表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

 今日も今日とて平和だ。綺麗な青空、輝く太陽、そして元気な俺。三拍子そろったいい朝だ。今日も一日いい日になりそうだ。


「気持ちいい朝だ。昨日3時に寝たとは思えない目覚めの良さだな。もしかすると俺は、ショートスリーパーってことなのかもな」


 そんなどうでもいいことを考えてしまえるくらいに頭が冴えている。これは冴えているといっていいものかちょっと悩むが深いことを気にしたとこで意味なんてない。


「今日も元気に学校行きますか。なんてたって今日はテストだからな。いつもに増して勉強に励んだ俺の真の力を学校中の奴らに知らしめる時が来た!!」


 日頃から熱心に勉学に取り組むタイプではない俺が今回のテストばかりはいつになく張り切っているのだ。なんせ今回のテストで30番以内に入れば親から、ずっとほしかった最新ゲーム機を買ってもらえることになっているのだ。この日のために俺は嫌いな勉強を一日30分毎日続けてきた。いつもは授業中は寝て、課題は出さないので、必然的にテストの結果も芳しくなかった。だが、それは本来の俺ではなかったのだ。今の俺こそ真の力を発揮したまごうことなき本気の俺だ。


「腹減ったし飯食おっと。今日の朝飯は何かなぁ」


 とりあえず朝飯を食べて、学校に行くか。ちょっと時間あるし、勉強していくか……いや、ここで無駄にあがくのは美しくないな。やめておこう。貯めてた漫画読も。






 母さんお手製のスクランブルエッグと味噌汁を食べた俺は時間ギリギリまで漫画を読み、学校へと向かった。


「おお、耕哉。今回のテスト張り切ってたけど調子はどうだ? どうせ、また赤点だらけだろうけどな」


「舐めるなよ、ロッキー。いつもの俺と思ってたら、テストの点で負けてなくはめになるぜ。覚悟しとけよ」


「それはこえぇな。俺も平均超えるように頑張るさ」


 こいつは俺の悪友のロッキーなんでこのあだ名かって言うと、肌の色がちょっと黒いからだ。ちなみに命名したのは俺ではない。今となれば誰が初めに呼び出したのかすらわからない。謎は深まるばかりだ。


「こちとらゲームがかかってるんだ。久々に何かに本気を出した気がするぜ。見てろよロッキー」


「そりゃ頑張らないとな。いつまでも一人だけもってないんじゃつまらないし、俺も応援しとくわ。といっても今更どうこうなるものでもないか」


「俺は今日のために毎日家で自主勉してきたんだぞ。仕込みはもう終わってんだよ。あとはテストを平常心で受けるだけだ」


 ここで焦ってしまっては今までの努力が水の泡だ。こういう時こそ、いつもの気持ちで挑むのが大事だってどこかで聞いたことがあるような気がする。ここで潜在能力を解放しようなどと考えるのは愚の骨頂だ。


「それで、目標は赤点回避か? それとも赤点3つまでとかか?」


「俺の親がそんな甘いと思うか? 学年で30位以内だ。まあ、俺が本気を出せば行けなくはないと思ったんじゃないか? やっぱり親には俺の力は見抜かれていたようだな」


「正気かよ。そりゃ買って上げる気ないだろ? 耕哉、今までの最高順位って何位だ?」


「最高順位? えーとな……243位か? 順位とか気にしたことなかったから覚えてねぇや」


 今までの順位が何の関係があるんだろうか? これまでの俺はまったく勉強というものをしてこなかったあほに過ぎない。一か月前の俺と今の俺では幼稚園児と大統領くらいの差が存在しているのだ。


「最高が、250人中の243位か。耕哉の親も御大層な目標をたてたこったな。これが本当に期待してのことだったら悪いが気が触れたとしか思えんな」


 なんて失礼な奴なんだ。まるで俺に希望がないみたいな言い方だ。眼にものを見せてやろうじゃないか。


「まあ、テスト前にいろいろ言ったところで意味ないだろ。結果を見てから言ってくれ。俺の本気が伝わるはずだ」


「それもそうか。せいぜい頑張ってくれ」


 ちょうど予鈴もなるくらいの時間になっていたので話を切り上げた。

 これから俺は精神統一をいなければならないのだ。最初は国語だな。今のうちに太宰治を俺にトレースしておこう。それで国語は乗り切れる。その次は数学だから田中先生、この調子でトレースできればオール100点だ。






「どうだったか? 全教科80点くらいは取れそうか?」


「まあ、90点は固いだろうな。思ったよりもテストが簡単で拍子抜けだ」


「すごい自信だな。こりゃテストが帰ってくるのが楽しみだ。期待して待っとくとするよ」


 やっべぇ……全然わからなかった……なんでだよ。俺は毎日勉強してきたんだぞ。こんなの理不尽だ。きっとテストの範囲が間違っていたに違いない。明日には再テストの案内が学校側から出るだろう。まだ焦る時じゃないぞ俺。


 今日はおとなしく帰ろう。ロッキーに何か言われてぼろが出ても困る。俺は全部90点取ったことになってるんだからな。ほんとにまずい、これで全教科赤点なんてことになったらいい笑い者だ。いや、いつものことか。気にしてもしょうがないか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ