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第四話 盗賊狩りに行こうよ

「盗賊団に殴り込みに行かない?」


 椅子に座っていたフレイに話しかけると、呆れたように目を回す。


「……サツキ、私たちは____」


「まだ力が足りない。そうだろう?でも大丈夫!

 今回はこちらの方を呼んでいます!先生、どうぞ!」


 そう言い、私はその人を呼ぶ。


「先生ってほどじゃねえが……シーフのイツだ。よろしく頼む」


 そう言いながら、赤い髪を掻き彼は苦笑いをする。


「……イツさん、私達二人のレベルはご存知ですか?」


 フレイは怪訝な顔をしてイツに聞く。


「ちょっとごめん、レベルって何?」


「「ご冗談……!?」」


 な、なんだよ急に……。


「はぁー……本当に常識が無いんですね!いいですか?

 レベルというのは戦闘経験、知識、技術などからなる、強さの指標数値です」


 フレイが言うと、イツが続け様に。


「クエストごとに推奨レベルっつうのがある。

 今回のクエストは盗賊団が標的だが、別に頭を取るわけじゃねえからな、ガクッと下がって20だ。

 ところで、ギルドカードを持っていないのか?登録する時に必ず作るはずだが……」


 そこでフレイがハッと顔を上げ、こちらを見た。


「そうですよ!あなたギルドカードどこにやったんですか!?」


 そういえば貰ってからポケットに入れたままのはず……。


「あー……あるよ、ほら」


 そう言いながら私は元の形を成していないカードをポケットから取り出した。


「ぐちゃぐちゃじゃないですか!洗濯する時に出していませんでしたね!

 手っ取り早く終わらせるために水魔法の洗濯屋さんに頼んだのが間違いでした……!」


 フレイは頭を抱えて唸った。


「仕方がありません。お金はかかりますが再発行してもらいましょう……。

 話を戻しますよ。私達二人は、私がレベル10。

 サツキは炎魔法を少しかじって覚えたのでレベル15です」


「なるほど……うーん……他に何かあるか?」


 イツは腕を組み私達に聞いてくる。


「あ、そうだ。ちょっとこれ見てよ」


 そう言い、私はしわくちゃのギルドカードを広げて見せた。

 それを見るとイツは目を見開き。


「おいおい……筋力のとこだけ半端ない数値じゃねえか!

 68って……筋肉だけで闘うような奴らのレベルだぞ!」


「まあ、ちょっと鍛えていてね」


「サツキ!それコピーのむぐっ!?」


 危うくネタバレをされそうだったので、私は咄嗟に口を塞いだ。


「実は彼の力に頼る以外にもう一つ策があるんだよ。

 そのためには3人が必要だからね。

 とにかく彼に行く気になって貰わなきゃ……」


 それ以上はタブー。とでも言うように私はフレイを説得した。

 おっと、怪しまれていないと良いんだけど……。


 少し不安になりイツを見るが、カードに夢中で全くこちらを見ていなかった。





 私達は盗賊の住む山中へ移動中だった。

 馬車に揺られ、流れて行く木々の風景をボーッと眺めるのは、さながら旅のようだった。

 お金が貯まったら今度こそ本物の旅を始められるんだ……。勝負どきだね。


 横をふと見ると、フレイも同じようにボーッとしていた。

 そういえば、フレイって何歳なんだろう?

 身長は150cm程度に見えるし、見た目も少女そのものに見えるけど、あの世話焼きっぷりは普通では無い。

 むしろこちらがバブみを覚えてしまうほどだ。


「ねえフレイ、フレイって何歳なの?」


「ん……ああ、はい、少し頭が留守になっていました……。

 歳ですか?えーっと…確か今年で55でしょうか……」


「……」


 想定外の言葉をフレイが言ったことに理解が遅れ放心状態になってしまっていたが、私はすぐに意識を取り戻し、改めて叫んだ。


「ごっ、ごっ、ごじゅうご!?」


「ああ、すみません。そういえば伝え忘れていましたね。

 私、エルフなんです。

 あまり耳が尖っていないのでよく人間と勘違いされるんですけど、ほら、形が違うでしょう?」


 フレイは外に跳ねたボブの白い髪をかきあげ、耳を見せてくれた。


 確かに、耳の先が少し尖っているのがわかる。

 フレイがエルフなら、疑問点も納得が行く。


「弟たちの面倒を見るのが忙しくて、最近やっと自由になれたんです。

 だからまだレベルも低くて……。サツキがいなかったら私も今頃は……」


「そう言うルートも私は良いと思う」


 私は真顔ではっきりと言った。


「なんのルートですか!?全く……。私からしたら、サツキも妹みたいな物ですよ」


 フレイは怒り半分呆れ半分で言う。


「はっはっは!お二人さん全く緊張してねえな。

 まあ、緊張で動けなくなっちまうよりか全然良い。

 後少しでこの馬車を降りることになるぞ。」


「あ、そうだ!この馬車お金かかるの!?」


 馬車は馬鹿みたいにお金がかかる。

 ここに来て貯金切り崩しは嫌なんだけど……。


「大丈夫ですよ。ギルドがお金を負担してくれるらしいので」


「へぇ、なら安心だ。じゃ、作戦会議、しとく?」


「ん、俺が先陣を切って行けるところまで行ったら退却だったか?」


「いや、そこをだね……ゴニョゴニョ……」


「え、それはちょっと私……!」


「いや、これは良い作戦だ!」


「えぇー……」


「さ、いこうか!クエスト開始!」






ギルドカード再発行で次の旅まであと39万オウル!

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