第五百二話 嫌な予感
私はフレイの当たり前のことでもいうかのような態度に唖然として声を上げてしまう。
元々国に戻ってしまっては倒し辛くなってしまうという話だったから私もあんなに急いでいたのだ。それに。
「……フレイ、その不意打ちは出来ないよ。あそこにはマナが一つも無いんだ。『万物理解』で情報収集をすることも……」
「例え『万物理解』で城の位置を見つけられなくても、その近くに移動できるじゃないですか。後はサツキが肉眼で目視した城に移動して不意打ちを仕掛ければ、倒せるはずです」
……なるほど。
フレイの言い分は十分理にかなっている。正直力技で不足を取ることは無いと思うし、何より強襲こそ私の得意とするところだ。
「……うん。確かにフレイの言う通りだ。計画が一度失敗しちゃったんだから、次の計画を打つ必要があるし、プランBとしては申し分ない」
私が頷きながらそう言うと、フレイは顔を明るく輝かせて喜色に満ちさせる。
きっとすぐ実行しようとなるだろう。私も二の足を踏むよりもそっちがいい。……。
「……でも」
僅かな沈黙を挟み、私は一言呟くように言った。嬉しそうにしていたフレイはキョトンとした顔をして不思議そうにしている。
「何か……予感がするんだ。一々口に出すほどでもないんだろうけど、どうしても言っておかなきゃなってなって……。何故だか嫌な予感がするんだ」
自分でも何故そんなことを言うのか、そして感じるのか理解できなかった。
だが、私の心のどこかで機械都市へ行くことに警鐘を鳴らす何かがある。それを嫌な予感という以外に何と言おうか。
皆の顔を眺めると、やはり行くことを躊躇するような硬らせた表情をしていた。
どうしても言いたいことではあったが、こうなってしまうとできることも無くなってしまうというのもまた事実……。
他のプランを考えるにしても、私に思い浮かぶのはコウヤが外に出るのを待つという案程度だけだ。
だがそのプランにして仕舞えば叶うのがいつになるか分からない。ましてや無法地帯と化した世界に態々最後の王が行くものだろうか。
「……ごめん。多分、私も最後の戦いで気をやられちゃってるんだと思う。フレイのプラン通りで行こう。全員で、『時空転移』だ」
私はあまり声を張り上げられずに淡々とした口調で皆にそう告げた。それでもフレイは強く頷き、目を輝かせて覚悟を見せてくれている。他の皆も同様に、戦意は十分に高揚していた。
私だけに、拭きれない黒ずみがあったのだ。




