第15話 遭遇
〜魔王城〜
「全員集まったか?五大官達」
「ええ、確かに集まりました」
そう答えたのは五大官のニ、シュルツだった。この場に揃うのは四体のアンデット。俺はランドールの一件の翌日に魔王からの呼び出しを喰らった。集まって早々魔王は議題を語り出した。面倒な話はしない主義なのだ。
「今日の議題は二つ。五大官の座の入れ替え、そして任務だ」
「誰の座が入れ替わるのですか」
「口を慎めシャラク。私が話している」
魔王は少し間を開けたのち、四人に睨みを聞かせてから言った。
「五大官のニの座にシャラク、三の座にシュルツがつく。異論はないな」
魔王城は数秒の静寂に包まれた。
「ふむ。次は任務だ。五大官の三、シュルツそして四、ウルネーヴ。お前らは大陸の西側の地形図を調べて書き上げろ。じきに西側に侵略を開始する。そしてシャラク。お前はこの前アルシュンが向かったウェストルの南に位置する国、バーレイル王国を落とせ。以上だ」
魔王がそう告げた後、五大官はすぐさま消えた。俺もすぐ三人のところへ戻った。
〜ランドール共和国〜
「お帰りなさい。トウヤさん」
カンレが帰ってきた俺を迎え入れてくれた。もう12時だ。どうやら、二人は寝静まり、カンレはその間に街の地図を見て現在の状況を確認していたようだ。何ともマメな性格だ。
「どうだ?街の様子は」
「もう私たちの力は必要ないほどには回復しています。明日に国を出ても何ら問題ないかと」
「そうか」
何とか1週間で瓦礫などは撤去し終わり、あとは壊れた箇所の修復のみ。それに関して俺たちは力にはなれないからな。
「なら、明日にでもこの国を出よう。新たな情報が入った」
「何ですか?」
「シャラクがバーレイル王国に来る」
「そうですか…。まあとにかく明日の朝に二人に知らせましょう」
あからさまに機嫌を落とした様子でカンレは言った。まあ無理もないだろう。
「リューニーは生きて平和な世界で生きれるでしょうか?」
カンレは突然俺に向かってそう聞いてきた。
「そうだな…あいつ次第、というところだな」
「少し、昔の話をして良いですか?」
「ん?ああ。もちろん」
俺は突然の言葉に少し戸惑いながらも平静を装い返答した。
「リューニーとは7年ほど前、私がまだ15の時に出会いました。私の家は貧乏で、三人家族でしたが私を養うお金もありませんでした。そこで両親は私を森へ捨てたんです」
「えっ…大丈夫だったのか?」
「大丈夫ではなかったです。3日ほど水も食料もなくただ彷徨っていました。そしてその日の夜、アンデットの群れに襲われ、もう死んでしまおうと覚悟した時に、リューニー達騎士団が助けてくれたんです。そこでリューニーは私に言ってくれました。どんなに危機に立たされても、死ぬことを許容するな。自分に非がある時以外は、諦めずに抗え。生き抜いた先に、自分を救う幸せが待っている。と。諦めて死んでしまおうとした私を見て言ってくれたんでしょう。それから私は騎士団に保護され、リューニーとも頻繁に話すようになりました。それから3年後くらいですかね。今の関係になったのは」
「大変な過去だったんだな」
「つまりです。トウヤさん。私はリューニーに、平和な世界でただ幸せを謳歌して欲しい。彼が言っていた、自分を救う幸せの中で生きていて欲しいんです。あんなに真っ当に生きて、戦い、争い続けている人が、犠牲になり死んでいくのは私は許容できない。リューニーを、平和な世界に連れて行ってあげてください」
カンレは最後の方、心からの叫びのように涙を流して俺に訴えた。
「わかった。だが、リューニーだけじゃない。カンレとリューニー。二人で平和な世界に生きろ」
「…はい」
涙を見せないよう、俺から目を離してカンレはベッドへ向かっていった。時計の針は、もう1時を指そうとしていた。
〜次の日の朝〜
俺たちは朝一番に街の人たちに挨拶をして周り、ランドール共和国を出発した。
「そのバーレイル王国には、何分くらいで着くんだ?」
「ロイ。そんな近いと思ってるのか?半日で行けたら御の字だ」
「地図が頭に入ってないな〜ロイは。戦闘IQだけか?」
「んなっ。戦闘IQが高ければ十分だろ!」
この二人は仲良くなるのが早いな。同じ騎士同士で分かり合えるのかもしれんが。
「そういえばトウヤには何で司令が下されないんだ?」
昨日の魔王城での話のことだろう。
「俺は五大官の一だから、魔王は俺を緊急事態の時しか動かさない。あいつにとっての最終兵器かなんかなんだろう」
「用心深いなぁ魔王ってやつは」
それから俺たちはほぼ1日かけてバーレイルへ辿り着き、夜には寝床を見つけることができた。
「疲れたー!トウヤ、夜ご飯の出前取ってきてくれー」
「はいはい」
リューニーは布団に寝転びながら俺に言ってきた。全く、布団に寝転がっている暇があるお前が取ってこいよとつくづく思う。不満を抱えながら外へ出た時に異変に気づいた。
「…これは…!」
「トウヤ!」
同じく異変に気がついたロイが勢い良く飛び出してきた。おそらく、リューニーより騎士の天恵が鋭いのだろう。リューニーは一切感知できていない。遅れて、カンレとリューニーが出てきた。そのタイミングで俺は二人に告げた。
「シャラクが来た」
エネルギーもそうだがこの気配。一度遭遇したから忘れない。俺たちは急いで国を出て、シャラクの気配を辿り草原に出た。
「どうしてまたお前らがいるんだ。まあ良い。この前の礼だ。見ない顔もいるが、全員殺してやるよ」
以前よりもエネルギーが増したか?威圧感で体が動きにくい。日は沈みかけて、どんどんと暗くなっていく。そんな中、俺たちの2度目の決戦は幕を開けた。




