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第3話 シャロン、最期のエトワール家 ②
「この馬鹿娘!!」
エトワール家の屋敷のエントランスにて、国外追放行きの馬車の前で、シャロンの父親にしてエルダーク王国の大臣セルドアは、シャロンの頬をぶった。
頬の痛みを我慢しながら、シャロンは、父セルドアの顔を見た。
「お前の肩に何人の従者や兵士たちの生活がかかっていると思うんだ!!お前の軽はずみな行動で、その者たちの生活が失われようとしたんだぞ!!」
父セルドアは、娘であるシャロンを糾弾した。
シャロンは瞳に涙を浮かべながら、自身の愚かさを認めた。
「ごめんなさい。お父様」
父セルドアは、鼻息を荒くしながら、まだ、言い足りない様子だった。
「さっさと国外にでもどこにでも行ってしまえ!!この馬鹿娘が!!」
父セルドアは、衛兵二人にシャロンの両腕を掴ませ、問答無用でシャロンを馬車の客室にぶち込んだ。
客室の扉が勢いよく閉まる。
そして、まもなく発進する馬車。
シャロンは、一人、馬車に揺られながら、最期のエトワール家をあとにした。