別れと決意
秋葉涼子は、暗い部屋に一人座っていた。彼女の前には、透明なホログラフィック・インターフェースが浮かんでおり、未来的な技術の結晶であるそれを見つめていた。指先を軽く動かし、特定のプロトコルを呼び出すと、表示された名前に「ガンマ」とあった。躊躇なく接続を開始すると、ガンマの姿が映し出され、いつもの冷静さを保った表情で涼子を見ていた。
「涼子、どうした?」ガンマが静かに問いかける。
涼子は一瞬言葉を選び、深く息を吸って落ち着いた声で答えた。「今度の戦いについて重要な情報がある。でも、広めるつもりはないわ。あなたにだけ伝えたい。」
ガンマは彼女の言葉の重みを感じ取り、真剣な表情で頷いた。「話を聞こう。」
涼子は簡潔に伝える。「敵の宇宙船はNEURONというシステムによって管理されている。これは単なるAIじゃなくて、船内全体を制御する高度な存在。私たちにとっての唯一のアドバンテージは、神々の力よ。」
ガンマは考え込んでから答えた。「分かった。我々フリーメイゾンは必要な時に必要な情報だけを共有する。だが、慎重に行動する必要があるな。」
涼子は頷き、少し安堵した表情を見せた。「ありがとう、ガンマ。この戦いを無事に乗り越えるために、信頼して進もう。」
「もちろんだ。君も気をつけてくれ。」ガンマは静かに答え、接続を終了した。
涼子はコンソールを閉じ、静かに立ち上がった。「行くところがある。」とつぶやきながら、彼女は外に足を踏み出した。
彼女が向かったのは、かつての仲間たちが集まる小さなバーだった。苦い思い出が詰まった場所だが、今回の戦いを前に、彼女は仲間たちに別れを告げるために戻ってきたのだ。バーの扉を開けると、懐かしい顔が並んでいた。
「涼子、久しぶりだな。」カウンターに座っていた男が声をかける。
「久しぶりね。」涼子は静かに答えた。彼女はゆっくりとカウンターに近づき、ノンアルコールのドリンクを注文した。
「これが最後になるかもしれない。」涼子は淡々と告げた。
男たちは驚いたが、すぐに真剣な表情に変わった。「無事に帰ってこいよ、涼子。」
涼子は微笑んだ。「ありがとう。だけど、もし戻れなくても悔いはないわ。あなたたちに会えて、私自身を取り戻すことができてよかった。」
涼子は最後の一口を飲み干し、静かにバーを後にした。外に出ると、冷たい風が頬を撫でた。涼子は夜空を見上げ、その先に待つ戦いを思い浮かべた。
同じ頃、他の仲間たちもそれぞれの場所で、大切な人たちと再会していた。
小泉悟志は自宅のリビングで妻の小泉朋美と向き合っていた。悟志は「今回の戦いはこれまで以上に厳しいものになる。何があっても君を守る」と決意を込めて言った。朋美は静かに夫の手を握り返し、ただ頷いた。
松田真人は、病院の一室で一人の患者の手を握りながら、その手の温かさを感じていた。彼は「君を救うために、私は戦う」と心に誓い、その決意を深めていた。
森野美砂と森野宙は研究室にいた。DNAサンプルを慎重に扱いながら、美砂は「私たちの研究が、未来を変える鍵になるかもしれない」と言った。宙は夜空を見上げ、「この空の向こうに、本当の宇宙がある。僕たちはその未来を守るために戦う」と強い決意を抱いていた。
彼らはそれぞれの場所で再会を果たし、最後の別れを胸に秘めていた。戦いへの決意を固めながら、涼子もまた一歩を踏み出していた。
「私は、もう逃げない。」彼女は自分に言い聞かせ、確かな足取りで歩き出した。




