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声変わりと喪服
それから数カ月後に、僕の声はかすれ始めた。そしてすぐに、大人の声になった。ボーカルを探し始めたが、ハード・ロックが歌えるようなボーカルは珍しい。結局見つからないままに終わった。
中学一年生になる頃には、ケイ君たちは卒業して仕事を始めていた。
「俺たちと遊んでいても悪い道に進むだけだ」
「お前が今から人生を棒に振る必要はない」
「こんな風になってもつまらない」
三人からの言葉だ。僕たちはバラバラになった。
僕は時々おじさんの家に行き、ソファに座って音楽を聴いて帰った。他愛のない話をして、あの笑顔を見る。家ではレスポールの弦を「ピーン」とはじく。そんな日々だ。
おじさんの家に行く頻度も減っていった。学校に行くからだ。僕は自分の席に座り、頭の中で音楽を流す。それだけの日々が続いた。夢から覚めたようだ。
ある日、母親が喪服を着ていた。うっすらと涙を浮かべて。そしてそんな母親に、由季ちゃんがすがりついて泣いている。
ありがとう
おじさん




