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第五百三十四話 ありったけ

「……」


 皆はそれぞれに戦闘態勢を取り、機械達と戦う覚悟を決めて立っていた。

 だが今はと言うと、その肝心な敵が突如として消えたことに唖然とするしかなく、皆立ち尽くすばかりだった。


「……よし」


「よしじゃないですよ⁉︎ なんですか今のは⁉︎」


 見事敵を倒しガッツポーズをする私に、フレイが終わらせてたまるかとばかりに言葉を挟む。

 フレイに順ずるように他の皆も私の方を驚愕の表情で見てくる。一瞬なぜそこまで驚くのか分からなかったが、すぐに合点が行った。


 ……あ、そうか。私に置き換わっても空気は空気だから見えないのか。


「ほら、さっき行列の人達に一斉に『変化』をかけた時に使った技。あれを今使ったんだよ。今回は機械を空気に、だけど」


 人間をいきなり空気に変えるのは気が引けたけど、機械なら倫理も道徳も関係ない。遠慮なく『変化』のフルパワーを使えるわけだ。


 少なめかとも思った言葉だったが、フレイが何度も頷いている辺りからして納得はしてもらえたのだろう。

 フレイはそのまま、視線を機械達が迫っていた場所へと向けた。当然ながらそこには何もない。気体の割合まで一緒にしておいたのだから、周りと差異など一つだってあるわけが無いのだ。


「……本当に、きれいさっぱり無くなってますね……」


 驚きつつもフレイの声は感心が混じっていた。

 自分でも機械を怖がっていた割に結構よくやったんじゃないかと思っていた。そんな私はフレイの言葉もあいまり、少しいい気分になる。


「ふふん、まあ私だってやるとき、は……あ、れ……? なんか、クラクラ、する……」


 だが、身体を逸らせた瞬間、私の身体がグランと揺れる。

 まるで膝を後ろから蹴られたときのような、身体の支柱が抜き取られる感覚。そのままゆっくりと、地面に倒れ込みそうになったとき。


「サ、サツキさん⁉︎」


 そう声を上げながら、咄嗟のところでイレティナが私の身体を腕の中にストンと落としてくれた。

 彼女にお礼を言う暇もなく、口の中に液体が入り込んできた。ウンディーネだ。


 一瞬溺れるかと思いかけたが、彼女はすぐに私から出ていき。


「マナ切れよ。さっきから『神速』も使っていたのに加えて、今の大量消費じゃしょうがない所はあるわね。……でも、サツキ。もしもの話だけども、マナの管理を『万物理解』に頼っていたりしてないでしょうね?」


「うっ……」


 痛いところを突かれて、私は思わず呻き声を上げてしまう。

 それだけでもう分かってしまったのかウンディーネはため息を吐きつつ。


「はあ……まあ、別に危険は消え去ったわけだから時間でどうにでもなるマナ切れは気にすることないわ」


「え……でも私動くのがすごくだるいんだけど……」


「管理を任せていた反省に丁度良いわよ。王と戦うときはサポートは怠らないけど、私達が助けられることにも限りがあるのよ」


 諭すような口調で、ウンディーネはそう言い切った。

 私はすっかり納得して身体のだるさとは裏腹に心の方は既に反省を始めようとしていた。


 だが、その時だった。


「……ん? あれ?」


 私は、自分の身体に違和感を覚えていた。

 先程までの身体の重みがない。腕が回せる。何より……立てる。


 驚きながらも立ち上がると、私以上にウンディーネとイレティナが驚いた。

 というよりも全員驚いていた。マナ切れとは、自然なマナ回復を待つ他ない状態なのだ。……だというのに。


「なんか……治ってる……」

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