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6 聖獣ワコンと世界樹の部屋

本日更新1話目です

 念話だ。

 一部の種族や同じ人族でも特殊な力を持った者が使うそれを俺は冒険者時代になんどか経験している。

 音として響かず、意識すれば周りに拡散せず対象にのみ伝わる念話は使い方によっては強力な武器となる。

 なので冒険者だけでなくいろいろな職業で念話が使える者は重宝されていた。


「今の声はあなたが?」


 俺は首をもたげたドラゴンらしき顔を見上げて問いかけた。

 答えはすぐに念波で伝わってくる。


『うむ』

「あなたはエンシェントドラゴンなのですか?」


 世界中に個体数は少ないが存在する最強の魔物ドラゴン。

 寿命は永遠とも言われ、その中でも古代から生き続けて人語を解するドラゴンはエンシェントドラゴンと呼ばれていた。


『我はワコン。世界樹を守る聖獣としてこの地に生まれた存在よ』

「世界樹……まさかあなたの後ろにあるのが?」

『世界樹の若木よ』


 俺は思わず顎を上げてワコンの顔からさらに先を見上げる。

 そこにそびえ立つ巨木は、どう見ても『若木』とは思えないほど巨大だ。


 だが世界樹と彼は言った。

 世界樹とはこの世界を支える神に近い存在だと聞いたことがある。

 とすればこの大きさでも若木というのは不思議では無いとも思えた。


 ワコン曰く、かつて魔素の濃いこの地に世界樹の種を誰かが植えたのだという。

 それは神なのか別の存在なのかはわからない。

 なぜなら彼が生まれたのは世界樹の種が芽吹いた後だったからだ。

 そのときにはすでにこの場所にはワコンと世界樹の芽しか無かったらしい。


『しかしこの地に人間が足を踏み入れるのは何百年ぶりか』

「何百年もの間、だれも来なかったのですか?」

『うむ。我が生まれて意識を得てから出会った人間はお主で二人目だ』

「えっ」


 ワコンのその言葉に僕は斜め後ろに立つカエデと呼ばれた少女を指さし尋ねる。


「彼女がその一人目ということですか? でも何百年って……」

「人を指でさすとは失礼なやつですね」


 カエデがに睨んでくる。


『そやつは人間では無い。最初にこの地を訪れた者が作った自動人形だ』

「自動……人形? ははっ、こんな自動人形が存在するはず無いじゃ無いですか」


 40年以上生きてきて、今まで何体もの自動人形は目にしたことがある。

 だがカエデのように人間そっくりな自動人形など見たことは無い。

 大体は単純な作業を行うことしか出来ず、しかもその動きは人としてみるとぎこちない。

 そんなものばかりだった。


「聖獣様。カエデたちは自動人形でなく魔導人形ですよ」

『相変わらず細かいのう』


 しかし目の前でワコンと会話をしているカエデは誰がどう見ても普通の人間としか思えない。

 いったい俺の前にここへやってきた人間とは一体どんな人だったのだろうか。

 そんなことを考えている俺にワコンから声が掛かる。


『して、お主はどうやってここまでやってきたのだ?』

「ですです。あんな所にこんなひ弱そうな人間が一人で来れるはず無いのです」


 二人に問い詰められ、慌てて俺は荷物持ちの仕事の途中にタウロスと出会ったところから全てを話すことにした。




本日も複数話こうしんです

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