙だらけだぞ」

ダァン

「カハッ」


技の後隙に一撃入れられたか!ロイが一瞬ふらつく。だが、すぐ俺が回復魔法を入れたおかげで体制は立て直した。


「ふん。良い連携だな」


そこからは消耗戦だった。シャラクが魔法を撃ち、俺が結界で防ぐ。その隙にロイとリューニーが仕掛ける。何度か覚醒魔法を撃たれたが、結界のおかげで致命傷にはならなかった。


だが、消耗戦ともなれば当然有利なのはシャラク。ロイとリューニーは疲弊し、スピードが落ちていた。


「やはりお前らはその程度だな」 


シャラクはそう吐き捨て、何か技を準備しているように見えた。


「これで終わりと思うなよ!」

同じく察したロイが斬りかかるが、弾かれる。

「なに!?」


結界‼︎いや、あれは副産物。覚醒魔法のエネルギーが外部に漏れ出した結果としてできた結界。ということは…!


「離れろ!」

「晴天の斜光」


離れても無駄だった。やつの覚醒魔法で炎の結界を張られたかと始めは思った。だが、違う。これは物理的に燃えている。恐らく一瞬で円形に光線を放ちあたりを焼き払った。俺たち四人全員が囲まれて、行動が制限される。


「トウヤ、俺たち一人一人に結界を張って脱出できるんじゃないか?」

「リューニー。結界には種類がある。極端に小さかったり大きかったりすればクールタイムを要する。そんな時間はない」


やつの攻撃は当然だがこれで終わりではない。これは前置きに過ぎない。本命がこれから来る。


「晴天の輝き」


俺たちは本命の攻撃と察し、身構えた。だが、違った。光線は俺たちの周りの非常に広大な範囲に放たれた。森、川、そしてバーレイル王国の一部までも焼き払った。焼け野原の中でシャラクは再び準備し始めた。


「何のためにあんな光線を放ったんだ」

時間稼ぎのためにも、俺はシャラクに聞いた。


「お前らを徹底的に殺すためだ。自然のものの中にも魔法エネルギーは存在する。そしてそれらは俺の中の魔法エネルギーを乱す。当然人間もそうだ。違う物体の魔法エネルギーは一つ一つ厳密には違う。それらは互いに反応し合い、互いを乱す。俺はそれらを焼き払った。集中力を高めるために」


シャラクは内部にある魔法エネルギーを手のほうへとどんどん集中させていった。だが、長々と話してくれたおかげで時間はできた。


「トウヤ、どうする…もう逃げ場はないぞ」

「カンレ、魔法エネルギーを少し分けてくれ。拒否権はない」

「分かりました」

「何をするんだ!トウヤ」

「今は黙って見ておけ」


やつの使う魔法の属性は電気。極限まで強度を高めた電撃魔法に近い。ならば、俺のできる対策は一つだ。俺は心の中で作戦を何度も何度も試行し直し、確認した。そして俺たちの上に一つの結界を張った。


「晴天の収斂」


シャラクの強烈な光線が結界に降り注ぐ。前喰らった光線よりも範囲が小さく、強度は何倍にも上がっていた。それでも俺たちは。生き残った。


「っ!?ばかな!ただの結界で防げるわけがない!」

「だから、少し小細工させて貰った」


結界の覚醒魔法。属性結界。本来無属性な結界に超高濃度の属性を纏った魔法エネルギーを注ぎ込むことで完成する。


俺は地の属性の属性結界を張り、さらにシャラクの光線に地の属性の魔法エネルギーをぶつけまくった。


地の属性には慣れていないため、魔法に変えるほど器用なことは出来なかったが、何とか俺の持つ魔法エネルギーのほとんどとカンレの魔法エネルギーを注ぎ込んで防ぐことができた。


「トウヤ、防げたのは良いが、俺たちが出れなかったらあいつに攻撃できない!」

そのために魔法エネルギーを少し残しておいたんだよ。


「カンレ、リューニーに結界を張れ。できる限り強度の高い結界だ」

「了解です!」


俺は膝をつきながら、魔法エネルギーを注ぎ込みロイに結界を張った。


「トウヤ。俺たちで倒してこいということだな?」

「ああ、ロイ。俺は悔しいが力にはなれない」

「いや、十分だ。最高の活躍だった」


ロイはそう言い、颯爽と炎から出ていった。上から脱出も不可能か…。


「カンレ、少し経ったらお前にも結界を張る。あの二人に支援魔法をかけてきてくれ」

「分かりました。トウヤさん」


俺のところには二人とシャラクの戦闘の音だけが聞こえてきた。


「お前らだけじゃあ俺を倒せねぇ!せめてあの裏探偵がいないとなぁ!」

「偉そうな口を聞けるのもいつまでかなぁ!お前ももう、魔法エネルギーが尽きて苦しいだろう!」


恐らくリューニーが先陣をきってシャラクに向かっている。ロイは後ろで機会を窺っている、といったところか。


「よし、これで外に出られるぞ」

「ありがとうございます!」

頼んだぞ、カンレ、リューニー、ロイ。


キュィィ


無事に支援魔法はかけられたか。


スパァン


シャラクのどこかを切り落としたのだろう。シャラクが苦しむ声が聞こえてくる。そしてそれと同時に、ロイの声も聞こえてきた。


「これで終わりだ。疾風雷豪」

ズバァン


「終わりなもんか!……俺は…まだ!」

「晴天の輝き」

「させません!」

カンレの声!魔法の発動を阻止したか!

「晴天の君臨」

「はぁぁ!」


バァン


カンレの魔法か。恐らく音的に爆発系の魔法。それと同時にシャラクのエネルギーの気配がなくなった。…これは!


「終わった…のか?」

「ああ!終わったよトウヤ!やつからエネルギーは一つも感じない!倒したんだ!」

「やっと…倒したんだ…!」


バタッ


…?カンレが倒れたのか?無理もない。前線で戦う経験なんてほとんどなかったんだから。


「カンレ!しっかりしろ!」


こっちも助けて欲しいんだけどな。まあ良いか。


それからは、ロイがシャラクの攻撃をほとんど受けておらず結界が残っていたため、炎の中の俺を救出し、バーレイル王国はシャラクの魔法の影響で少し慌ただしくなっていたため、近くの森へと四人で向かい休息を取ることにした。


俺たちはシャラクを倒した喜びを噛み締め、いつもより速い足取りで無事な森を探しに歩いた。



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