後日談
「お前さぁ、ファントムと付き合い長いくせに全然進展しないよな。許可出すから襲っちまえよ」
「……嫌だ、こっちからは絶対言わねぇ」
「なんでさ」
「……昔から、ずっと恋人みたいな顔して傍に居るのに、言葉にしてくれねぇの、むかつく」
「でも先に進みたいんだろ?」
「ああ、でも、嫌だ」
「めんどくっせー奴」
よく一緒に居る、二人きりで遊びにも行く。
ずっと昔から、それこそ生まれた時から恋人の距離で居るのに、それ以上には迫ってこない。
多分、『このままでいい』と思っている。
彼女が考えていることはたいていわかるようになってきたから……
「……そんなにそわそわしてもドラゴンのプラモは買ってあげません」
「なんでぇ!? メタリックでかっこいいのに!!」
「……君は昔からかっこいいものに目がない、いつもいつも目移りしている」
「痛いです痛いですおてて潰れますごめんなさい」
「……俺は君の彼氏だぞ。彼氏の横で他の奴らを見るんじゃねぇよ。……一人の時も嫌だがな」
「そのつもりはそのつもりなんだけどさ〜、今はお返事待ちの時間だし、猶予が残されているうちはエンジョイしたいっていうか」
「……返事?」
「?」
「なんの話だ?」
「え? 昔私が『一緒に居たい』って言ったらソルが『大きくなったらな』みたいなこと言ったじゃん。ちゃんと覚えてるよ? だから、返事をもらうまではあくまで傍に居るだけ! それ以上は進まないようにしてるんだ」
あんな、ずっと昔の、冗談染みた会話を?
ずっと昔から、俺の返事を……?
「……悪かった」
「?」
「悪かった、ずっと待たせて、ありがとう、ずっと待っててくれて……」
「……というわけで! 今日からソルは私の教育係且つ恋人になりました!」
「やっと進んだか、もどかしすぎて蕁麻疹できかけたぜ。でも良いのか? ソルはお前が好きそうなメタリックだとかド派手なドラゴンってタイプじゃないぞ」
「大丈夫大丈夫! ソルは金閣寺じゃなくて銀閣寺だから! それにねー、この前の夜はすごく可愛k(殴)」
「余計なこと言うな」
「ソルさん痛いデス……」
「平常運転でなにより」