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第六十話 エヴァー

「さて……ネヅ、次は君だ」


 『蜘蛛糸』でネヅを縛り、こちらに引きずり寄せる。

 足元まで来たネヅを足で踏みつけ動きを封じ、更に『痺れ毒』を首より下に使用した。


「ぐぇっ……!」


「カエルみたいな鳴き声上げないでよ。君については……まあ大方評議会に国を乗っ取られたってところかな?……とは言っても、評議会についてまだあまり知らないし……知っている情報でも教えてもらおうかな?」


 喋りやすいように仰向けに転がすとネヅは半ば諦めかけたような顔をする。


「……俺は評議会の連中に利用されていただけだ。鷹のバッジつけたシルクハット野郎に交渉を持ちかけられてな」


 ……シルクハット野郎?あのホークアイのことか?副議長という割には活動的なんだ……。


「ネヅ!てめぇそれ以上喋んな!エヴァーの庇護下にいられる条件は____」


「どうせ死ぬんだ!最後に吐くぐらい良いだろ!」


 蒼髪の男の忠告を無視してネヅは怒声を上げる。

 ……いちいち遮られていたんじゃ事が進まないな。


「君は何も喋る気はないと?」


 私の問いに対し、蒼髪はわずかな反撃とばかりにニヤリと口角を上げる。


「ああそうさ!俺はお前の言いなりになんてなる気は無ぐがっ!」


「まあそれならそれで良いんだけど。じゃあ始末させてもらうよ」


 私は笑みを浮かべていた蒼髪の顔を足で踏みつぶし石を取り出す。

 こいつがいなくなればこいつの影響下にあった物は効力を失う。フレイの痺れも城の人達の病魔も……。


「くそっ……!エヴァー!聞こえているか!?今すぐにこっちに援助を……ど、どうしたんだよエヴァー!早く出ろよ!」


 身体が光に包まれ、慌て出した蒼髪は何かを叫び助けを求めている。

 何をしている……通信機器でもあるのか?


 その時、蒼髪の首あたりからノイズのような音が聞こえてくる。

 

「……『サトル、僕も忙しいんだよ。あまり通信を入れないでくれないかな?』」


 エヴァーの声か……?仲間がピンチの時にやけに落ち着いている気もするけど……。


「エヴァー!やばい状況なんだ!そんなこと言ってないで助けてくれよ……!」


「『ああ、うん。知ってる。でも助ける気は無いから』」


 助ける気は無いって……サトル……って言ってたか?こいつまで困惑しているみたいだし……。


「『あのさ、今君がピンチになっているのは君が自分で行動したからだよね。

  そういう場合は責任も取らないから、君には死んでもらう』」


「な……そんな……!たっ……頼む!これからはお前のいうこと以外は絶対に何もしない!だから……

 『知らないよそんなこと……反省は来世でしておいて』

 う……う……うわああぁぁああっっっ!」


 激しく光り、サトルは消滅していった。

 後に残っていたのは首にかける形の通信機……それだけだった。


「……エヴァー、聞こえている?」


 私はそれを口に近づけ声を発する。


「『聞こえているとも。僕のやり方は気に入らないかい?』」


「当たり前だろ?今のは流石にイラついた。……仲間じゃなかったのか?」


 私は通信機を強く握りしめ答える。


「『仲間っていうのは利用するもんだろ?僕はそうしているさ』」


「……じゃ、思い知らせてやるよ。すぐに行ってやるさ」


 気付けば私は通信機を握り締めたまま砕いていた。


 

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