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第31話 配信コラボⅣー① ささえちゃん20歳の誕生日記念配信 (みどり×ささやきささえ)

 

「おらぁ。コラボするぞ。おらぁ!」


「なんか口悪い!? そして唐突だな!? 別にいいけども」


 先日キス未遂事件以来、ささえは終始機嫌悪い。

 機嫌悪いからどう扱おうと悩んでいた最中、急にコラボの提案がやってきて困惑してしまう。

 もちろん断る理由など皆無で翠斗は二つ返事でOKした。


「題して、『ささえちゃん20歳の誕生日記念配信』!」


「えっ!? ささえさん誕生日なの!? それは生身が!? それともガワが!?」


「もちろん生身だよ。キャラの誕生日設定とか特に決めてなかったよ」


 VTuberはガワに誕生日を決めて記念配信する人もいるが、ささえはそうではなかったらしい。


「てなわけで明日空けておいてね。あと酒飲み放送とかやってみたいから翠斗さん適当にお酒買ってきて~」


「わ、わかった」


 翠斗は慌てて外出して、駅前まで走った。

 ささえの誕生日が明日であったことにまず驚いてしまった。

 聞いてしまったからにはプレゼントを用意したい。


「(20歳か。何か記念になるものをプレゼントしてあげたいな)」


 でもささえがどんなものを欲しがっているのか正直想像がつかない。

 翠斗がフィーリングで用意するしかないのだ。

 ちなみにお酒はアルコール度数が低いビールやチューハイにしておいた。







「貴方に癒しを届けたい。今日もささえの配信に癒されてね♪」


 ささえの誕生日当日。

 あっ、という間にコラボ当日を迎えることになった。


「そしてみんな~! ささえ20歳になったよ~! 祝って祝って~!」



 『ささえたん おめでとう~!』

 『誕生日おめでとうございます!』

 『俺らのささえたんも20歳になったのか』

 『おめおめ~!』

 『祝!!!』

 『今日誕生日だったんですね おめでとうございます』



 いつもよりコメントやスパチャが多い。

 初コメントの人も居た。ROM勢の皆様もわざわざ祝いの言葉を掛けてくれているようだ。

 ささえがリスナーに愛されている証拠だ。


「そして! 誕生日を記念して特別ゲストにも来てもらっています! みんな誰だと思う~!?」



 『みどりニキ~!』

 『みどりニキもいるのか 神回確定』

 『みどりニキ~ 早く声を聞かせてくれ~!』

 『みどりニキ大人気でワロタwww』

 『神回しか生まない男』

 『みどりニキ!』



「正解だけども! なんでみんな分かったの!?」



 『みどりニキ以外とコラボしたことねーだろwww』

 『逆にみどりニキじゃなかったら帰るわ』

 『リスナーの期待に答えるならみどりニキしかいない』

 『ささえにはみどりニキ以外の男とコラボして欲しくないまである』



「なんでみどりさんこんなに人気なの!? あとささえを馬鹿にすんな~! いつか別のコラボも相手見つけるから!!」


「えっ? それはちょっと悲しいんだけど。ささえさん、俺以外の人とコラボするのか……できれば男はやめて欲しいなぁ」


「急に出てくんな!? 悲しげな顔しないの! でもその嫉妬嬉しい。もっと頂戴そういうの」



 『かわいい』

 『みどりニキにキュンとした』

 『さっそくてぇてぇを見せてくれる男』

 『てぇてぇ ノ1000円』(\1,000)

 『ささえもちょっと嬉しそうで草』

 『あ“あ”~! カップル配信最高なんじゃあ“あ”あ“』

 『てえてえ ノ5000円』(\5,000)




「カップルとかじゃないから! …………ない……よねぇ?」


「…………」


「黙るな!?」



 『黙ったwww』

 『なんだろう 青春の味がする』

 『心がきゅんきゅんするんじゃぁ』

 『レインとのコラボの時も思ったけど、なんでこいつら配信でラブコメしてるん?』



「あー、えっと、どうも皆様、アバターを持っていないVTuberのみどりと申します。初めましての方は初めまして。急に男が登場してビックリされた方も多いかもしれませんね。ささえさんの友人のみどりと申します。これからもちょこちょこ出るかもしれませんので、ささえさん共々よろしくお願い致します」



 『知ってる』

 『よろしく~』

 『知ってる』



「みんな知ってるよ! 今さら自己紹介の必要あった!?」



『あっ、みどりニキの「友人」の方だ』

『恋人未満宣言されてどんなきもち?』



「まだ私の魅力に堕ちてないやつがいたかという気持ちだよ! 硬派野郎め。皆、みどりさん攻略のヒント見つけたらどんどんコメントしてね!」



 『こいつ本気で悔しそうだw』

 『攻略対象:みどりニキ。これは手ごわそうだ』

 『ささえを落とすギャルゲーじゃなくて、みどりニキを攻略する乙女ゲーだったか』



 ささメン達も二人の駆け引きをニマニマしながら楽しんでいた。

 ささメンの特徴はささやきささえをアイドルとして見ていないことだ。

 普通ならば追いかけていたVTuberが突然異性とコラボなんて始めたらそれだけで離れてしまうことだってあるだろう。

 しかし、ささメンは在ろうことか異性のみどりとのコラボに喜ぶ面々ばかりだった。


「そだそだ。20歳ということは祝飲酒解禁! ということでお酒飲み飲み配信するからね。みんなも手元にお酒持ってきて。あっ、20歳未満の人はジュースだよ」



 『はーい』

 『もう飲んでる』

 『みどりニキも飲むん?』

 『みどりニキはオロC飲むだろ』



「自分も今日はお酒解禁で行きますんで。ウイスキー飲もうかな」


「あっ、ささえをそれ飲んでみたい~」


「駄目駄目。素人にこれは早いから。ささえさんは俺が買ってきたアルコール度数が低いチューハイにしなさい」


「おっとぉ? さてはみどりさん、ささえを舐めてるな~? ささえ、お酒強いタイプだよ?」



 『出たよww 根拠のないお酒強いアピールw』

 『初めて酒を飲むヤツ特有の謎の自信な』

 『それで本当に酒に強いやつってほんの1~2割だもんなぁ』



「みんなまでささえを舐めやがって~。いいもんいいもん。じゃあみどりさん勝負ね。先に酔いつぶれた方は何をされても文句なしってことで」


「潰れるまで飲む気はなかったんだけどな」


「勝負なの! いいね!?」


「う、うい……」



 『なにをされてももんくなし』

 『エロ展開くるー?』

 『負けたら襲われる?』

 『みどりニキは誠実だから酒におぼれて変なことはしないと思われ』

 『だな どちらかというとささえが勝った時の方が間違い起こりそう』



「んふふふふ。さすがささメンの皆だね。ささえのことをよくわかっているなぁ~」


「…………」


 絶対に先に酔いつぶれないようにしようと心に誓う翠斗。

 だけどそれが無用な心配であることがほんの数秒後に分かることになる。


「それじゃ、ささえの20歳を祝して! かんぱーい!」


 カチンとグラスを合わせ、ささえと翠斗は各々が持ったグラスを一気に傾けた

 初見で一気飲みとは本当に強いのかなと感心する。


「どうりゃ~。しゃさえ。ぜ~んじぇん へいきなのらよ~」


「……んん?」


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