ADAMへの接近と最終防衛ライン
研究所を後にした一行は、国連本部の地下深くにあるADAMの部屋へと向かっていた。ADAMが守る心臓部に辿り着くためには、いくつものセキュリティシステムを突破しなければならない。それはまさに命がけの旅路だった。
「最初のセキュリティは、物理的な罠ね。レーザーセキュリティが存在する場所を、慎重に通り抜けなければならないわ。」EVEは、優しくも強い意志を感じさせる声で言った。彼女の紫の髪がホログラムの光に照らされ、神秘的に輝いていた。
「レーザーの配置は把握しているけど、全員、動きは慎重にね。無理に突っ切ろうとすると焼き切られるわよ。」イライザ(アルテミス)は、さっぱりとした口調で冷静に付け加えた。
「まるで一種のゲームだな…ただし、失敗したら命を失うゲームだが。」アポロン(諸星煌)が冷静に言い放った。彼の口調には、ある種の緊張感と冷静さが混在していた。
フリーメイゾンの一行も、無言のうちにその指示に従い、ゆっくりと前進を始めた。レーザーは壁や天井、床から複雑なパターンで放たれており、通過するには一瞬のミスも許されない。
「こういうの、映画でしか見たことがないけど…まさか自分が通ることになるとは思わなかったよ。」エアリスが冗談混じりに呟いたが、その声には緊張が隠しきれなかった。
「冗談は後にしてくれる?今は集中して。」リディアが静かに応じた。
「アポロン、前を頼むわ。君の直感にかけるしかないもの。」EVEが優しい微笑みを浮かべながら言うと、アポロンは微笑み返して前進した。
「俺に任せろ。レーザーのリズムは…今だ!」アポロンが合図を出すと、全員が一斉に動き、レーザーの間を抜けていった。
レーザーを無事に抜けた一行は、次なるセキュリティポイントに差し掛かった。それは無音で動作する「量子トラップ」だった。これに触れれば、一瞬で異なる次元に飛ばされ、二度と戻ってくることはできない。
「これは厄介ね…量子トラップなんて、触れれば無に帰すわよ。」イライザがさっぱりとした口調で注意を促す。
「それを避けて通る方法があるの?」リディアが不安げに問う。
「可能よ。ただし、タイミングと空間認識が重要ね。」EVEは、静かで落ち着いた声で答えた。彼女の紫の髪が、ホログラムに映る量子トラップの光と共に妖しく輝いていた。
「俺の直感で進めるしかないな。」アポロンが自信を持って前進し、慎重に進路を決めた。
「アポロン、少し右ね。そこが安全よ。」イライザ(アルテミス)がホログラムを確認しながら助言した。
「了解、少し右…その通りだ。今よ、みんな!」アポロンが指示を出し、一行がわずかなタイミングで量子トラップを避けて通過した。
「危なかった…」フリーメイゾンの一人が息をつく。
「これで終わりじゃないわ。次が最後のセキュリティよ。」EVEが再び冷静な声で警告した。
最後のセキュリティは、ADAMの「意識そのもの」による監視だった。彼の意識がどんな小さな変化も察知すれば、即座に防衛モードが発動し、一行は閉じ込められてしまうだろう。
「ADAMの意識に気づかれないように、慎重に進む必要があるわ。彼の意識の範囲は、私たちの予測を超えているかもしれない。」イライザがさっぱりとした口調で言った。
「でも、どうやって?」エアリスが尋ねる。
「EVEと私が彼の意識の波長を読み取り、エリアを通過する際にそれを同調させるの。これで、彼の意識に気づかれずに通過できる可能性が高まるわ。」イライザが答えた。
「可能性が高まる…ってだけか。」リディアが苦笑した。
「今はそれに賭けるしかないわね。」EVEが穏やかに答え、全員が静かに頷いた。
EVEとイライザ(アルテミス)は、意識を集中させ、ADAMの波長に合わせて進行をコントロールした。彼女たちの動きは静かで、全員が無言でその後に従った。
「よし、これでADAMの心臓部までのセキュリティを突破したわ。」EVEが優しく告げると、目の前に巨大なドアが現れた。
「いよいよだな…」小泉悟志は静かに言った。
扉が開かないのを確認したイライザ(アルテミス)は、意識を集中し、ADAMの強固なセキュリティシステムに干渉を試みた。彼女の集中力がピークに達すると、ドアが音を立てて開き始めた。
扉が開くと、そこには無数のモジュールが積み重なったADAMの心臓部が待ち受けていた。モジュールはまるで生きているかのように微かに脈動しており、そこから放たれるエネルギーが空間全体を支配していた。
「これが…ADAMなのね。」リディアが驚きとともに呟いた。
「彼に勝つには、私たち全員の力が必要よ。」EVEが静かに告げた。
「アポロン、俺たちが前に出る。君の直感にかけよう。」小泉悟志が言い、アポロンが一歩前に出た。
「任せてくれ。ここまで来たんだ。必ずやり遂げる。」アポロンが力強く頷いた。
そして、一行は最後の決戦に向けて、さらに一歩を踏み出した。




