12 違う才能
「体以外?」
『そうだ、体意外だ』
「どういう……ことですか?」
俯いていた顔を上げると、すぐ近くにアカツキが立って俺を見下ろしていることに気がつく。
「私が説明します」
アカツキはそう言いながら腰から剣を抜くと、その刀身を見つめながら話し出した。
それは彼女が伝承しようとしている斬神流を生み出した男の話だった。
その男の名は今に伝わってはいない。
彼は今の俺よりももっと貧弱な体をしていて背丈も低く、どこからどう見ても強くは見えない小男だったという。
だが彼はその見かけに反して剣の天才だった。
いや、剣の才能しか無かったと言っても良い。
剣しか頼る物が無かった彼はその技を極めるべく様々な剣術を学んだという。
しかし元々貧弱な体だった彼にとってあまたある剣術は負担が大きすぎた。
結果、彼は自らの体に合う剣術を生み出すことにした。
それが斬神流である。
「つまり今の俺くらいの体でも斬神流なら覚えられるってことか?」
「はい」
「だったら最初からそれを教えてくれれば良かったじゃ無いか」
俺は地獄のような走り込みと筋トレを思い出しながら叫ぶ。
だがそれに対するアカツキの返事はあっさりしたもので。
「貴方は彼と違い圧倒的に才能が足りない。それを補うためにまず体を鍛える必要があると判断したのです」
「才能……」
かつて神童と呼ばれていた俺は才能に恵まれて、その才能にあぐらをかいて生きていた。
そんな俺が才能は無いと言い切られるとは予想外だった。
「ですが考えを改めました。貴方は彼と違う才能があったのを思いだしたので」
「違う才能って……まさか」
「そうです。貴方は何度死んでもよみがえることが出来る。つまり死ぬほどの極限の修行が可能ということです」
そう告げたアカツキの顔は今まで見てきた彼女とは別人のように輝いて見え。
「お、お手柔らかに……お願いします」
その日、俺はさらなる地獄へ足を踏み入れることになった。




