第九十七話 こっそり
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「……いい?ゆっくり、私の後から音を鳴らさないように追いてきて……」
イレティナの囁き声に従い、私はゆっくりと歩を進めていった。
木の上で鳥の鳴き声が聞こえる中、見張りをしている男を回り込むように忍足で行く。
草むらを音を立てないように、ゆっくりと……。
「あっ」
その時、いきなりイレティナの歩みが止まる。
何故止まってしまったのかは分からない。
だが、私にはこれが不意打ちだった。
後ろにピタリと張り付いていた私は止まることもできずその背中に強くぶつかる。
「あぁっ!」
そのままバランスを崩してしまい、草むらに尻餅をついてしまう。
さらに不運なことか、尻餅をついた場所には細い木の枝があり、私はそれを踏み折ってしまった。
「……!」
「誰だ!」
それを聞き取ったのか、木の葉越しに男の罵声が聞こえる。
威嚇をするような大きな声に、私は少し竦んでしまった。
デ……『機械仕掛けの神』を使わないと……あ、あれ?
私は心の中に焦燥感を覚えながら懐を探るが、あの四角い感触がどこにもない。
ど、どこに……!?どこに行って……!
その時、ふと後ろを向くとそこにはあの機械があった。
さっき、尻餅をついたときに一緒に放られてしまったのだ。
あろうことか、私は唯一の戦闘力を放り出してしまった。
「ぐっ……くっ……!」
必死にその場から手を伸ばすが、届かない。
動こうにも動けば一瞬で撃たれて終わりだ。
くぅ……!どうすることも……!
……いや、行くも地獄、帰るも地獄、だったら……
私は足を踏み込み、前傾の姿勢を取る。
一瞬で取って発動すればきっと間に合う!
「だぁっ!」
私は足を弾ませ、筋肉を使い、全力でそこまで飛んだ。
「動いたな!喰らえッ!」
それと同時に矢が撃ち放たれる。
私がそこにたどり着いた頃、手に取った頃には、もう目の前にあった……!
「そいっ!」
……彼女は、イレティナはそれを手につかんでいた。




