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3.作戦会議(一人)

 プランを練るためには、まずは大会のルールの概要を理解することから始めよう。


 このゲーム『Fantasy Modern Squad』通称FMSは最大百人で最大四人チームを組んでのバトルロイヤルだ。

 各プレイヤーはマップ内に落ちている武器・アイテムを用い、戦い、一位を目指す。


 世界大会本戦に出場できる日本のチームは二チーム、つまり八人がロサンゼルスへの切符を手に入れる事はできる。

 三ヶ月後に世界大会が開催されるが、まずは二ヶ月後の日本予選をどう勝ち上がるかを考えないといけない。


 俺のFMSにおける実力はかなりの腕前だと自負している。

 強豪クランのプレイヤーに引きをとらない遠距離狙撃のセンスが俺にはある。

 接近戦だってそこいらのプレイヤーには負けたりしない。


 だがクランには一度も参加した経験はない、まずはクランやチームに加入するところから始めなければ。

 色々と考えた結果、俺は二つのプランを思いついた。

 が、どちらもあまりいいアイデアとはいえない。


 とりあえずはやってみるかとまずは一つ目のプランを実行するために俺は師匠に連絡を入れた。

 このFMSを始めて間もない頃、右も左も分からない俺に声をかけてくれたのが偶然、友達になってくれたのが師匠だった。


「君、もしかしてこのゲーム初めて? よかったら僕が教えてあげようか?」


 師匠はそう言ってこのゲームの基礎となる部分を教えてくれた優しい人だ。


 師匠とフレンドになり、かなりの時間が経った頃、師匠がプロゲーミングチームに所属している事、しかもプロゲームーの中でもかなりの実力者だと知った。


 それ以来、俺は彼女を師匠と呼ぶようになった。

 何故、師匠に連絡するのかというと、それが一番、世界大会出場できる可能性が高いと判断したからだ。


 SNSアプリを用いて師匠にメッセージを送ってみる。


『師匠、今お時間ありますか?』


 暫く待つつもりでいたが、すぐに返事がきた。


『どうしたんだい?』


『実は聞きたいことがありまして』


『僕が答えられることなら、何でも聞きたまえー』


 流石は師匠、寛大な心の持ち主だ。


『師匠のプロゲーミングチームって最近、人員募集してましたよね? それって、まだ募集中だったりします?』


 師匠のゲーミングチーム通称『クラウンキャット』は日本で三本の指に入るほどの有名クラン。実力もさることながら、ファンへのサービスも徹底している。その為、日本で一番、知名度と人気があるクランだ。


『おー、遂にあのイーグルアイ君がクランに興味を持ったのかい?』


 イーグルアイは俺のゲームをしているときのアバターの名前だ。下の名前の隼人と鷹の様に獲物を一瞬で仕留めてやるっていう思いからこの名前をつけた。


『まあ、そんなとこです』


『それはいいことだね。君の実力なら申し分ないから、君を推薦してあげたいんだけど、ちょうど昨日、入隊者が決まってしまってね。君の期待には答えられなそうだ。ごめんね』


 ダメだったか。まあ望みが薄いってことは分かっていたし、しょうがない。


『いえ、こちらこそいきなり不躾に申し訳なかったです』


『僕は君と一緒に世界大会戦いたかったなー。君ほど後ろを任せられる人材はそういないからね。イーグルアイくんがいいクランに巡り会える事を祈っているよ』


『……俺、世界大会の話なんて一切してないんですけど……』


『え、でも世界大会でお金と名声が欲しくて、僕に連絡してきたんじゃないのかい?』


 ……流石は師匠、弟子の事なら分かるんですね。


『間違ってはないです……』


『まあ、君の実力なら引く手は数多だと思うから、いいクランに見つけられるよ』


『はい、頑張って探してみます』


『じゃあ、また遊ぼうね〜』


『では、また今度』


 さて、第一のプラン『最強クランに媚び入り入隊大作戦』は失敗に終わった。

 第一が失敗したということで、第二のプラン『自力で強豪クラン探し出せ作戦』に移るわけだが……、これができたら俺はとっくにクランに入っているし、大学でもボッチではないだろう。


今までの俺の人生、初対面の人に取る対応は基本、受け身だった。その為、高校生までは数える程ではあるが友人はいたが、大学という主体的に動けなければいけない環境に置かれた結果、俺に友達は一人としてできなかった……。

 俺は欲しくもないボッチの称号を手に入れてしまったのだ。


 師匠のクランならまだ知り合いがいるという事でなんとかなると思ったが、誰も知らないグループに入るのはハードルが高い。

まずはこの人見知りを克服するところから始めないといけないな……。


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