第七十一話 サイボーグ
こっちに向かってくる……!?一体どうして……!?
「なるほどね……たしかに当たり前の事だわ」
ウンディーネが訳知り顔で意味のわからない言葉を呟く。
「どういう事ですか……?当たり前って……」
「今まで私達は基本相手の居城へ潜入して倒していたわ。でも……今は私達が襲われる側、勿論入念な準備だってして来るはずよ」
それがあの大軍……エブルビュート軍……。
今までの城に攻め込む形は本当にいい選択だったと思いながらも、私は今迫る危機に対抗する手段を見出せないでいた。
サツキと二人でやったように大軍を串刺しに……?
いや、エヴァーは知っているのだから対策をするだろう。
もし上空にいるところを狙われてはひとたまりも無い。
それにさっき部屋に投げ込まれた爆弾……今までに類を見ないほどの威力だった。
どこから仕入れているのかは知らないけど、十分に警戒する必要もある。
でもあの全身に纏った防具にも警戒が……
「皆さん!これは一体……!?」
悩みこみ頭がパンクしそうになった所に、聞き慣れた男の声が聞こえてきた。
「エルゲさん!……一刻を争う状況です、簡潔に言いますね。エブルビュート国の軍隊が攻め込んできました」
「エブルビュート……!?……なるほど、他の王は全て倒したからですね。
国自体は危機的状況にない国もあるようですが……問題は王にありました。
……となると、先ほどの爆発は……」
エルゲは顔を青くし、捲し立てるようにいう。よほど焦っているのだろう。
「はい、恐らくはそう考えられます。でも私にはどうにも解決方法が……」
サツキがいないとうまく事が運ばない。そんな事を考えてしまう。
今は目の前の事に向き合わなきゃ……。
「……分かりました。でしたらこちらを」
エルゲはさっきとは打って変わり、何か決意めいた表情をして胸元を探り始めた。
「これって……」
「見ていてください。これが、オリジナルの機兵です」
エルゲは自分の服を少し脱ぎ、肌を見せる。しかしその肌は鉄と電線で作られた姿だった。
機械……!?
「最後まで隠しておくつもりでしたが、このような事態になっては仕方がありません。
私の身体の一部は我が君によって追加してもらった部分なのです。
サイボーグ、と我が君は言っていました」
体の一部が機械に……?何故そんな必要が……。
「説明はあとです。とにかく、ここにある設計図を取ってください。
そして貴方のその力で機兵達を……」
「……!分かりました。必ず成功させます」